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2011年 04月 26日 ( 1 )
母と、傘と
両親の家の玄関引き戸、中に入った左端。

そこには、大きな 傘立て がある。

娘3人が巣立ってから、もう何年も経つ今も。

父と母の2人しかいないのに、それは大きな傘立てだ。

陶器かなにかでできた、その傘立てに …

入りきらないほどの、幾本もの傘が、刺さっている。

傘の幾本かは、上がりたてに寝かせて置いてあるほど。

父と母なら、2本で充分な傘。

数えると、多いときには20本近くにもなる。

その時によって、傘の数が違う。

殆どが、雨用の傘で。

そこに、1~2本、日焼けして色の変わった日傘がある。

傘を集めるのは、母である。

母は、リサイクルの店に行くと、傘を買う。

折り畳みではなく、芯の強い大ぶりの傘。
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雨が降る。

突然の雨が降る。

玄関先に立つ母が、外を見ている。

その前を、コートの襟をつかみ、小走りで急ぐ人がいる。

降り始めた雨に、髪を濡らして。

母が、その人を引き止める。

 これ、あんた、この傘、持っていきないよ 

そう言って、傘を一本、開きながら渡す。

相手が、観光客でも、地元の人でも、誰でも …。

 いや、でも、こちらには戻ってこないので 

相手が、そう言おうが言わまいが、母が続ける。

 返さんで、いいんやで

 持っていきない、ほれ、ほれ
 

母は、こうやって、いつ何時、誰に役立つかと、傘を集める。
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私が帰郷すると …。

 かあちゃん、この傘、使うよ~ 

10数本もある中から、より可愛らしいのを選ぶ末っ子。

家の中にいた母は

 どれどれどれ? 

と、走って玄関に出てくる。

 あっっ それはな、だめ! 

そう言われて、また物色して一本選ぶ。

 あっっ それは使って欲しくないんや 

また、次のを。

 あぁ~ それもな、大事なやつやでなぁ … 

って。

母ちゃんよ …。
by yayoitt | 2011-04-26 03:57 | 思い出 | Comments(8)