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2011年 02月 06日 ( 1 )
それぞれの事情 それぞれの命
動物病院にかかった一本の電話。

14歳の猫2猫と、ラブラドールの犬と暮らすご夫婦から。

このご夫婦には、最近になって初めての赤ん坊が生まれた。

この赤ん坊が生まれる前後から … 

手術の予約を忘れたり、日時を取り直しても、それすら忘れたり。

そんな矢先の電話だった。
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電話口で、笑いながらご主人が言う。

 あははは … ほら、うちに、赤ん坊が来たでしょう?

 いやいや、人間の赤ん坊! 仔猫じゃないですよ、あはははは
 

New Baby(赤ちゃん)と言ったのを私が、猫の赤ちゃんと間違えたのだ。 

動物病院に電話をしてくるのに、人間の赤ん坊の話が出るとは思わずに。

 それでね、うちの猫がね、赤ん坊にとって脅迫になってるんでね

 えっと … 新しい飼い主を探したいんですよ

 でね、A獣医師は、誰か知らないかなぁって思ってね、ははははは
 

どうして、こんなによく笑うのだろう。

私は尋ねた。

 もし良かったら、詳しい理由を聞かせてくれませんか?

 何か、猫たちが、赤ん坊にしたんですか?
 

また、笑いの後に …

 いやいや、まだね、何かしたって訳じゃないの

 でもね、赤ん坊が寝てる部屋に入っちゃうみたいで
 

赤ん坊が理由で、犬猫を捨てたい と思う人の気持ちは一途である。

 部屋に入らないようにするとか、できないんですか? 

そんな努力はする必要もなく、初めから猫を捨てることは決まっているのだ。

 ははは、しましたよ、でもさ、ほら、猫でしょう?

 どっかから入って来るんだよね

 朝になると、赤ん坊の周りに、猫の毛があるの

 だからね、彼らは 脅迫 の存在なんですよ
 

それ以上、話を続ける意味はなく。

獣医師も、個人的に助けることはできないだろうことを伝える。

そして、猫のレスキューの場所の電話番号を2つほど、教えて電話を切った。
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赤ん坊が生まれてから …

それを理由に、どういう事情があるかはそれぞれだけれども …

赤ん坊に大事があってはいけないと …

それまで一緒に暮らした動物を手放す家庭は、少なくはない。
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人間の子供であれば、といつも想像する。

二人目の赤ん坊が生まれた時、上の子がヤキモチを焼いて悪戯したとする。

それが続いたとしたら、親は考えるだろうか?

最初に生まれた上の子を、他所にやってしまおう なんて?
 
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14年も暮らしてきた猫たち。

あと何年生きられるかわからぬ命。

レスキューであっても、14歳の猫のリホームはとても難しい。

その家庭には、その家庭の事情がある。

それは理解したい。

妻が後で夫に何かを言う声が聞こえる。

夫は、妻の指図で電話をしたのだろう。

あはははと、笑う理由も、そこにあるのかも知れない。

もうすぐ 捨てられる 猫たちは、何も知らない。

あえて 捨てる 捨てられる という言葉を使う。
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赤ん坊が来る前から、その10数年も前から、そこで生きてきた猫たち。

赤ん坊が大きくなった時に、親からその話を聞いた時に …

 お前のことが心配でね、老いた猫を2匹、捨てたんだよ 

そう聞かされたら、どう感じるのだろうか?

その家には、その家の事情がある。

それは …

理解しているけれど。

子供を産んだことも、育てたこともない私。

子供を育てる大変さは、やっぱり判りかねる。

子供と動物と共に生きることも、想像を超える。

だけれども …

自らの決断で受け入れた命なのではないか? 

どうしても、赦せない気持ちが残るのである。

 あなたは、本当に、共に生きられる努力をしましたか? 
 その上での、それが、断腸の思いでの選択なのですか?
 
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思い出す言葉がある。

ある女性の言葉。

彼女は、ご主人と犬と暮らしていた。

ある時、赤ちゃんができた。

大きなおなかを抱えながら、赤ちゃんの登場を待ち兼ねている。

その彼女が、こう言った。

 もしもね、赤ん坊と犬が上手く行かなかったら …

 私は赤ん坊を、リホームするわよ

 だって、ファーガス(犬の名前)の方が先にいる家族なんだから
 

彼女は、とても幸せに、2人の子供とファーガスとご主人と暮らしている。
by yayoitt | 2011-02-06 01:11 | 動物病院レポート ケースから | Comments(34)