2010年 06月 11日 ( 1 )
おっかさんの誕生日にガーベラ
おっかさんが、家に帰って来た。

もう、病院に戻ることはないだろう。

家に戻って来た夜、おっかさんは11時間、眠り続けた。

そして朝、おっとさんに言ったそう ・・・

 あぁ こんなによく眠ったのは、いったい、どれくらいぶりだろう
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生きながらえる為の物を摂取することを、一切、拒否してから4日。

生きながらえる為に、炎症を防ぐべく抗生剤も他の薬もとらない。

ただ、24時間でモルヒネと鎮痛剤混合注射が投与されている。

本来ならば、経口摂取は望ましくないと医師には言われたけれど ・・・

大好きなイチゴを、冷たい水を、甘いアイスキャンディーを楽しんでもいる。
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金曜の仕事を、少し早くに切り上げさせてもらった私。

汽車で1時間半弱の街、Dundee(ダンディー)に向かった。

今日は おっかさんの誕生日 なのである。
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         Dundee の Tay River(テー川)を越える

ノーマンとクライド、素泊まり宿のお客様もいらっしゃるので ・・・

私1人が、夜のうちにエジンバラに帰る予定で。

Dundee の家には、おっとさんとジェニファー(義姉)がいた。

おっかさんは、枕を高くしてベッドに寝そべっていた。

彼女の正面の床頭台には、沢山のカードが並んでいた。

おっかさんが指をさして言った。

 キリンのカードもあるよ

キリンは、おっかさんの一番好きな動物。

そのキリンのカードは、私が数日前に送ったものだった。

持って来た花束を差し出すと、目を細めて眩しそうに見ながら

 これは、なんて花だったかしら?

と聞いたので ガーベラ と日本語読みで伝えた。

 あぁ、ジャーベラ 

と、おっかさんが頷いて、またガーベラを見つめていた。

 この花を買うときに、お店の人に聞いたの

 ゛ これは、紫じゃないですよね? ゛ って

 そしたら ゛ これは、ピンクですよ ゛ って言ってくれたから安心したよ


おっかさんが白い歯を出して笑った。

おっかさんは、紫の色が、嫌いなのである。
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細くて冷たい腕には、出血斑が幾つも浮んでた。

前日までは、モルヒネによる錯覚障害があった。

訪れた医師が、モルヒネの量を調整してくれたことで、それがなくなったらしい。

 モネの蓮の池が見えたり、キルトを着たスコッツマンが4人踊ってたり ・・・

おっかさんは、訪問見舞い客への対応もあり、とても疲れていた。

私と話しながら、す~っと、眠りに落ちたりしていた。

眠るおっかさんを、そのまま、そ~っとしつつ、家族で夕食を食べた。

ドアを開け放った廊下からは、おっかさんの眠る姿と寝息が聞こえる。

 もう、痛みがないの

さっき、嬉しそうに、そして誇るようにそう言った彼女の顔は、安らかだった。
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電車の時間があるので、私は2時間も滞在せずに家を出た。

結局、おっかさんは安らかに眠れていたので、お別れもせずに出た。

心の中で、約束をする。

 また、会いに来るね

おっとさんも、ジェニファーも、マイケルも、そして私も ・・・

思いはひとつである。

 安らかに、そして長くこの状態が続きませんように

おっかさんの望む場所へ、逝きたかった所へ、早く行かせてあげたい。

 大好きな、おっかさん ・・・

 会えなくっても泣かないから

 暗い顔は、しないから


おっかさんが先日、計画をしたお葬式の条件に ・・・

 暗い黒い服は着てこないこと

とある。

ガーベラ色の、ピンクで会いに行こうと、考えている。

ガーベラの花言葉 崇高美 神秘

なんだか、私が思う、おっかさんのよう。

 おっかさん、お誕生日、おめでとう
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by yayoitt | 2010-06-11 03:31 | 英国暮らしって... | Comments(16)