人気ブログランキング | 話題のタグを見る
早く元気になろうね その2
出勤までの1時間ほどの間、ノーマンは相変わらず、ベッドで丸まっていた。

とは言え、眠っているわけでもなかった。

起きて来たマイケルが、彼女の鼻の近くに食べ物を持って行っても、伏し目がちに顔を上げ、そして寂しげにそっぽを向くだけだった。

腹部を触ってみた。

 “ どこにも痛みはなさそうだなぁ・・・ ”

ジッと見つめてみた。

 “ 鼻は充分濡れてるなぁ・・・ ”

口唇をめくって見た。

 “ ピンク色で色は悪くないなぁ・・・ ”

またジッと見つめてみた。

 “ 腹部の動きは特に無いなぁ・・・ ”

歯肉を触ってみた。

 “ 指に引っ付かないから、脱水は無いなぁ・・・ ”

更にジッと見つめてみた。

ノーマンが小さな欠伸(あくび)をしたので、慌てて視線を逸らしてあげた。

出勤時間が来て、ガーガーと後ろ髪引かれながら病院に向かい、ひっくり返った様に忙しそうなその中に入り込んだ頃 ・・・。

マイケルから電話があった。

更に数回嘔吐をしたということと、キッチンで下痢便もしたということ、そして、とても元気が無いこと、どうしようか・・・という相談の電話。

忙しさの合間を見て獣医師にノーマンの状態を話すと、嘔吐と下痢ならば消化器官の炎症だろうから明日まで様子を見てもいいとは思う、と言われた。

それマイケルに話したが、私も彼も、普段と余りにも違うノーマンを見ていて、とても心配だったので、最寄の動物病院に予約を取った。

家から歩いて5分ほどで、以前に彼女が犬に噛まれた時の手術をしてもらった病院だ。

忙しい1日を流しながら考えるのは、ノーマンのことばかり。

どんな格好で寝ているだろうか? どれくらい辛いんだろうか? どこか痛いんだろうか? 熱はあるんだろうか? 1人で留守番は寂しくないんだろうか?

獣医師と同僚に理由を話して、マイケルと一緒に、動物病院に行く為、30分早く仕事を引き上げ家に向うバスに乗った。

バスを降りると、夕方の仕事帰りの人で賑わう通りの向こう側から、マイケルの背丈が見え隠れしていた。

・・・ ということは、ノーマンも一緒 ・・・

マイケルと並ぶと、見慣れていても噴出してしまうほど小さなノーマンが歩いている。

 “ おお~、なんだかちょっと元気そうじゃん! ”

 “ おお~、あっちこっちの匂いを嗅いでるじゃん! ”

 “ おお~、マイケルが何か(多分、私の名前)言ったら、必死に探してるじゃん! ”

その姿だけで、一日中、心配していた自分なんかどこへやら~♪ 

今から病院に行くというのに、私は途端に 元気 である。

 “ 昼は全く元気が無かったし匂いも嗅ごうとしなかったけど、今はこうやって匂い嗅いでるなぁ~、この調子ならご飯も食べれるかもな ”

病院に行くのは今からだと言うのにやっぱりマイケルも 嬉しそう である。

それでも、出掛けには 飲んだ水を吐いたと言う。

病院の待合室でのノーマンは、とても静かで私達の前で座って静かに待っていた ・・・ これが、まだ普段のノーマンではない証拠である

獣医師に呼ばれ、診察を受ける間もずっと、静かにされるがままに動かなかった ・・・ 元気な時に予防接種で私の病院に診察に行った時とは大違いである

 “ 熱が少しあるね ”

 “ 多分、何か、食べるべきじゃなかった物を食べてしまったんでしょう ”

 “ 熱があるので抗生物質の注射と、吐き気止めの注射をします ”

 “ 今夜は絶食でお水だけ、明日から処方食の缶1/4を3回に分けて与えてみてください、でも、最初の1/4で嘔吐するようだったら、その後は何も与えずに予約時間に来てください ”

今夜、ノーマンは 水を飲んでは吐く を数回繰り返したが、吐き気止め(これは消化管の動きを弱める、一種の麻酔である)が効いて来たのか、今は丸くなって眠っている。

いつもなら、1日何も食べれないなんて考えられないーー! と暴れん坊将軍になる彼女であるが、ただただ、伏し目がちで私達のいる部屋から部屋を歩き回り、こうしてすぐ側で眠っているのが、ただただ、愛しくてたまらない。
早く元気になろうね その2_c0027188_6413140.jpg

大丈夫だ。

明日にはきっと良くなる。

明日には、もっとごはんくれよー って文句が言える。
by yayoitt | 2007-03-07 06:41 | 愛犬ノーマンのこと
<< ノーマン、あんたはさすがだ! 早く元気になろうね その1 >>