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こんな悲しい1日
動物病院に勤め始めてから、とてつもなく悲しい1日 というのが時々ある。

また、悲しいこと続きの週 というのもある。

それが最善の選択であれ、愛する動物達を虹の橋の袂へと見送るのは辛い。

その選択を下さなくてはならない時が、飼い主さんに訪れるのを見るのが苦しい。

Flat Coat Retreiver(フラットコートレトリバー) は何かと身体的トラブルが多いことで知られる犬種。

そのフラットコートが、相次いで重い病気の診断を受けたのは先々週だった。

そのうちの1犬、BONNIE(ボニー)は、専門獣医に紹介もされたが結局、治療のすべがないらしい。

飼い主さんと、行けるところまで一緒に行くしかないが、その時間は数日だと思われる。

数週間前に診察に来た時、BONNIE(ボニー)の飼い主の男性は、それはBONNIE(ボニー)を愛して止まない様子だった。
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だけど、もうじき確実に、お別れ なのだ。

その日は、必ず、来るのだ。

今日は、以前に働いていたスタッフの女性が飼い猫を連れてやって来た。

 “ 鼻水が出てくしゃみをする、昨夜はちょとしたひきつけがあった ” と明るくやってきた彼女。

13歳のPURDY(パーディー)は、半年前に採血で軽い腎障害を指摘されていたので、今回も念の為に採血をすることになった。

獣医師よりも先に採血結果を見て、泣き出す彼女。

腎障害が深刻に悪化、腎臓にて解毒が出来ない為にひきつけを起こし始めたこともこれでわかった。

治療はない。

時間が経てば、それだけただただ毒素が体内に溜まるだけである。

ただの風邪か何かと思ってやってきた彼女にはもう笑顔はない。

PURDY(パーディー)は静かに横で寝そべっている。

泣きながら彼女は、今夜一晩だけPURDY(パーディー)を家に連れて帰り、娘や息子、旦那や他の動物たちと水入らずで最後の夜を過ごすことを決心し、肩を落として帰って行った。

明日の夜には、もうPURDY(パーディー)はどこにもいないのだ。
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彼女が去った後、他のスタッフとボツリボツリと話をした。

そのうちの1人、彼女の猫MAX(マックス)は先週、36時間行方不明の後、庭の物置小屋で片足に大怪我をしてうずくまっているのを発見された。

どこかで大怪我をし、骨も折れ、皮は殆ど残っていないくらいに引きちぎられている足を引き摺り、高い塀を乗り越えて、必死の思いで家に帰ってきたのだ。

余りに傷がひどくてグシャグシャなので、切断を勧められたが、少しでもチャンスがあるのならと、包帯交換を繰り返す治療を選択した。

今朝のMAX(マックス)、ご飯も余り食べなかったらしい。

病院での毎日 ・・・

よく考えると、余り笑っていないかもしれない。

眉間に皺を寄せて、そして隠れて泣くことの方が、多いかもしれない。

こんな悲しい一日も、こんなやり切れない一週間も、繰り返し繰り返し、慣れるなんてことはなくずっとこうして行くのだろうな ・・・。
by yayoitt | 2006-11-13 06:04 | 動物病院での出来事、仕事
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