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日本滞在紀 第七章 犬たちとの再会 盗もうとした犬 
飛騨 は私の生まれ故郷。

マイケルとノーマンと私が、両親の家から歩いて7分くらいの場所に暮らした家。

そこから、毎週一度は、歩いてやママチャリに乗って出掛けた レストラン がある。

収穫祭 という、一応の売りは イタリアンレストラン、でも、カレーも日本食もあって実に美味しい。

私とマイケルがいつも注文したのは、ぺペロンチーノを2人で一皿、そしてピザを一枚づつ。

それでも大抵はまだおなかが空いているので、次からぺペロンチーノも2皿、ピザも2皿頼むと、店員さんが一瞬絶句した後、どもりながら “ あ、あ、あの・・・、一皿、お1人分ですが・・・ ” と言われたものだ。

最初のうちこそ頬を赤らめて 大食い注文 していたものの、週に一度も通っていると、神経が図太くなるらしく、“ このピザのハムをジャガイモに変えてもらえますか? ” と無理な注文をしたものだ。
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足急く通う理由に、実は、ここで会える ビーグル犬 がいた。

その ビーグル犬 が、とても ノーマン に似ているのである。

名前は、今でも知らないままである。

かわいくてかわいくて、実はぺペロンチーノで口の周りを油でてからせながら、私とマイケルは、こんなことを話していたのだった。

 “ なぁ、マイケル、あのビーグル、何とか手に入れたいよなぁ ”

 “ うん、中からじゃ届かないのかなぁ? ”

 “ 窓が小さすぎて手が入らんよ ”

 “ でも、盗んでも来週また食べに来たいから、ばれたら来れなくなるしなぁ、そうだと嫌だなぁ ”

 “ ばれないように、盗みたいなぁ・・・ ”

 平然と、店の中で話していたのである。

 罰当たりである。

結局、毎週、どうしたら盗めるかを思案しながら2年が経ち、サヨナラを言うこともできずに日本を離れてしまった。

あれから2年、あの ビーグル はまだ、あのレストランにいるのだろうか?

トイレの窓から見える ビーグル犬、今も悩む男の子の顔をジッと見つめているのだろうか?

飛騨滞在の最終日だったが、看護学校からの親友のR子と共に、収穫祭 へ行った。

そして、ぺペロンチーノを食べた。

ピザはもう、食べられなくなったけど、ぺペロンチーノは昔と同じ味がした。

さて、早速トイレに行って、あの子がまだあそこにいるのか確かめて来よう!

R子に断って席を立ち、トイレに向った。

トイレのドアを開ける、そして窓を見ると ・・・

いた!

やっぱりまだ、そこにいた!

変わらず今も、そこにいた!


ノーマン そっくりのビーグル犬!

そう、それはあの、ノーマン・ロックウェル の一枚のポスター。
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今なら盗んでも、良いかも知れない?

               実は今、手元に ある・・・。
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と、言うのは、嘘。

あの犬は、あそこにいるのが良い、きっと、そこが、良い。
by yayoitt | 2006-06-13 02:51 | 06 羽伸ばし日本旅行
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