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ミスターフロードとの再会にサムは・・・
シャイア に太陽の光が降り注ぐ・・・。
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ポカポカ春の陽気が草むらに残る夕刻。

仕事を終えた サム(やっこ)は、いつものバス停へと向った。

バス停の手前で、一瞬、足を止めた。

心臓が ドクン と鳴った。

 “ ミ、ミスター・・・ミスターフロード・・・ ”  

そう、そこには、既に椅子に腰を下ろして目を細めている フロード がいたから・・・。

あれはもう、一月近くも前のことだろうか ・・・ サム が フロード に出会った。

サム は、こんな時には決まって、知らん顔をしてすまし顔をする癖がある。

フロード
 のベンチ近くに座り、何となくバスが来る方向に目を向けながら、フロード の表情を観察する。

 “ ミスターフロード ・・・。結構、お髭もあって、ちょっぴり疲れた イライジャウッド だな・・・ ”

 “ でも、その大きな青い瞳は、何てお美しいのでしょう ・・・ ”

バスが来た。

わざとゆっくり立って、ミスターフロード の背後に立つ。

一瞬、フロード が サム を見て、先にバスに乗せる雰囲気があった。

・・・が、恥ずかしがり屋のおバカな サム は、目が合うと微笑んだだけで、折角のそのチャンスを受けずに、そのまま一歩下がるようにして、フロード の行為を無駄にした。

バカな サム ・・・ おデブな サム ・・・

しかし、恋に落ちた サム ・・・ フロード の後ろを追い駆けて、下の階もガラガラなのにわざわざ、フロード様 に付いて階段を上って行った。
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階段では、目の前に、フロード様 の茶色い革靴が見える。

サム ・・・ 笑いがこみ上げる。

何してんだ・・・ひっひっひ、一体わたしは何してるんだろう・・・うっひっひ

フロード が座ったその2席後ろに座って、ジッと後姿を見守る サム

サム と フロード の間に人が座り、その人が降り、また誰かが乗ってきたり・・・

下の階から、大声で泣き続ける赤ん坊の声がしていた。

その声は2階建てバスの隅々に広がっていたが、サム にはそんなこと、どうでも良かった。

 “ できれば、ミスターフロード の 匂いを嗅ぎたい・・・・・・!! ”

は~~~。バカな サム、愚かな サム ・・・

そうして、混み合ってきたバスに充満する香りを、思い切り低い鼻で吸い込もうとしたその時!!

急に、ミスターフロード が立ち上がった。

まだそこは街の中心で、以前、フロード が降りた場所までは遠い。

思い立ったように、突然、立ち上がった感じだった。

慌てる サム、動揺する サム ・・・。

鼻の穴をしぼめて、窓に頭を押し付けて、降りていく フロード を見下ろした。

そこから見える フロード の表情は、それまでの彼とは違って固かった。

何か、怒っているようにすら思えた。

サム は考えた。

 “ サム の匂いを嗅ぐ行為が、ミスターフロード にばれてしまったのか・・・? ”

階下の赤ん坊が、ギャアアアア っと、啼き続けていた。

サム は、ハッとした。

 “ ミスターフロード ・・・。赤ん坊の泣き声が、耐えられなかったんだろうか・・・? ” 

希望を失った帰り道、肩を落として サム は、寂しく独りで、混み合うバスの中、シャイア の街をぼんやり眺めたのだった。

              フロードは赤ん坊が嫌い??
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by yayoitt | 2006-05-05 06:19 | ロードオブザ やっこ
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