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初めての安楽死から~ 症例 3
安楽死の瞬間を、こんな風に過した、あるグレイハウンドの話から...。

これは、ちょうど一昨年の今頃、私の旦那の姉夫婦のグレイハウンド、バーニーの話である。

バーニーはレース用のグレイハウンドで、リタイア後、レースリタイア後のグレイハウンド専用のホームから、マシュー(姉の夫)の元にもらわれて来た。

レース用に育てられるグレイハウンドに関して、世界中で、その犬に対する人間の扱いの残酷さはよく知られており、走れなければ容赦なく実験に使われたり、食事を与えず殺されたり、射殺されたりという事実がある。

生後1~2年の、一番元気でたのもしくて活き活きした、人間に思い切り甘えたい時期を、レースの為に、冷たいケネルの中で過し、人々のお金の動きの為に、その命は、冷たい檻の中で寝起きを繰り返す。

大量にケネルでレース用にと育てられるグレイハウンドのうち、一体どれだけが実際にレースに出るのか、それは何十分の一なのである。


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...では、残ったグレイハウンドは?レースリタイア(3歳くらいから)後のグレイハウンドはどうなるのか?? ... それは、お金が一番大事な人間のやること ... いつも同じである ... 生き物としては扱わない ... 要らなくなったら捨てるしかない ... 容赦ない、残酷なやり方で。

英国やアメリカで、リタイア後のグレイハウンドに温かい家庭を与えようという奉仕団体が幾つもあり、そこでリホームを勧めたり、また、レース自体を廃棄しようという動物愛護団体の強い動きがある。

この、リタイア後のグレイハウンドのホームから、バーニーは、やってきたのだ。

彼の年齢は不詳 ... レース犬だった頃のご主人は、レース用の犬に関して生年月日なんて関心がないから。 推測年齢は、亡くなった時で16歳でもあったかもしれない。

レースの為に、不衛生な残酷な環境で、ひどい食事を与えられて数年を過すグレイハウンドの寿命は、普通の犬と比べて、とても短いと言われている。

しかし、リタイア後をいかに幸せに、平穏に暮らすかでまた、その寿命は違ってくるとも言われている。


マシューに愛され、マシューがジェニファーと結婚してからは2人に愛され、それは静かに平和に、暮らして来たのである。

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          左の黒いのがバーニー(亡くなる数日前)

足腰の弱くなったバーニーが、最期の前夜、いつもの散歩道の帰りで突然、どこかに逃げ出し、数時間後に真っ暗な人通りのない道を歩いているのをマシューに発見された。

そして、翌朝、彼はとうとう立てなくなり、身体を動かそうとすると痛がって啼き、ジェニファーとマシューは、その苦しがるバーニーを車に乗せ、動物病院へ向った。

思いは1つ...この苦しみから早く救ってあげたい

バーニーは、加齢による消化不良もあったので、好きなチキンをここしばらく食べられずにいたのだが、ジェニファーは、車に袋に入れたチキンを持って家を出た。

病院に着くと、マシューもジェニファーも、獣医から “ 苦しみが大きく、この状態で生きていく、生の価値は、ないと思われる ” と言われるのも覚悟できていた。

そして、2人に抱かれて、バーニーは、腕に入った注射の針からゆっくり液体が入ると同時に、今まで我慢してきたチキンを、思い切り思う存分、ばくばく食べながら、息を引き取ったのだ。

1年経つ今でも、マシューとジェニファーは、バーニーのことを余り話題に出せないでいる。

大好きなチキンをむさぼりながら逝ったバーニー、本当に安楽で、幸せな死だったのではないだろうか? と、思う。

また、突然、前夜にいなくなったバーニー、命の神秘が、その終わりを、知っていたのではないだろうか? とも、思う。

グレイハウンドは、それは大人しくて従順で優しく、決して人を噛んだりせぬ、人間の赤ん坊とでも2人っきりでおいておける、そして、気の弱い怖がりな、命である。

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         今残っているのが、やはりレース犬だったリップりー
by yayoitt | 2005-11-20 01:33 | 安楽死に思う | Comments(6)
Commented by じょはんな at 2005-11-21 14:06 x
イギリスの動物愛護精神の歴史、文化、奥が深いのですね。
実は、今悩んでいます。メールにしようと考えたのですが、思い切って相談します。
いろいろ調べれば調べるほど、決心がつかなくて。
■良性脂肪種・・・簡単な初期検査では良性。大きくなると臓器を圧迫する。摘出し、その脂肪腫を細かく調べる。そのことによって近くの常態も調べることが出来る。
★野菜を多くとる食事に替えてから3ヶ月目、2つあった脂肪腫は1つになり、根はなく皮膚の下にあります。1センチぐらいになっています。もう少しこのまま様子を見たいのですが~小さなうちにとったほうがリスクも少なく、回復も早いなど~・・・「2週間後再診させてください」と言われたまま、なかなか先生のところに行けません。とても慎重な先生で、信頼でき不安はないのですが・・・ジョナは嘘のように下痢も完全に治り、元気にしている姿を見ると~・・・
Commented by yayoitt at 2005-11-22 05:19
じょはんなさん、思い切ってご相談くださり、ありがとうございます。私は決して医者ではないので、的確なアドバイスは出来ません。が、私が知っていることと、思うことだけお伝えしたいと思います。

脂肪腫、とてもよくあります...ノーマンの足にもあります。触ると、皮膚の下でころころ動いて、中の筋肉とくっついていないような感じなら、良性と思われることが多いです。中の筋肉とくっついている感じだと、ちょっと心配したりします。でも、もちろん、これは診断にはならず、良悪をはっきりさせるには、切り取って検査に送るしかありません。
Commented by yayoitt at 2005-11-22 05:24
続きです~ つまり選択ですよね 1.手術で取り除けば安心、でも手術の麻酔のリスクがある 2.手術をせずに放置して様子を見る、でもいつも不安

この選択は、じょあんなさんと先生との間で、充分に話し合うしかないと思います。今、お幾つでしたか?高齢の場合、全身麻酔は最低限にします。全身麻酔が神体に与える負担は多いからです。でもまだ若い犬で、今まで全身麻酔の経験がある犬なら、大丈夫でしょう...しかし、人間であれ動物であれ、麻酔で何百例に一例くらい、不幸な例があることも事実です。
Commented by yayoitt at 2005-11-22 05:27
先生とよく話し合ってみてください。じょはんなさんが、保存療法で行きたい、と思われるのであれば、どうぞそれを先生にご相談下さい。怖がらないで、心配しすぎないで、自信を持って、ご相談下さい。

決して、珍しい症例ではないはずなので、心配しすぎないで下さいね。

またその後、どうされたか、教えて下さい。
Commented by じょはんな at 2005-11-22 17:36 x
ありがとうございました。 ジョナハナは8歳6ヶ月、昨年歯石除去、全身麻酔を経験。なかなか麻酔が覚めず2日入院、帰ってから、ハナは階段転げ落ちたり。その時はジョナのほうが覚醒が早かったですね。
私も麻酔のほうが心配です。 
重い腰を押してくれてありがとう! 迷わず、に判断できそうです。



Commented by やっこ at 2005-11-23 05:31 x
じょはんなさん、どちらの選択にしろ、じょはんなさんの、愛情ある選択であれば、ジョハナは幸せですね。ご自身の決断に自信をお持ち下さい!!
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