人気ブログランキング |
日本のお正月に想う 1
    ♪もう幾つ、寝ると、お正月♪
大晦日、お正月…。
一年のうちで、こんなにも忙しく、待ち遠しく、ゆっくりとした時間が他に、あるだろうか?
師走に入ると、仕事をしていれば、仕事は常に忙しさを増す。看護婦をしていても、それは同じことだった。年末年始に病院が休みになるというので、外来に、患者さんが詰め掛ける。
また、一気に寒くなる時期でもあるので、多くの人が、風邪を引いて外来にみえ、お年寄りが風邪をこじらせて、入院することになったりする。師走、誰もが走り回る、忙しい時期なのだ。
仕事で走り回りながらも、我が家に帰ると、山積みの年賀状書きが待っている。そして、家で大掃除に明け暮れた後ホッとすると、待ちに待った大晦日の晩と、お正月が来る。この、大忙しの日々から、一気に開放されて、家でゴロゴロする怠惰な感じが、何とも言えない。お正月の雰囲気と、それにまつわる思い出は独特のもので、私の最も愛する時期のひとつである。
私の田舎では、昔は必ず、お正月には雪が降った。
ここ数年は、雪のないお正月が多いのだが、子供の頃は、56豪雪などもあり、決まって、大晦日の夜辺りから、しんしんと、静かに、寒い、重い、雪が降り出すのだ。雪は、音を吸収するので、夜は、いたって静かで、時間が重たく流れる気がする。大晦日の夜は、夕方5時を過ぎると、小さな田舎の町は、誰も歩いておらず、ひたすら地面に降る雪の、その音さえも、聞こえるくらいに、静かであった。我が家では、昔から、決まって年取り(としとり)の夜には、家族ですき焼きを囲んだ。茶の間で夕食を食べていたので、真ん中に置かれた四角い堀りコタツの、母が一番入り口に近い場所に、その向かい側に2人の姉が、その右側の面におじいさんが、そして向かい側に、父と私が座って、6人で、1つの鍋の熱い湯気を囲む。その頃、甘い牛肉を食べるという機会はこの夜だけで、子供だった私達にとっても、多分、両親とおじいさんにとっても、心騒ぐ夜だったことは、言うまでもない。私は、特に、牛肉の脂身が大好きで、いつも、皆から脂身をもらって、ジュルジュルとそれを食べた。脂身は、今でこそ、身体に悪いと残す物だが、私は掬(すく)って小さな欠片も食べた。白いご飯の上に、すき焼きの甘い汁がしみると、茶色く染まって、ご飯一粒一粒が、箸(はし)で掬(すく)おうと思っても、つるつるすべる。それを、指でつまんで口に運ぶと、この上ない幸せを感じたものだ。茶の間の角、玄関から二階に続く階段の下に置かれたテレビでは、大晦日の番組が始まっている。
どれも特集番組なので、どのチャンネルでも、見応えがある。ドリフの大爆笑だったり、華やかな歌番組だったり、甘い肉を噛みながら、テレビに声をあげて笑う。家族揃って声をあげて笑う、外は雪が降り続く、コタツの中で、足と足がぶつかり、縄張り争いをする。間違って父親の足を蹴って、また、大声で皆で笑う。この夜が、永遠に続くかのように、ゆっくりと時は流れ、少しずつおなかは満腹になり、ひっそりと、雪は降り積もり、その年は幕を下ろす。
c0027188_0331377.jpg

by yayoitt | 2004-12-02 22:54 | 思い出 | Comments(0)
<< 日本のお正月に想う 2 12月6日を待つ女達 >>