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恋人たちのクリスマス 1
日本でのクリスマスといえば、家族との団欒よりは、恋人たちの熱い一夜、といったイメージが強い。聖子ちゃんの歌でも、♪今夜、わたぁしは、あなたの物よぉ♪とあるように、女の子が、自分にリボンをつけて、クリスマスには私を包んであげる!という具合。
クリスマスの本来の意味は、もうどうでもよく、プレゼント交換からはじまり、ホワイトクリスマスになどなれば、雰囲気に駆り立たされ、すっかりロマンチックに陥る。だから、恋人達が、内緒にしていたプレゼントで、愛する相手を驚かせた後、すっかりとろけてしまうのは、自然だと思う。
やっこにも、こんな時代はあったわけで、最初の思い出は、小学校5年生にさかのぼる。
いじめられっこを克服し、ピエロのごとく、おかしな顔をしたりして友人を作り、明るく、ひょうきんな子、と定評を得始めた頃だった。その頃の11歳にしたら多分、ちょっと私は、ませていた。ラブレターというものが、一部の活発な子供達の間で流行し、私も、恋らしき恋をしていたので、3人の男の子に、ラブレターを出した。同じクラスだから、ラブレターを出した後の、ドキドキは、きっとあったはずなのに、私の記憶には、全くそれは残っていない。
最初の男の子は、最初と言うだけに、一番好きだった子だ。
彼のお父さんは、学校の音楽の先生で、彼自身、どことなく音楽家という雰囲気があり、背が高く、無口で、頭がよくインテリジェンスな、長めの黒髪の似合う小学生だった。理科の実験で、2人で気が合い、腹抱えて笑いながら授業を受けたのをきっかけに、とても、その子を好きになった。学校のすぐ近くに、彼の家はあったので、放課後や休みの日に、校庭で一人で遊ぶ姿を私は、校庭の反対側、半分に切って埋められている色つきのタイヤに座っては、眺めていた。スヌーピーはピーナッツの、シュローダーみたいな子だった。いつか休みの日に、一緒に校庭で、ジャングルジムをしたり、鉄棒を並んでしたい、と願った。結局ラブレターは、彼には届いたけど、私に返事は届かなかった。それからは多分、子供ながらにぎくしゃくして、折角の友人関係も、壊れた気がする。去年、偶然に故郷のあるお店で働く彼に出会い、私の母を通じて、お互い、“あっ、あのラブレターの…”と思い出したはずなのに、ただ頭を下げただけだった。私のラブレターが、彼の思い出に、どんな風に残っているのだろう?
11歳の私は、すぐに、2人目の男の子にラブレターを出した。
この時点で私は、本命にふられて、やけになって誰でも良いと、酒を飲みながら“男じゃぁ、おとこ!おとこをくれぇ!”と叫ぶ小学生、みたいだった。2人目の男の子は、足が速くて、年中日焼けして真っ黒で、真っ白な歯を見せて笑う子だった。ところが、大将っぽい存在の女の子が、私と同時に彼にラブレターを出し、結局、その放課後、彼女と2人で彼を追廻し、“どっちにするの?どっちにするの?”と、彼の家まで付いて行き、ヘラヘラ笑ってばかりの彼が、家に逃げて入ってからは、急に2人とも興味を失い、夕方彼女の家に行って、次のラブレター書きの話をして終わった。翌日、もう次のラブレターが出来上がり、私は、3通目のラブレターを、ある男の子に手渡した。
この男の子は、背が低くて、いつも真っ赤な荒い手編みのタートルネックのセーターを着た、
クラスでは男の子にも女の子にも人気のある、ひょうきんな、いがぐり坊主の男の子だった。
彼は、背は小さいのに、実は案外おませで、真剣に私のラブレターに答えてくれた。
その日から、2人はカップルになり、生まれて初めての、“つきあう”経験をすることに。
とはいえ、何といっても小学生。することと言えば、交換日記、である。また、ちょうどその時期が、クリスマス前だったこともあり、プレゼント交換をすることを約束した。交換日記以外、一緒に遊ぶわけでもなく、クラスで話すわけでもなく、ただ気恥ずかしいだけで、すっかり話しさえしなかった。私にはその頃、恋人とこうしたい!というファンタジーがあり、それは、雪の舞うクリスマスイブの設定であった。故郷の町は、大きな川が、町を2つに切り取るように流れている。その川に架かる橋のうち、1つだけ、歩行者専用の、狭い橋がある。その橋の真ん中で、2人が会って、プレゼントを交換する。これが、私の中の、恋人が出来たら…という、憧れの設定だった。だから、今年は、ようやくこの夢が叶うと、心ウキウキ、イブを待ち焦がれたのだ。その年のイブは、とても寒くなり、チラチラと小さな雪が降っていた。
私は交換日記で、その小さな男の子に、時間と場所を告げた。
 xx 橋の真ん中で、6時
6時に、私は結局、橋の中央へ行く勇気がなく、橋の袂で、その男の子が来るのを見ていた。
今思うと、きっとどこかでその男の子も、橋の袂から、私が来るのを見ていたのかも知れない。6時を少し過ぎただけなのに、急に怖くなって私は、家に逃げて帰った。その時に、私があげようとしていたプレゼントが何だったかも、忘れてしまったが、その時の、急に、ロマンチックな夢見た光景が、現実となって近づいてくる怖さ、を寒さの中、痛感したのである。
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by yayoitt | 2004-12-12 03:08 | 恋愛とは... | Comments(0)
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