命よりも大切なものとは … ラスカルという犬のこと (その1)
そのオスのちっちゃな犬が、重症で病院に来たのは3年前。

膀胱でできた尿結石が尿管で詰まり、尿が出なくなった。

ご主人がそれに、すぐに気付かず、溜まった尿は逆上して腎臓へ。

病院に来た時には、腎不全に近い状態だった。

緊急の手術で石を取り除き、点滴や薬で腎臓を洗い流す。

数日に及ぶ治療で、見違えるほど元気になった彼はまだ4歳だった。

ヨークシャーテリアの男の子の名は ラスカル 
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大手術のあとは、一生を特別な食事で経過を見る必要がある。

彼の結石が何でできているか顕微鏡で調べ、それができにくい食事を考える。

彼の場合は、2種類の物質から結石が作られていた。

飼い主さんと獣医師は何度も話をして、特別食の重要さを伝えた。

数ヶ月は、指定された特別食を買いに来ていた飼い主さん …

その後はすっかり、病院に戻って来なかった。

去年、新しく子猫を買ったりして病院にはやって来たけれど。

先週の木曜日 …。

 口が臭くて … 

ということで ラスカル は歯の治療に連れて来られた。

全身麻酔で行う治療の前。

ラスカル がオシッコをポタポタと漏らすのに気が付いた。
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全身麻酔で歯の治療を行ってから、超音波で膀胱を見てみると …

大きな2つの結石と、無数の細かい結石を認めた。

細かい結石が尿管を傷付けているらしく、尿の鮮血度はとても高かった。

 このままでは、いつまた、尿管に石が詰まるか時間の問題だ …

 早期に手術をして石を取り出し、膀胱を洗わなくてはいけない …

 もうずっと、指定された食事を与えられていなかったに違いない …
 

3年前、まだ4歳の若い ラスカル が腎不全で死と向かい合った。

その彼を迎えに来た飼い主さんは、彼の回復をとても喜んでいた。

けれど同時に、数百ポンド(数万円)の手術費に顔をしかめていた。

特別食の説明は理解してくれても、その値段にため息を吐いていた。

スーパーで買える、今までの安価なペットフードとは違う。

… ラスカルの命と引き換えの、少し高価なペットフードに払うお金 

なのである。
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3年前の手術後、この特別食を完全に続けていれば …

こうしてまた、同じ手術を受けなければならない必要ななかったのである。

だけど、その お金 を渋った為に …

いつまた詰まるかわからぬ 爆弾 を抱えさせることとなったのだ。

歯の治療を終えた ラスカル が全身麻酔から目覚めた。

獣医師が飼い主さんに電話をかける。

結石がまたできていることを …。

早急に手術をしないといけないことを …。

すると …。

 そんなお金はないんだ

 そんなんだったら、安楽死させるしかないよ


飼い主さんはそう言って、電話を切った。

その1時間後、獣医師との話し合いの為、飼い主さんが病院にやって来た。 

その2 に続く
by yayoitt | 2011-07-01 03:30 | 動物病院レポート ケースから | Comments(18)
Commented by kworca at 2011-07-03 05:29 x
もし、その飼い主さん自らが同じような状況になったなら、
やはり同じ事をし、同じ事を言うのかな…
Commented by HollyNoahDaisy at 2011-07-03 14:39 x
やっこさん、私こういう飼い主耐えられません!
自分の食事のグレードを下げたってラスカルの命に関わる高価なフードを買うのが当然でしょう?

I can afford itはなんて簡単な言い訳なんでしょう!本当にその気になれば、あんなに小さなラスカルのフードなんてAffordできるに決まっているのに!そんな理由で安楽死なんて絶対に許せません。だったら他の飼い主さんを責任もって探してください。

うちのフォスターパピーJakeは3本足になってしまったけれど、そして今後も何かと医療費がかかる可能性が健常な犬より大きいかもしれないけれど、それもこれもみんな承知で引き取ってくれる人が必ずいるはずと信じて、時間をかけて探しています。

ラスカルだってそういう飼い主さんと暮したほうがずっと幸せですよ。口が臭いからという理由でTeeth Cleaningにはお金を出すけど(アメリカだったら300ドル位します)、尿道結石の数百ドルが出せないって、いったいどういうことなんでしょうか!

つい言い方がきつくなってしまいました。この続きを早く聞きたいです。そしてそれがどうか飼い主さんの考えが変わったという話でありますよう。。。
Commented by chocorachocora at 2011-07-03 19:08
我が家のナノもブログを始める前まで何度も膀胱炎になり、何度目かには石が膀胱に出来たりしましたが、それからphコントロールに完全に切り替えました。他のニャンコのご飯をとったらいけないので、動物病院の先生のアドバイスで全員phコントロールに変えました。
今はスネオだけ違いますが…(スネオはナノとモカのご飯は盗っても、ぜったいに自分のは盗られない)
そのおかげでこの3年間は1度も石が出来ていません。

その飼い主さんは療養食の効果を疑っているのでしょうか?
本当にお金を出すことを渋っているのでしょうか?

家族であれば、命の方を選択するのは当たり前、大手術の費用とかではないし、・・それを選択してもらえないラスカルは悲しいですね。
Commented by kepurunte at 2011-07-03 19:49
うちのバロンに そっくりで
たまりません。
飼い主が その子の命 健康を左右するんですよね
わが子と同じじゃないですか
飼い主を親に 置き換えたら....
たまりません 本当にお金がないなら 口が臭い
程度で病院へ連れて来るのかな?
ペットにも健康保険があればいのに..
Commented by coco at 2011-07-03 21:48 x
信じられないですね。
なんだかやりきれないです。

安楽死?
こんな安楽死は有ってはならないです。

ラスカル、里親さんを捜せるなら捜した方が良いですね。
Commented by カリーノパパ at 2011-07-03 23:02 x
こんな可愛いラスカルを安楽死なんて、とんでもないですね。
しかも助からない命というわけではなく、適切な治療をして、適切な食事をとれば、元通りの元気な身体になれるとわかっているのですから。
私も皆さんと同じ気持ちです。

我が家のシェリーも膀胱炎になったことがあり、最初は、phコントロール、その後、phケアというドッグフードを食べていますが、そのお陰か、膀胱炎の症状は全く出なくなりました。
このくらいのことは、大切な家族のことを思えば、誰にでもできることのように思うのですが・・・。
Commented by yayoitt at 2011-07-04 04:33
桂子っちん

答えは … No なんだと思う。

悲しいかな、共に暮らす動物のことになると、人の命よりも
目の前のお金のことが 大きな問題 となって立ち塞がるのだと。

同じ命、同じ家族であるのに、何故だか、そこには
困難にぶつかった時に、1と2とに分けられる順位が出てくる、
そういう人は、もしかしたら少なくはないのかも知れないね。

読んでくれてありがとう! 
Commented by yayoitt at 2011-07-04 04:41
由喜さん

本当に、私たちも唖然としてしまったのです。
一時的な感情であって欲しいと願ったのですが、家族で話し合って
やっぱりそういう決断を下したことが、とても悲しかったです。

年に一度は、この家族も旅行に行くのだと思います。
新しく子猫も買ったのだし、子猫のフードも買えるのだし …。

タバコを吸われる家族なのですから、タバコのかかる金額を
セーブすることできっと、彼の特別食ほどのお金はまかなえると
あくまでも想像ですが、そう思えるのです …。

ラスカルの場合、確かに 健康体 とは言い切れないにしても
ちゃんと特別食を続けて行けば、普通に健康な犬として問題なく
生活ができるのですよね。

だからこそ、ラスカルの場合の安楽死は、たとえそれが 所有者
である飼い主さんからの申し出であっても、獣医師側には断る
理由と権利があったのです。
 
Commented by yayoitt at 2011-07-04 04:41
続きます

Jake はきっと、きっと、彼自身を、彼の生活全てをちゃんと
受け入れてくれる飼い主さんが現われると信じています。

由喜さん、由喜さんが感じられる憤り、実にそのまま私たちも
この2日間、強く感じていました。
ラスカルのその後について、文を書き終えました。
彼は幸せになります、第二の犬生を、全うします!!

本当に、ありがとうございます!
Commented by yayoitt at 2011-07-04 04:48
Maama

そうですよね。
ナノは尿結石コントロールの特別食だよね。

こういう 体質 の子って少なくないのですよね。
だからこそ、食事で石ができないようにコントロールしなくては
それがとってもとっても大事になってくるんですよね。

みんな、phコントロール食を食べてるんだね!!
お金のことを考えると、それは決して 容易い出費 ではないと
思います、だけどMaamaは、ナノのことを考えて、そういう
飼い主さんとしての責任の上から決断をしたんだね!!
とっても嬉しいです。そういう飼い主さんの話を聞けると …。

… ぶっっ スネオはすっごいなぁ~~!! 爆

ラスカルの元飼い主さんは、何度も話し合われたことだから
療養食の大切さは十重に承知しているはずなんです。
やっぱり、お金が掛かる ・・・ というのが彼らにとって
ラスカルの命を諦めるよりも 嫌なこと だったのでしょうね。

本当に私たちはひどく憤りました。
けれど … ラスカルは今、幸せな時間を未来に向かって
歩み始めました!!

どうも、ありがとうね、Maama。 
Commented by yayoitt at 2011-07-04 04:57
kep さん

バロンは、こんなヨークシャーテリアなのですね!!
↑ この写真はラスカルではありませんが、今日の新しい記事の
写真は、この週末のラスカルの写真なんですよ!! 

飼われている犬や猫は、あくまでも 飼い主さんの所有物 という
位置づけになるので、飼い主さんに、その子の命から生活すべてを
左右させるだけの力が、確かにあるのですよね。

だからこそ、一緒に暮らす動物への 最低限の保障
(食事 眠る場所 必要な運動量 医療費)が与えられない
のであれば、動物を飼う資格は、本当はないんですよね。
けれど、今の世の中では、それをコントロールすることができない。
英国でもそれが大きな問題でありながら、誰がどんな動物と暮らすか
の管理まではできない状況です。
Commented by yayoitt at 2011-07-04 04:57
続きます

その通り、わが子と同じはずなんですよね。
もしかしたら、我が子以上であるかも知れないのに …。
(これは推測に過ぎませんが)

英国ではペット保険が充実しているんです。
けれど、もともとお金のない(と思っている)人にとっては
月々払う、万が一何かの時の為のペット保険への掛け金は
到底、選択はしないのかも知れません。

うちのノーマンは、月々値上がる掛け金で(苦笑)保険に
入っていますが、その理由はやっぱり、何かがあった時に
お金を理由に、受けられる検査や治療を選択できないような
そんな状況を決して作りたくなかったからなのです。

Kep さん、本当に、ありがとうございます! 
Commented by yayoitt at 2011-07-04 05:02
coco さん

本当に、私たちもこの2日間、信じられない思いと、激しい憤り、
そしてなんとかどうにかそれ(飼い主さんが安楽死を選択すると
いうこと)が一時的な感情であって欲しいと願いました。

ラスカルの場合は、たとえそれが飼い主さんからの申し出で
あったにしても、ちゃんと特別食を与えていれば、他には申し分ない
健康な犬なので、獣医師たちも強く安楽死の拒否をすることが
できました。

ラスカル、今週末から新しい名前(苗字)になって、
とても元気に幸せに第二の犬生を暮らし始めました!!

Coco さん、どうもありがとうございます。
本当に、犬猫動物は、飼い主さんを選べないのが …
とっても悲しいです。 
Commented by yayoitt at 2011-07-04 05:11
カリーノパパ

本当に、そうなんです。
たとえ飼い主さんであっても …。
特別食に徹底したら、それだけでラスカルは完全な健康体の犬。
そんな健康で問題のない犬を、やはり お金 が理由で
安楽死という選択をするのは、これは 虐待 ですよね。
飼い主さんの余りにも利己的な考えですよね。

シェリーもphコントロール食なのですね!!
そうなんですよね、尿結石などは、食事を変えることによって
(原因になるものを摂取しないことによって)ちゃんとコントロール
できるんですよね!!
確かに、他のスーパーで買えるドッグフードよりは高価だけれど
だけど、命の引き換えなんですよね、そのフードが。

シェリー、幸せですね!!
そして、ずっとコントロールされているようで、とっても嬉しいです。
Commented by yayoitt at 2011-07-04 05:11
続きます

ちょっとの努力なんだと思います。
このラスカルの元飼い主さん家族は、タバコを吸われます。
英国のタバコは今、20本で£5(800円くらい)。
もしも一日に家族全員で一箱消費するとしたら、タバコを減らしたり
やめることで、かなりのお金が浮いてくると思います。

その飼い主さんが 何を優先する のか …。

利己的選択だけは、これは、やはり許されないですよね。
それぞれの理由があるにしろ …。

カリーノパパ、ありがとうございます!!
ラスカルは、第二の犬生、歩み始めました!
Commented by HollyNoahDaisy at 2011-07-04 05:18 x
あ~よかった!これがベストの道ですね。
悪いけれど、特別食を買うのを拒むような飼い主には任せておけません。飼い主を犬は選ぶことはできないけれど、飼い主は犬を選べるんです!しかも少々健康面や肉体的に問題のある犬だって、ちゃんと選んでもらえるんですよ。そういう心の広い人たちもこの世の中に存在するということもまた事実ですよね。

私もペット保険に全犬と全猫(Holly, Noah, Daisy, Lilo, Eliza、と娘の猫Oliver)計6匹を入れています。掛け金は毎月110ドルほど。一日にすれば4ドル未満です。コーヒー一杯我慢すれば(もともとそういうコーヒーは飲んでいないけど。主人のワインのグレードを落とせばーこれは確かに効果あり)、ひねり出せる金額なんです。今のところかなり掛け捨てに近いけれど、それはそれでみんなが健康だってことへの感謝になりますし、もし手術などが必要になったときに、なんの躊躇もなく「お願いします。手術で助けてください!」って言うことができるから。
Commented by HollyNoahDaisy at 2011-07-04 05:18 x
続きます。

>だからこそ、一緒に暮らす動物への 最低限の保障
(食事 眠る場所 必要な運動量 医療費)が与えられない
のであれば、動物を飼う資格は、本当はないんですよね。

確かにその通りですね。全く同感です。ありがとうやっこさん。
Commented by yayoitt at 2011-07-05 04:00
由喜さん

きっと、やきもきされていたのでは …。
本当に見守ってくださり、ありがとうございます。

今回は、病院のスタッフが彼の面倒を一生見る! という
良い状況と環境が揃って本当に良かったです。
けれど、こういう彼でも、探したら必ずそこには、彼を愛して
引き取ってくれる人はいるはずですよね!

ふふふ ご主人のワインの格をちょっと落として … 爆

そうなんですよね、ひねり出せる、金額です。
ラスカルの特別食も、そんな範囲内のお金だと、思うのですが。

だからこその、その為の、保険 なんですよね。

由喜さん、本当に同じレベルで 命 を考え、感じて
下さる由喜さんに感謝します。

ここに集う優しい人々に、感激です。
ありがとうございます!
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