この週は、とっても悲しい週だった。
沢山の動物が、虹の橋を渡った。 予後が危ぶまれる猫もいた。 いつ、骨折してもおかしくはない、骨肉腫の犬が3犬もいた。 飼い主さんの見落としで、オシッコができず、腎不全に至った仔猫がいた。 毎日が忙しくて、仕事の終わりには、大きな溜息が出る。 気が付くと、誰もが溜息を吐いている。 そんな1週間。 帰宅時間も近づく、ある午後 ・・・ 犬の症例の話を、同僚の動物の看護師としていた。 PLT *(英 Platelet 血小板)が極端に減少した犬のことで。 PLT(血小板)とは 血液に含まれる細胞成分の一つで血管が損傷すると集合し 傷口をふさいで出血を止める役割 診察に来た犬の身体中に、出血班が浮き出ていた。 早速、その犬の頸から、獣医師が血液を採取。 針を抜いた後、通常なら1~2分止血するけれど ・・・ その犬の場合は、PLT減少が疑われるので、約5分ほど止血を施した。 つまり、針を刺した部分を強く手で押さえるのである。 その後、この犬には現在、PLTがほとんど皆無であることがわかった。 同僚が、私に言った。 かわいそうな、やっこ! PLTがゼロなのにに、止血の責任を任せられるなんて! もしも、ちゃんと止血してなかったら、命に関わるのに! 実際、止血はできていたのだが。 この言葉に、私は カチン と来てしまったのだ。 私の頭の中では ・・・ あれだけの出血班があれば、PLTに問題があることは一目瞭然! だから、ちゃんと長時間を掛けて、止血をしたんだから! 言葉では ・・・ でも、ちゃんと止血はできてたんだよね? それに、わたし 人間の看護師 だよ! そう。 つい、苛々っとして、口から出てしまった。 私が相手の立場なら、もっとも嫌うであろう、この言葉。 わたし 人間の看護師 だよ 日頃から、気を付けてはいるのに ・・・。 動物の看護師と、人間の看護師。 基本的な知識は同じでも、その専門はまったく違う。 技術は、同じと考えてはいけない。 案の定、同僚は気分を害してしまった。 その後、2人でゆっくりと話し合い、私は謝罪し、笑い合って抱き合った。 彼女は、動物の看護師として、私に色々なことを教えてくれる。 それを素直に受け入れ、とても感謝しているのに。 それに私は、決して誇れるような看護師じゃなかった。 物覚えは悪いし、レントゲンも読むのが苦手だった。 なのに ・・・ わたし、何様だよっっ と、帰りのバスの中で、窓に頭を何度も ゴツンゴツン と当てたのだった。 実るほどに頭を垂れる稲穂かな ・・・
by yayoitt
| 2010-11-04 04:51
| 動物病院での出来事、仕事
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