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目を覚ます瞬間、飛び出す言葉
仕事帰りのバスの中。

車内の気温は高く、遅い時間だったので乗客もまばら。

車窓から見えるのは、クリスマスショッピングの人込みと煌めく人工の光。

バスに乗ってから、5曲目くらいまで聞こえていたウオークマンの安全地帯。

その優しい歌が、子守唄に変わり ・・・ 

短い、深い眠りに落ちた。

・・・ と。

右腕を、誰かに突付かれる感じで、目を覚ます。

突然に、そう、本当に突然に、文字通り はっっ と目を覚ます。

その はっっ とした瞬間に、頭の中が困惑し、色んな思いや考えが交錯した。

それは、コンマ数秒のこと。

咄嗟に、頭の中に、何故か浮かび上がる ことば があった。

その ことば には何の脈絡もなく、意味もない。

 バケラッタ
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右手を、突っついていたのは、1人の男性。

 バケラッタ

目を見開いて彼の顔を見て、自分が何処にいるかもわからない瞬間。

 バケラッタ

思わず、頭に浮んだこの ことば を叫びそうになった。

 バケラッタ

その人は、バスの視察官(不意打ちでバスに乗り、乗客のチケットを調べる人)。

 バケラッタ

 “ どこまで行くんですか? ”

彼の質問の意図がつかめず、乗り過ごしたのかと辺りを見回す。

 バケラッタ

まだ、街の中央にいることがわかって、目を覚ました瞬間の数秒後、現実に戻った。

 “ あ、すみません、つい眠ってて ・・・ ”

と、バスパスを提示した。

視察官は笑いながら “ 謝らなくて良いよ ” と言い、パスを返してくれた。

彼は、そのまま、2階へと上がって行った。

一瞬の頭の中の錯乱に、まだ心臓がドキドキしている。

そして ことば を噛み締めた。

 バケラッタ

それにしても、目覚めた瞬間に浮んだこの言葉を、口に出して叫ばなくて良かった。

どう考えても、意味不明の言葉である。

なんで バケラッタ だったのだろう ・・・。

バケラッタ をブツブツ繰り返しながら、それからはもう、眠れなかった。

バケラッタ って ・・・。

おばけのQ太郎の、O次郎(オーちゃん) だし ・・・。

もしも、叫んでしまったら、どう取り繕っただろう ・・・。

きっと、O次郎 の声色で甲高く叫んだのだろうし ・・・。

 ば~けるあっとぅわぁ~ 

なんて、英語っぽく繰り返しても、意味不明に輪を掛けただけだろうし ・・・。

それに対して視察官の彼が、アメリカ英語で ドゥロンパァ~ って答えたらやだし。
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そんなことを、真剣に考えつつ、バスは最寄のバス停に辿り着いたのだった。
by yayoitt | 2008-12-17 04:10 | 英国暮らしって...
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