バトミントン大会 その2
闘魂!と書かれた、まるでハチマキをしているように、私とマイケルは懸命に戦った。ミスすると、それまでは溜息を私にぶっ掛けていた彼が、“もうちょっとだ”とか“運が悪かった”とか励ましてくれる。

何故だ?

勝ち始めたからだ。

彼は、勝ち始めてすっかり、その喜びに浸っているのであった。Tくんチームとの一試合はきつかった。何と言っても、ペアーの一人は、バトミントン(遊びじゃなくって真剣に)経験者。

構え方なんか全然違う!

私なんて、前傾姿勢で、テニスの構えだったのに、彼のを見て、あら?私の構えって一体…?と思ってしまった。直立で、両腕を伸ばすようにして、ラケットを持っている方の腕を高く上げて待つのだ。足は、前後に出している。テニスの場合、足は左右に開く。彼からの攻撃は続く、特に、マイケルと彼とのラリーが続くと、私とTくんは、試合中にもかかわらずちょっと引いてしまった。二人の世界を見守るしかない…ぎゃっ、と思ったら私に来た。ほらぁ、ミスったぁ、ぼっとしてるから。このゲーム中、マイケルからは何度こう叫ばれた。

“やっこ、ウェィク アッブ!”

最後の P の部分に力がこもっているから、ブ だ。それでもどうにか、目を覚ますまもなく、燃え滾るマイケルのTくん攻撃のおかげで我々は勝利を手に入れた。この試合後、奥さんをおうちにおいて来てしまった(奥さんは忙しくて来れなかったの)Tさんが、その唯一のバドミントン経験者の彼とペアーになって、私達とプレー。Tさんもテニス構えで、私はホッとしたが、それを見た私は急に背筋を伸ばしてバトミントン構えを。ふふん、バトミントンの構えはねェ、こうざますのよ、お蛾(が)婦人が教えて差し上げるわ♪全く、タカビーな、いやな女だ。大体、全員が試合をやり合い、特にその中での勝者を決めるわけではなかったので、ただただ自己満足で腹の中で怒ったり喜んだりしている。さぁ、ちょっと真剣さの中にも、色気を、ということで、女性軍のみでプレーすることとなった。

     お色気チーム、まだ続く
# by yayoitt | 2005-03-09 23:13 | 英国暮らしって... | Comments(4)
INTERNATIONAL WOMAN’S DAY
INTERNATIONAL WOMAN’S DAY

今日は、国際女性の日 である。
1909年にアメリカで発足されて以来、余り私たち日本人にはお馴染みではないが、毎年記念されている。こちらでは、ちゃんと今日の為のカードまで売ってある。女性に感謝しましょう、女性に敬意を払うのを忘れないようにしましょう。同僚のスコティッシュの彼女は言う。
"今日は、家で何もしなくていい日なの。ご飯を作るのもなし、掃除も彼がやってくれるの”
昨日のうちにマイケルに言っておいた。

“マイケル、明日は、女性記念の日だよ”

“ふぅん”

“あんた、サッカーなんかに行ってないで、ご飯作ってくれる?”

“へっっ”

鼻であしらわれた…。まぁ、彼の場合、よくご飯も作るし、掃除以外は何でも自分でやるから私はそれ以上の強要は出来ない。

“で、いつが男性記念の日なんだ?”

“いやっ、あの、それは、男性はそんなものがなくても強いし、大柄だからぁ…”

性差別もはなはだしい、私の発言だった。この記念日の目的は、経済的、政治的、ソーシャル的女性の活躍を祝う、というものである。女性がいつも男性より下にいた時代は、多くの発展国では過ぎて来ている。だが、この記念日は、それぞれの国としてではなく、世界の女性がテーマなので、これからの問題は沢山ある。基本的に、平等を唱えるものである。さぁ、世の中には、数々の記念日がある。特に“母の日”“父の日”“敬老の日”“勤労感謝の日”“身体障害者の日”など、人をテーマにした記念日は多い。これには、私は昔から、正直言うと小学生の時から疑問がある。どうして、特別にこういう日を、決めなければならないのか?もしも、日頃から、母を敬い、感謝していたら、国で決めた母の日なんていらない。敬老の日も、その日じゃなければ何故、自分の祖父母を労われないのだろうか?話は飛躍するが、シルバーシートにしても、何故、そういうシートを作ってあげないと、老人や身体的により辛い人に関を譲れないのだろうか?本当は、こんな特別な日なんていらないはずだ。日頃から人が人に敬意を払い、感謝をしていれば。こういう日は、もともと、人々にそういう気持ちを思い出させるためにあるのだろうが、その日だけに頼って、あとは、老人を敬いもせず、ありがとうも言わない孫たちって、案外多いのではないだろうか?シルバーシートでなければ、頑として席を譲れない人が多いのではないのだろうか?

これって、変だ。

身体障害者の日も、彼らをどうしてそうやって特別扱いするのだろうか?身体の障害があったって、同じ人間同士、彼らの記念日を特別作っておいて、何故、健常者の日はないのか?あったらいい、と言ってるわけではなく、基本的に、差別意識からこの記念日が生まれていないか?と疑問に思うのだ。この女性の記念日は、女性が虐げられてきた時代を、女性が力強く超えてきたことを記念するものである。それを記念日、と認めるのは賛成だが、果たして、じゃぁ、今日は女性は楽に出来る日だとか、ご飯は作らなくていい日だ、と誤った解釈が付くと、せっかくの記念の日が、結局は女性は家にいて家事をするべし、を見せ付けられる気がする。記念することや、敬うこと、愛すること、思い出すこと、それは人それぞれの心の中にある。だから、9月11日を世界中で黙祷しよう、なんてテレビでやらなくったっていいと、私は思う。それは、それぞれの心の中にあり、個人が時に思い出せればいいのだ。それに、毎日、多くの人々が色々な理由で亡くなっている。病気で亡くなる命と、テロリストの攻撃で亡くなった命に、差別はなく、同じ命なのだから。毎日が、個人こじんにとっての記念日だったりすればいいのではないかな。

優しく思える、記念日や敬う日、本当に大切なのは、人間の心だ。
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# by yayoitt | 2005-03-08 20:41 | やっこの思想 | Comments(1)
バドミントン大会 その1
出た、出た出た、出た!
筋肉痛が、出た。
結構、来た!痛い、痛い。
しかも翌日に、出た…ということは、よく言う、年齢による筋肉の衰えは、まだ余りないわよ、ってこと?でも、これって本当だろうか?何を根源に、若い人には筋肉痛が翌日出て、年を取ると二日目に出る、とか言うのだろう?とにかく、今日は、筋肉痛で私は苦しんでいる。
体中が痛い。首まで痛い。
昨日は、サイトを通じて知り合ったエーディンバラに住む友人達、総勢11人でバドミントン大会をしたのだ。5組のカップルと、あいにく参加できなかった友人のご主人の11人。どうやって勝敗を決めていくか?リーグ戦か?カップ戦か?色々考えたが、結局、全員が全員とダブルスで当たるようにプレーし、特に、全体としての勝ち負けは決めなかった。私とマイケルは、2人とも最後にバドミントンした経験は、10歳ごろで、それ以後は一度もそのラケットすら握っていない。
ルールも知らない、でも、彼はテニスが上手いし、私もテニスはダブルスなら時々“いいじゃぁないの”と思う。だけど、テニスは多少の助けにはなっても、やはり勝手が全然違う。
前日、マイケルと話し合った。
作戦会議 … 

マイケル “よし、やっこ、いいか”

やっこ “はい”

マイケル “いいか、勝つんだぞ”

やっこ “はい”

マイケル “ミスはするんじゃないぞ”

やっこ “は ”

マイケル “バウンドしてから打つなよ”

あんた、それじゃあ、作戦会議ではなくって、ただの励ましと、不可能な注文だけじゃん。私は、実に嫌な予感がしていた。そう、実は、マイケルは人一倍、COMPETITIVE(コンペティティブ)= 競争心が強い のだ。そういう人と、一緒にチームを組むのは、正直言って、怖い。こっちが頑張っていても、ミスすれば、彼は苛立ち溜息付いたり、何か注意したりする。“うっさいんじゃぁい。わかっとるわぁい!”と、私は怒鳴る性格ではないので、ただただ無視する。これが彼にはまた気に入らなくて、険悪になる…これはテニスの時に、嫌と言うほど経験しているのだ。
試合が始まった。最初の第一試合は、私の中では結構彼らはいけるんじゃないかと思ってたカップル。やっぱりぼろ負けた。しかも、私とマイケルは超険悪ムード。私のサーブが上手く入らない。その度に彼が言う“やっこ、サーブは、必ず入るように打て” “誰もわざと入らんように打っとるわけじゃぁ、ねーぇんじゃぁ!”やはりそうは言えないので、ひたすら無視。それでもサーブをミスるから、彼の怒りは収まらない。すみませえん、パートナー替えてください! と言いたかった。それでも、私の超不機嫌さに気が付いたのか、自分の大人気なさに気が付いたのか、マイケルとの2試合目は2人とも頑張った。そして、勝てたから、彼は今度は“よくやった”と褒めてくれた。私もようやく少しご機嫌になった。友人夫婦が、コートは2面、2時間借りてくれてあったので、時間たっぷり、全員とゆっくりゲームをすることに。以前、このバトミントン大会の発案者の友人2人と話をしていたときの事。Hちゃんは、どうやら、何故か、私達(マイケル、やっこ)チームには、絶対勝てる!と宣言らしきものをしたのだ。これは聞き捨てならぬと、私とマイケルは、燃えたのだ。“そりゃぁあね、私達、ちょっとしたおばさん、おじさんだけどね、でもでもね、気持だけは若いのよ!!”… って、それじゃぁ、フォローになっていない。気持に身体が付いて行かないから、困るんじゃないかぁ。さぁ、一試合目を、Yちゃん夫婦に負けたのは何となく私としては納得した。マイケルは、納得していなかった(本当に、負けるのが嫌いな人…)。2試合目の、Nちゃん夫婦は、Nちゃんの悪戦苦闘の姿がかわいらしいにも関わらず、私達はただただ勝つことに燃え、マイケルの容赦なきNちゃん攻撃も続いた為、勝利を獲得した。

      まだまだ燃える戦いは続く
# by yayoitt | 2005-03-07 03:15 | 英国暮らしって... | Comments(0)
NORMAN’S SPAY  3
現在、ノーマンは眠っている。眠っているといっても、深くは眠れずに、あっちにこっちに向きを変えながらじっとしている。痛いのだ。特に、外の傷よりも、中の傷が痛いのだと思われる。昨日の手術後、彼女が完全に目を覚ましてから、しばらくはゆっくりながら自分でも歩いたり尻尾を振る元気があった。ぼぉっ、としながらも、医師や看護師に愛嬌を振って出てこれたのだが、それは痛み止めが効いていたからだと思われる。タクシーを呼んで、家に着くと、彼女はフラットの階段をとても上がれる様子はなかったので、抱いて上がってきた。フラットの中に入ると、私は早速セントラルヒーティングを点けて、ノーマンのベッドの近くのヒーターも開いた。彼女は、なかなかベッドで横になれず、その代わりに床のど真ん中や寝室の戸口のとこで立ち尽くしていたりするのだ。彼女は、彼女ではない、何かがかなりおかしかった。

** やっこ看護師さんよりの説明 その十

これは仕方がないことで、雌犬にとっての、避妊手術は大きなメジャー手術の一つです。一般に、SPAY の完全な回復は3~5日間を要すると言われるくらい、大手術なのです。当日のうちに食事を出来るようになるのは稀で、痛みもしばらく続きます。

私は色々考えた。彼女のベッドは全部で3つあるが、ひとつはビーンズなので深く沈んでしまうので体位を固定しにくく、動く度に痛みを覚えそうだ。もう一つは座布団のような平たいクッションだが、古くて少し小さめなので、身体が出て寒いかもしれない。もう一つはケネルだが、彼女はそこは夜しか使わないし、玄関にあるので常に見張れない。そこで、私はダイニングのソファーに座り、彼女をそこに呼び寄せることにした。今まで、突っ立ってどのベッドにも行こうとせず動かなかったノーマンが、ソファーの上、私の横で眠り始めた。深い眠りではなく、よく目を覚まして、少しおかしな動きをする、多分痛みが出てきたのだろうと思われた。私も疲れていたので、二人でマイケルが帰ってくるまで、ソファーで眠った。ノーマンはずっと鼾(いびき)の様な、今までにない音を鼻から出していた。多分、気管に管が入っていた為に不快感があり、それによって呼吸の仕方が異なり音を出すのか?と考えた。それとも、痛いのかもしれない、痛くて声が漏れるのかもしれない。私も、心が痛んだ。マイケルが帰ってくると、彼はノーマンを“よく頑張った”と褒め称えた。そして、普段なら許されないソファーの上でずっと横になっていた。やっぱり眠りはしない、痛いのだ、特に傷よりは臓器が、特にあんなに腫れて大きくなっていた臓器があった場所が元に戻るのが痛いのだ。夜に2度、オシッコに外へ連れて行ったが、タクシーで帰ってきた時よりも彼女は歩こうとせず、ましてや階段など上ったり降りたりする様子はなかった。マイケルが抱いて階段を下り、外に行っても、いつもオシッコするところまで抱っこして連れて行った。
痛みがある間は、無理させたくない。オシッコするのも時間がかかった。腰を下ろすのに痛みがあってゆっくり慎重で、とにかく何にでも時間がかかった。夜、8時頃、試しにということで食事をあげてみた。多くの犬が、この手術の後にはとても食べたり出来ない、と聞いていたので、ビーグルにもそれが当てはまるか?と疑っていた。彼女は、与えられたとおり、ちゃんとムシャムシャ食べた。ゆっくり小分けしてあげたのを、ちゃんと食べた…やっぱりビーグル、どんな状態であっても食欲は変わらない。

** やっこ看護師さんよりの説明 その十一

麻酔によって、体内の臓器(胃や腸)も眠った状態となり、外から見て麻酔が覚めて見えても、胃や腸はまだ眠っていることがあるので注意が必要です。充分に時間を置いてから、ゆっくり少量を与えて、それで喉に詰まってむせたり、おなかを痛がったり吐いたりしないか確認してから、食事を少しづつ与えることが必要です。特に食べたそうでなければ、無理に与えないのが賢明でしょう。

彼女はその晩(昨夜)、私達の寝室で、私のすぐ横に彼女のベッドの上で過ごした。私が目を覚ます度に、彼女はゴソゴソ動いてク-ン、と音を出していた。痛いのだろう。何回も目を覚ましたが、何度彼女を闇の中に見ても、スヤスヤ眠ってはいなかった。暗闇の中でそっと呼びかける。“ノーマン、本当によくやったね。今も頑張ってるね。時間と共に楽になるから、今晩一晩は痛いけど我慢だね”今朝のノーマンは、昨日よりは確かに表情もいいし、少し歩きもする。でも、ずっと小刻みに震えている…これは“寒い”だけが理由ではなく“痛い”時にも起こるというから、まだ痛みとは戦っているらしい。彼女と私達にとっての長い1日、1夜が、明けた。今はただただ彼女が愛しい、訳がわからず、理解できずにただただ痛みと戦う彼女が、本当に愛しい。

よく頑張ってるよ、本当によく、頑張ったよ、ノーマン!!
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# by yayoitt | 2005-03-06 01:54 | 愛犬ノーマンのこと | Comments(2)
NORMAN’S SPAY  2
動物病院を外に出ると、とても良い天気だったが寒かった。チャリティーショップが数件並んであったが、見て廻りながらも、手術室でのノーマンの状況がありありと描ける。仰向けになって、気管に通した管を麻酔と酸素の両方につなぎ、四肢をピンと伸ばして縛ってあって…その想像を振り消しながら、小物を見たりしていると、見せにあった時計で11時40分になった。ぼちぼち、おなかを塞ぎ始める頃だろうと思い、病院に戻った。手術に立ち会ってくれているのは、看護師のアイリーンと、仕事体験の生徒(16歳くらい)の2人だ。オフィスにいた看護師が、私が戻ってきたので、手術室に様子を見に行ってくれた。“今、縫っているところよ。多分、10分か15分くらいでアイリーンが呼んでくれるって”そうして10分ほど本を読んでオフィスで待っていると、学生の女の子が呼びに来てくれた。医師は、もう外に出てきていて、廊下であったのでお礼を言うと、ニコニコ笑って“調子よく終わったよ”と言ってくれた。手術室に入ると、ノーマンは手術台の上で右側臥位でチューブが入ったままだった。アイリーンが、綺麗に毛の剃られたおなかをコットンで拭いているところだった。彼女と手術台のノーマンを挟んで向かいに立つと、ノーマンはすっかり目を閉じて目覚めていない。でも、そうは遠くはないらしく、目頭をそっと触ると瞼が動く、でも瞼を手で開くと、眼球はすっかり下に下がって膜しか見えない。

** やっこ看護師さんよりの説明 その五

意識のあるなしを確認するのに、犬の場合はよく目頭に触って確認するのですが、猫の場合は敏感な部分、耳の穴の毛などを触ります。深い眠りに落ちている場合は、眼球がすっかり下に下がってしまい、瞼を人間が押し広げても眼球の上に張った膜しか見えませんが、意識の回復と共に、眼球は上に上がってきて、瞼を開いてもちゃんと瞳がそこに見えます。

アイリーンは、ノーマンがゆっくり麻酔から覚めるのを注意深く見つめながら、私に、ノーマンの取り除いた臓器を見せてくれました。私は、カストの中にある彼女の卵巣や卵管を見て、仰天しました。大きかったから。今まで見てきた物と比べ、多分2倍は大きかった。アイリーンは、ヒートの後でもしかしたら想像妊娠などもあって、ホルモンの加減で大きくなっていたのかも…と話してくれた。はっきりした理由はわからないけれど、私は確かに、想像妊娠の精だとおもっている。あと、その卵巣の中に“卵巣腫瘍”があったと話してくれ、2人でそれをコリコリと触ってみた。固めで丸かった。本当に、この手術に踏み切って良かった、ノーマンの今後の為にも、今思い切ってやってよかった、と安心し、アイリーンもそう言ってくれた。

** やっこ看護師さんよりの説明 その六

腫瘍は、数年の月日を経て悪性化する可能性があります。特に女性の卵巣や子宮であると、生理の度に腫れたり擦れたりして刺激され、癌化される可能性は高いのです。

そんな風に色々話していると、ノーマンの身体が少し動いた。アイリーンは咄嗟に、遅れることなく、チューブを抜き取った。

** やっこ看護師さんよりの説明 その七

気管に入ったチューブは、手術中は抜けたりしないように、バルンが付いていてそれを空気で膨らまして固定します。手術後、いつでもそれを抜けるようにバルンは縮めますが、チューブは、動物が覚醒して自分でちゃんと呼吸するまで抜かずにおきます。でも、覚醒してから遅滞なく抜いてあげないと、普段固い物など入ることのない気管に、チューブが入っている痛みや不快感で苦しく、また、暴れて固いチューブが気管を傷つけて出血させる恐れなどもありますから、とても大事な瞬間です。万が一、気管で出血などすると、それが気管を塞いだり肺のほうに流れては取り返しつかぬことになるのです。

アイリーンが、ノーマンを台から少し抱えたまま気管に入っていたチューブを抜き去ると、再び彼女はしばしの眠りに入ってしまった。もうしばらく呼吸の様子を2人で確かめながら、ノーマンを撫でたり目頭を触っては起こそうとした。すると、ノーマンがうっすら目を開けた。目を開けた瞬間、彼女はアイリーンの腕の中で必死にもがきながら、ヒャン、ヒャン、ヒャン、ヒャンとひとしきり啼いた。

** やっこ看護師さんよりの説明 その八

麻酔からの覚醒時、人間もそうなのですが、その個人、動物によって色々な反応が見られます。特に動物の場合、何が何なのか、何が起こったのか、ここがどこなのか、ひどく困惑混乱している為に、また、気管に入っていた管の痛みが残ってもいる為に、ひどく暴れる場合があるので、これまた慎重な瞬間です。手術台から落ちたりしないよう、看護師が必ず覚醒前から後、落ち着くまで抱いて支え、安心させます。

ノーマンは、静かに目覚めるタイプではなく、ひとしきり歌う(看護師さんたちが、啼く、ではなく、これを歌う、と呼んでいる)タイプだった。1分間ほど歌い終わると、ノーマンはアイリーンの腕の中で静かになった。アイリーンが私に、ノーマンを抱えてケネルに連れて行ってくれるか、と聞いたので、私は喜んで彼女を抱いて、廊下の向こう側にある彼女のいたケネルへ入れた。それからノーマンが完全に目を覚まし、自力で頭を持ち上げられるまでのしばらくを、ケネルの戸を開けてノーマンをそっと撫でながら過ごした。

** やっこ看護師さんよりの説明 その九

覚醒後、ほとんどの動物は再び眠りに付くのですが、最初の覚醒時点で、自力で頭を持ち上げられるのを見届けることが、大切な区切りとなります。頭も持ち上げられない間は、常に付き添い、呼吸の変化がないか、嘔吐しないか見守り、自力で頭を持ち上げられれば、その後また眠っても、取り敢えず安心して、そうっとしておくことが出来ます。

その時間は、約2時間ほどだった。ノーマンがケネルに戻ったのが、12時30頃だった。

      まだ、続く
# by yayoitt | 2005-03-05 01:05 | 愛犬ノーマンのこと | Comments(0)
NORMAN’S SPAY
今日は、NORMANのビッグデイ!SPAY … 避妊の手術の日だ。私は有給を取って、1日彼女の付き添いをすることにした。昨夜の20時以降は食べ物をあげていないので、朝の散歩中は拾い食いをしないように細心の注意を払った。

** やっこ看護師さんよりの説明 その一 

麻酔前後で、嘔気がくることがあります。万が一、胃の中に食べ物が残っていると、嘔気と共に嘔吐してしまいます。麻酔中で、嚥下反射などが鈍くなっているところに嘔吐すると、それが気管に詰まったりして、窒息する場合があり、とても危険です。麻酔をする時、または麻酔をする可能性がある場合は絶対に食べ物が胃の中に残っていないように、前日の21時以降の食べ物は避けましょう。

散歩でウンチもしたし、ちょっと普段よりは短めだが、家に帰ってきた。手術は11時頃からなので、9時頃のバスで病院まで行く予定である。家に帰ると、いつもならノーマンのごはんの時間、だが、今日はそれらしい気配は一向に窺われない…ノーマンの苛々が積もる。8時45分…まだごはんの合図なし、それどころか出掛ける支度までしている、とノーマン更に不安がる。腹ペコのノーマンを連れて最寄のバス停まで行ったが、ノーマンは車に良い思い出がなく、毎回吐いてばかりなので、既に嫌な予感を感じてキュウンキュウンと鳴いている。バスが来た!ノーマンのリードを引っ張っても、バスの大きさや音が怖いのか、入り口で立ち往生、絶対に嫌だと足を踏ん張っている。ドライバーがニコニコ笑って見ているし、乗客も窓からニコニコ眺めているので、ノーマンを抱き上げて切符を買い、近くのシートに座った。普段はとても混み合うこのバスだったが、9時近いこともあって、比較的空いていた。後部のドアが開く度に外へ出ようともがくので、ノーマンを膝の上に乗せて30分ほどの旅が始まった。降りる人降りる人が皆、私の膝で訳がわからず震えるノーマンを撫でては“スウィーッ”とか“ラヴリー”と声を掛けてくれた。後ろに座っていた女性が、鞄から何か取り出すと、ノーマンに向かって手を伸ばした。幸い、私がそれに気が付いたが、それは小さお菓子だったのだ。今から手術なんです、と丁重に断るとその女性は、“ソーリー、マイフォルト=ごめん、私が悪かったわ”と、飛びついて既にキャン!と言っているノーマンを撫でた。ノーマン…“今、くれようとしたのに、なんでまた戻すのさぁ!頂戴よぉ!”やっとでバスは私がいつも通った動物病院の近くに到着、降りる時にも、運転手さんはニコニコして“気を付けてなぁ”と言ってくれた。

動物と一緒にいると、優しい人にも沢山会えるものだ。

病院に入って、馴染みのスタッフに挨拶をして、しばらくスタッフルームでノーマンと一緒にいたが、ぼちぼち前処置の準備をするとのことで、ノーマンを連れて診察室に入った。

** やっこ看護師さんよりの説明 その二

前処置とは、鼻から吸う麻酔の導入に備える為に行なうもので、気分を楽にし眠気を催させる筋肉注射である。それと同時に、その日1日効果を持つ痛み止めの注射をするのだ。

日本からこちらへの飛行にあたって、ノーマンは数々痛い目にはあって来た。だから、彼女は今朝もこの病院の入り口のところで、絶対に中に入らないと立ち往生したほどだった。私が彼女の顔を支え、先生が慎重に心臓の音を聴診する。私が体重を計り、その体重から、注射の分量を測定して、いざ注射、もう1人看護婦さんが身体を押さえてくれた。注射2つとも、キャン!と啼き、もがいて少し難しかったが、無事終了、すぐに大袈裟なくらい褒め称えてあげた。

** やっこ看護師さんよりの説明 その三

動物への“嫌なこと経験”が、すこしでも“いい経験”となるように、頑張った動物をとにかく褒め称えてあげましょう。

彼女をケネルに入れて、私はその場を去り、オフィスで看護婦さん達とコーヒーを飲んだり、新しい仕事がどうかといった話しをした。

** やっこ看護師さんよりの説明 その四

前処置の後は、どれだけでもその注射の効果が早く良く出るように、動物達を興奮させる要因を取り除かなければなりません。私が側にいたら、ノーマンは興奮して甘えて、私の一挙一動に注意を払ってはなかなかリラックスして眠れないはずです。ケネルを暗くして静かな環境を作ってあげます。

30分ほどして、そぉっとノーマンの様子を見に、ケネルのある部屋の戸を開けてみた。ノーマンは、私達のお気に入りの“スフィンクススタイル”で顎を両手に置いて眠っていた。それを医師や看護師に知らせて、彼らもコーヒーを飲み終わり、さぁ、ではやりましょうか!と立ち上がった。
手術室に一緒に来るかと聞かれたが、私は平気でも、やはり医師や看護師に何かと気を使わせることとなるので断り、ちょっと時間つぶしにその辺へ散歩に出掛けた…11時ちょっと過ぎであった。
             長くなるので、続く
# by yayoitt | 2005-03-04 01:02 | 愛犬ノーマンのこと | Comments(0)
心があったまった話 完結
今朝、新しい写真入りのカードを作る為に、顔写真と£10を持って、再び早めに駅へと向かった。インフォメーションで並んで待った後、女性の係り員に状況を説明した。私の乗る電車は、7時48分発なので、悠に20分はあった。その女性は、色々な書類を取り出して、私に幾つもサインするように伝えた。コンピューターにも何やら色々打ち込んでいるが、途中で上手く行かないらしく手間がかかっていた。定期を失くしている間に買わなければならなかったチケットは全部で3枚。一枚が約£3(600円強)で、それは後日、チェックで家に郵便で届けられるということだった。時間が迫る、もう40分だ。隣の係りの男の人も彼女のコンピューターでの入力を手伝ったりしてくれた。朝のラッシュ時なので、私の背後には、ラインで自分の順番を待つ人がずらりと並んでいた。そうしてようやく、£10を払い、再び定期を手にしたのが48分。走らなくてはならない。忙しい朝の時間に、面倒な処分を色々してくれた彼女に丁重にお礼を言って、ホームへ走った。こんな時、スコットランドの、時間に甘いことに感謝した。48分を過ぎても、電車は到着したばかりだったので、遅れることなく乗れたのだ。
ホッと嘆息し、窓の外を見ていたら、ゆっくり動き出し、城壁の側をぬってしばらくすると街の二つ目の駅に着いた。そこでかなり沢山の会社員らしき人々が乗り込む。そして、その駅を過ぎた頃、1人の若い女性が通路を歩いて来た。私の斜め前に一旦座ると、すぐに腰を上げて、私に近付いて来た。目の前で立ち止まり、私は目を上げた。彼女は言った。

“xxx駅まで、毎日行ってるの?”

そうだ、と答えると、彼女が話し出した。

“実は、xxx駅の近くに住む女性が、これを拾ったんだけど、”

見覚えのある、私の写真入の青いプラスチックのカードだった。目をまん丸にして驚いた。

“彼女が、駅に私がいる時にやってきて、この写真の女性(つまり私…ひどい写真だが)を見たことないか?って聞かれて、私もいつもこの電車に乗ってるから、前にあなたのことを何回か見かけたことがあって、そう言ったら、是非、渡してくれるように頼まれたの。よかったわ。ここで会えて。でも、新しい定期は、もう買ったなんてことはなかった?”

開けたままの口が、ようやく動き出した。

“実は、今朝、買ってきたとこなんだけど、£10だけ払うことでよかったから”

そうして、ニコニコ笑う彼女に、何回もありがとう、を言った。

“その、拾ってくれた女性にサンキューを”と言って、xxx駅で一緒に降りると、別れた。もちろん、その女性が誰かはわからないから御礼の言いようはないが、私の心の中は感謝の気持で一杯になった。女性が、道端で拾った定期を、無人の駅ではどこにも届けることが出来ずにいたこと。考えて、見知らぬ女性に聞いてくれたこと…きっと彼女1人に聞いたわけではないだろう、この写真の女性を見たことがある、という人に会えるまで聞いてくれたに違いない。そして、それを預かった女性は、落し物案内所へ届けるよりも、確実に早くに私の手に入るよう、直接、通路を歩いて私を探し当ててくれたのだろう。さっきまでは、誰かが捨ててしまったに違いない、と悲しい想像をしていた私。今は、心優しい、親切な人々が私の為に努力してくれた想像で胸が熱くなった。

人は、やっぱりいいものだ、そう思った。
基本的に皆、優しいのだ。
それに比べて、私の気持はどうだっただろう?
心が熱くなり、自分が情けなくなった。

親元から、友人から、そして故郷、祖国から遠く離れて暮らしていると、心が敏感になる。
ちょっとしたことで、傷つくし、すぐに悲しくなる。容易に泣ける。
でも、こういう人の心の温かさに触れると、その温度は砂漠の昼間のように熱く、なだれこむ。
また、容易に泣けた。
嬉しかったのだ。
感謝だった。
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# by yayoitt | 2005-03-02 03:50 | 英国暮らしって... | Comments(0)
心があったまった話
現在私は、職場へ電車で通っている。エージンバラの中央駅 ウエイバリー駅から乗って、3つ目の駅で降りる。時間にすれば28分ほどのちょっとした小旅行だ。こちらの国では、まず殆どの会社や雇い主が、従業員に交通費を払うことがない。だから、収入の中から、どれだけが手元に入るのかも、交通費を差し引いて考えなくてはならない。電車の、マンスリーパスを私は買った。これは、まず写真入のカードを作り、それを常に提示しつつ、ウィークリーパスやマンスリーパスなどのシーズンチケット(定期)を購入するのだ。
3月13日まで有効の、この定期と写真入カードの入ったパスを、私は一昨日失くしてしまった。その朝はちゃんとあったのだが、帰りの電車の中で、いつもそれを入れているバッグのポケットの口が大きく開いたままになっているのに気が付いて愕然とした。仕事中に、そのポケットに入れていたリップグロスを出した覚えがあったから、そのままチャックをせずに歩き、どこかで落としてしまったのだろう。考えられるのは、会社から最寄の駅までの約10分間の人気(ひとけ)のない小道だ。仕方がないので電車の中で廻って来た車掌さんからチケットを買い、一応それは大事にとっておいた。翌日の朝(昨日の朝)、早めに家を出て駅のインフォメーションへ行った。
定期を失くしたからどうしたらいいか?と尋ねたら、写真があれば今にでも作り直せる、とのこと。ただし、一応(手間賃か罰金か?)£10払わなくてはいけないとのこと。私が買った一月の定期は£80以上(16,000円以上)もするから、背に腹は代えられない。あいにく、写真は持ち合わせていなかったので、翌日の朝もう一度出直すことに。それでも、昨日の朝は、会社までの道を行きも帰りも丹念に見て廻った。

それでも、なかった。

誰かが見つけて、木の枝にでも引っ掛けててくれるかな?と、足元から周囲、頭の上までも見て廻った。

でも、なかった。

“どうせ、拾った奴が、写真入じゃ悪用できないし、おもしろくもなくて捨てたに違いない” そう思っていた。自分が落とした、という過失はそっちのけで、想像の中で他人を責めたりしていた。
今思うと、何て自分て、勝手な人間なのだろう、自己中心的なのだろう、と嫌気が差す。自分だけが正しいとか、思っているのだろうか?自分のことなのに、情けなく、悲しくなった。

元はといえば、私の過ちから来たことなのだから…

       続く
# by yayoitt | 2005-03-01 03:47 | 英国暮らしって... | Comments(0)
雪が降る夜に聞きたい曲 1
この雪も、ぶり返しはあっても、そう長くは続かないらしい。
雪には不思議が一杯ある。
二つと同じ形の結晶はないというから、まさに、自然の奇跡としか言いようがない。
雪は、周りの音を吸収してしまうから、静寂を辺りに与えてくれる。
しんしんしん、とまるで音楽を奏でるように降り積もる雪。
そして、なかなか眠れぬ、冷えた夜。
そんな、雪の闇の中で聞きたい曲たち。


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1. 恋人がサンタクロース 松田聖子

クリスマスの歌だけど、雪が降るとリズムに乗って口ずさんでしまう。

2. 雪の週末 今井美樹

昔の恋人と過ごす、秘密めいた週末の歌。

3. オフサイド ユーミン

雪が降る前だけど、冬らしい切ない、優しい歌、人々が皆、立ち去っても私、ここにいるわぁ…

4. LAT.43°N ドリカム

遠距離恋愛の切なさ、疑い、嫉妬を歌った歌、熱いものが込み上げる。

5. 冬のオペラグラス 新田恵理

聞きたいというよりは、かなり懐かしくて、冬には必ず思い出す歌。
おにゃん子クラブの新田恵理。

6. 神田川 南こうせつ

理由は言わなくても皆さん、同じ気持の方が多いのでは。寒くて、貧しい、昭和らしい名曲。

7. I BELIEVE 華原朋美

彼女の歌の中で唯一知っている曲、しかも、とっても好きだ。

8. BLIZZARD 松任谷 由実

吹雪も、この歌のお陰で、楽しく顔に受けることが出来る。

9. 冬のマーケット 今井美樹

かなり私的な感情が入り込んでいるが、熱いコーヒーカップを握ってこれを聞くと、泣ける。

10. 雪の華 中島美嘉

基本的に余り彼女の歌は好きではなかったが、冬というと、思い出すし懐かしく思える1曲。
 
# by yayoitt | 2005-02-28 05:14 | やっこの思想 | Comments(0)
NORMAN 妊娠する!?
いやにショッキングな見出しとなりました。
まるで3面記事のようです。
そうそう、3面記事と言えば、何故、2面とか4面とかでなく、3面なのでしょう??
この国でも、同じく、ポルノチックな写真などは必ず3面です。
そういう、水着写真やヌード写真のモデルのことを、3面記事ガール と呼びます。
ところで、本題ですが、ノーマンが先月にヒートを終えました。

実は去年の3月のヒートの後に、彼女は妊娠をしたのです。

想像妊娠を…

今回も、なにか様子がおかしくて、どうやらやっぱり、空想の赤ちゃんを宿っているようなのです。犬の想像妊娠は、よくあることで、心配することもないのですがただ、食欲の増加や、メンタル的な変調が現れる為に、見ていてとても心が痛むのです。食欲の増加は、異常に食欲の強いビーグルの更にその増加なので、とてもほどい、です。夜中に目を覚ましてキッチンを舐めて回り、真っ暗の中、食べ物、残りかすを求めて徘徊しています。よく、トイレに起きると、てっきりケネルで眠っているものと思っている彼女が、キッチンでボーッと立っていたりするから、心臓に良くない。メンタル的なものは、今はまだ出ていないのですが、前回は、想像の中での出産後、自分のベッドに行っては、仔犬を探すのです。真剣に探して、布団をめくったりあっちに廻っては溜息をつき、こっちに廻っては見つからないからあきらめて、とっても悲しい目をするのです。
それが数日続くと、胸が締め付けられて切なくなります。今は、多分ヒート後で、まだ妊娠の段階、体が赤ちゃんにあげるミルクをぼちぼち出す頃だと思います。ミルクを出し始めて、少し経つと、出産となり、仔犬を探し出すでしょう。毎回、これが続いては、彼女の為にも決して良くはないので、前から計画していた通り、この金曜日に避妊の手術を受けます。ブリーディングしないと決めた以上は、体の為にも手術はしておいた方が良いのです。人間の女性が、ピルなどで月経を止めて、癌になる確率を抑えると、同じ理由です。お乳の出るノーマンの乳首や、赤ちゃんを探して歩き回る姿を見ていると、彼女に母親になる機会を与えてもいいかな?と、心が揺らぐのも確かですが、新しい命をこの世に誕生させる以上、確実にその仔犬たちが全て誰かと共に
幸せな生活を送る保証を持たなくてはなりません。今の私たちに、その力と時間とパワーはどうしてもないのです。この世にペットの子供を連れてくる以上、その子供たちを確実に保証するのがオーナーの役目。大切な、責任なのです。
金曜日は朝から仕事を休んで、ノーマンと、私がヴォランティアしていた動物病院に出掛けます。一緒に夕方にはタクシーで帰って来れるし、翌日はマイケルと私と両方で彼女を看ていられます。麻酔のことなど、心配ないと言ったら嘘になりますが、彼女の為の、彼女の頑張りを、二人で見守りたいと思います。
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# by yayoitt | 2005-02-27 21:19 | 愛犬ノーマンのこと | Comments(2)
移民と経済
移民、特に経済的苦渋に悩む国や政治的に不安定な国からの、この国への移民は多い。
この国へ入って来て、ここで仕事を探して生活しながら、自国へと資金繰りして送っている人も沢山いるだろう。例えば、パスポート偽装などして無許可に入国する場合を除いて、正規のルートで入国して働いて祖国にいる家族への資金貯めをしているような外国人労働者を、一般に、けむったく見る傾向は、どの国でもあるようだ。よく、人は言う。“他人の国へ入って来て、仕事を奪って金を稼いで行く”“ここの国の失業者に与えられる仕事を盗っている”
まるで国の損失のような言い草ではあるが、こう言いたくなる気持ちが理解できないわけではない。でも、国としての経済的なことを考えると、そういう移民が入ってくることで、“潤う”のだ。もちろん、旅行者がこの国に入って来て、お金を落としていくだけほどの“利益、潤い”はないが、移民が入ってくる = この国に住む = 生活をする = 食べ物を買い、アパートを借り、税金を払う
この国の人達が、嫌がってなかなか続けられない仕事を、安い賃金でも一生懸命に続ける人が多いだろう。この国の失業者の仕事を奪う?仕事のなかなか見付からない失業者に限って、案外と選り好みをして、ジョブセンターなどで仕事をもらっても、すぐに辞めてしまったりするだけで、定職が見付からないことが多い。自国民というのをいいことに、政府からの恩恵に甘えて、自ら働こうとしない、我慢しようとしない、その癖、悪知恵が働くと、ジョブセンターで新しい仕事を紹介されて、それに必要な靴や服を政府のお金で買うだけ買って、1.2日 仕事に顔を出すだけですぐ辞めてしまう、残ったのはただで手に入れた靴や服。実際に、そんな人はいるのだ。あくまでも、これは氷山の一角の話かもしれないが、移民を否定する傾向がいまだある以上、どうしても、そういう悲しい例を無視したくない、と私は思うのだ。日本でも、中国人やフィリピン人の女性を紹介する結婚相談所で出会った、日本人男性と若いアジア人女性のカップルは多い。私は、これはとても理に叶っていて、賢く近代的な工夫だと思っている。言葉のわからない国に来ての、彼らの苦労は計り知れないだろう。しかし、日本という豊かな国で日本人男性と結婚をし、本当に幸せに暮らしているカップルが多いことはとても嬉しい事実だ。自国には、きっと彼女達が送ってくれるお金を待っている家族がいる場合が多いのだと思う。彼女達は、夫と共に家族を築きながら幸せを得て、祖国の家族をも経済的にどれだけでも豊かに幸せに出来ればこんな素晴らしい相互作用はないだろう。ただ、彼女達が、差別とか白い目で見られるとか、そういったことは多少なりあるだろうと想像するので、それが自然に消え去ってくれればいいと、望んでいる。オーストラリアの政府は、数年前から声を大にして、白人社会を作り上げよう!と躍起になって移民を厳しく取り締まっている。
MATESHIP = 友達シップ が、この国の文化である、と言ったジョンハワーズの言葉を思い出す。アボリジ二ーの生活に土足で入り込み、彼らに無理に白人社会を押し付け、それにそぐわないと隅っこに追いやって、汚い物扱いをする…
そんなたった100年の過去からは、オーストラリアらしい文化と呼ばれるものはない。文化は、歴史から生まれてくるから、歴史の浅い国には独自の文化がない。無理に作った、メイトシップ 友達シップ … 何ともお粗末な話だとしみじみ思う。
# by yayoitt | 2005-02-26 22:12 | やっこの思想 | Comments(0)
幼少の頃の思い出 色違いの靴下
夢見る少女で、空想の中に半分住み着いたような、現実的なところのない子供だった私。
マンガを見ればその中に生き、ベルバラにかぶれると、いつか自分はオスカルの如く美しくなれる気がしていた。心を熱く燃やしたアニメや映画、ドラマは数々ある。

例を挙げると…

くれくれタコラ…生まれて初めて入り込んだテレビアニメ、15分くらいの短いアニメで、何でも“くれくれ”と私も真似をした。

ムーミン…スナフキンがとにかく好きで、その孤独な旅人にいつか会って一緒に旅をするものだと信じていた。

銀河鉄道999…私は孤独な旅人、鉄郎なのだと思い込み、メーテルを愛した。

E.T…1人で森の中に入り、空を見上げては、E.Tが下りて来るのを真剣に待った。もう中学生になっていたにもかかわらず。

エースをねらえ…憧れて憧れて、中学時代の剣道を我慢して続けた後、高校一年にやっとで軟式テニス部に入部、一年間ネットに向かってボールを打っただけで辞めた。

麒麟館(きりんかん)通り…学校の先生と生徒の恋愛だったと思うが、自分も学校の先生に恋していたのでかなり本気になって読み漁った。

まだまだ山のようにあるはずだが、パッと思い浮かばないので、これくらいにしておこう。とにかく、好きになると、その話の中に自分が入り込んでしまうのだ。この癖は、大人になってからも変わらずで、ジュリアンロバーツのプリティーウーマンを見て感激すれば、すぐにチリチリパーマをかけては、短いスカートにロングブーツを履いて街を闊歩したものだ。彼女が映画の中で、娼婦だからあんな格好をしていたことも構わず、だ。また、ロードオブザリングを読んで感激すると、自分はまるで美しいエルフのような気持ちがし、実際に映画を見て初めて、自分はエルフよりは、断然ホビットに近いことを知らされた。
いつも誰かになりたい症候群、と自分では呼んでいる。
そんな私が、小学校低学年の頃。テレビのアニメで、題名は忘れたが、主人公の魔法使い(だったか不思議な力を持った)の女の子がいつもミニスカートやオーバーオールの裾を上げて、縞々(しましま)の長靴下を履いていた。その靴下は、両方が違う色だったのだ。それが私には、とてもセンセーショナルに思えて、即刻、真似た。色違いの縞々の長い靴下を二足調達すると、一足づつ違う物を履いて、オーバーオールを着た。そうして髪を後ろで2つに縛り、1人で近くの寺(公園にもなっていてブランコなどがあった)に赴いた。その格好には、どうやらこれを持つととても似合う、と思い、出掛けにある小物をポケットに押し込んだ。公園では、いつもブランコや滑り台をするくせに、その日の私は、そんな子供ではなく、ちょっとお洒落なお嬢さんなのだ。周りの子供の目を気にすることなく、公園の周りの柵に片足をかけると、何とも自分がクールに思えて溜まらなかった。ポケットからさきほどの小物を取り出す。真っ赤なリンゴだった。キャンディーズが歌っていたではないか。♪まあぁっかな、林檎を、ほぉばるう♪真っ赤な大きなそのリンゴを、オーバーオールの膝で磨くと、きらりと光った。そして、前歯でシャリっと噛む。
あぁっ!かっこいいぃ! この日の姿は、今でも他人にはどう映っていたかはわからない。
でも、後日、同じ格好で小学校に行く途中、集団登校でいつも私を“たまご、たまご”と苛めていた年上の女の子が、登校中ずっと“ちぐはぐな靴下履いたバカ”などと言っていたので、学校に着いた頃には泣き出し、それっきりもうその靴下は履かなくなってしまった。大人になると、子供の心が読めなくなるものだ。大人の目から見て、子供が、何故こんな動作をするんだろう?何故、こんなことにこだわるのだろう?と、大人の心からは考えがつかずに、かえって苛々してしまうこともよくある。だけど、子供の動作や行動には全て理由がある。しかも、大人が長年の生活の中で“これは普通”として身に付けた事ではない、子供の自由な独創と“普通”に縛られないプライドから、その理由は子供なりの長い時間と工夫を凝らして来ているものだ。大人にわからなくって当たり前、でも、その個性の芽をあっという間に摘み取るのも、大人には簡単なことだ。その時の私の格好を見て、大人は何も言わなかったと思う。そういう両親を、今思うと、凄いなって感謝もする。もしかしたら、何も、言えなかったのかも知れない…それは哀れみだったのだろうか…?

ふううむ。
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# by yayoitt | 2005-02-25 06:43 | 思い出 | Comments(0)
中学校の思い出 新八先生
名字は忘れてしまった。名前だけはよく覚えている。
彼は、新八先生と呼ばれていて、それが彼の名前だった。その頃、金八先生、仙八先生と並んで、新八先生もテレビでやっていたので、この珍しい名前をもった彼は人気があった。
若くて、〇脚で、目が悪くて眩しそうにして生徒を見る癖があった。声が枯れていて、よく乾いた咳払いをしていた。彼は剣道部の顧問で、私も小学校から始めた剣道部に所属していた。
稽古の最後には皆で正座して、黙祷をした。私たちの学年は珍しく女子部員が多くて、黒い袴の中に、白の袴と赤い胴をつけた姿が沢山あった。黙祷の時に、女子は男子の後ろで並んでいると、前方の男の子のいがぐり頭から蒸気が上がっていたので周囲の女子と突っつきながら笑いをこらえたけど、新八先生には全部お見通しだったらしい。女子達は、集まってはよく新八先生の悪口を言っていたけど、私はどうも彼が嫌いになれなかった。彼は、芯が通っていて真っ直ぐで、グタグタ言わずに、妙に神秘的だった。黙祷をしながらよく、片目を開けては彼の顔を見つめたものだ。20人もの汗だくの生徒を前に、先生は黙祷しながら一度も目を開けなかった。ある日、女子部員が更衣室で集まって、全員で部活をさぼろうと言い出した。寒い寒稽古よりも、どこか誰かのあったかい家に行って、お菓子を食べたり話をしようと決まり、更衣室から逃げ出して、走って帰った。翌日、部活に行くと、いつもの稽古が始まった。黙祷の後、新八先生が女子部員を残して横一列に正座させた。何も言わずにただ黙りこくって前に立つ彼は、とっても恐ろしかった。彼が口を開く。“昨日、休んだ理由を一人一人言え”
右端の同級生から1人づつ“さぼりました”“さぼりました”“さぼりました”。
それを聞き終わると新八先生は、私達女子生徒全員に、面をかぶれと言った。面をかぶると、急に世の中が狭く見える。鉄格子の中にいる感覚がする。そこから見えるのは、ただ前に立つ相手だけで、両側の物は何も見えないし、音も聞こえない。新八先生が、自分の右手の鏝(こて)をはめるのが見えた。そして、右の生徒から順番に、力強く正面から顔を殴って行った。ただ静かに、順番に、殴って行った。殴られると、正座したまま後ろに飛ばされた。飛ばされながら、すぐに傾いた面を直して座りなおす。そうして、彼は10人全員の面をはり飛ばした。10人揃って部活をさぼり、10人一緒に並びながらも、先生の怒りは確実に面の中で孤独を作り出させ
一人一人に対しての制裁を加えたのだ。痛くはなかったが、ただ脅威と偉大さを感じた。そして背中を向け、彼はO脚の足を翻して歩き去って行った。誰もしばらく喋らなかったし立てなかった。凍り付いていた。

そして二度と、そんなずるは、しなかった。
# by yayoitt | 2005-02-24 01:52 | 思い出 | Comments(2)
恋の話 冬のアパート 春風
日にちを重ねるごとに、思いが膨らむ。
時間を重ねるごとに、この部屋が愛しくなる。
笑顔を見るたび、口数が減る。

冬のアパートには、沢山の どうして? がただただ降り積もった。
どうして私はここにいるのだろう?
どうして私達はとどまっているのだろう?
どうして2人で違う道に歩き出せないのだろう?
どうして心は、身体と切り離せないのだろう?
こうして夏を迎える頃、何も語らなくなるのだろうか?
そうして夏を目前に、あなたはこの田舎町を去り、私は立ち止まるのだろうか?

冬は長かった。
そして、寒かった。
だけど、幸せだった。

ある日、ぽたりと顔に落ちた。
屋根の雪だった。
何ヶ月も、覆い尽くしていた白の結晶が、初めて壊れた。
壊れて、形を変え始めた。
私達の心の形も、あふれ出した。
あふれて、あふれて、流れ出す。
枯れることなく低い方へ、辛い方へ、悲しい方へ、合流しては膨らみ流れていった。
水滴が音を立て出すと、長い間 開けなかった窓を、ぎしぎし音を立てて開けた。
2人の空間に、気流が起こり、髪を撫でて通り抜けた。
それは閉ざされた玄関の扉に当たり、跳ね返るけど、帰る場所もなく滞(とどこお)った。

もう、汽笛は響かなかった。
夜の街を、2つに切り取ることなく、あの街に停まっていた。
冬の夜行列車は走らない。

窓の外に手をかざすと、掌に体温を感じる。
目を細めながらその温度を探したら、すっかり溶けた雪の下で、数本の花が咲き出していた。
花が咲くのを恐れていた。
春が来るのを、苦しいと思った。
そして、その青い小さな花びらから思いがけず香りが漏れていた。
その花を私はよく知っていた。
皮肉だと思いながらも、何て綺麗に優しく咲くのだろうと見つめた。
勿忘草(わすれなぐさ)は、繁殖力がとても強い。
一本土に植えると、何百本にも増え、1年待たずに秋に狂い咲きする。
それだった。

一度、心に植わった思いは、私を覆いつくした。
香りを放って咲き乱れた。
悲しい事実を抱えて、明日も明後日も咲いてやろうと懸命になって。
窓から入った春の風は、勿忘草の香りで満ちていた。
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# by yayoitt | 2005-02-23 05:51 | 穂高の恋人達 | Comments(0)
恋の話 冬のアパート 汽笛
真夜中によく、耳を澄ました。
この世に、何も音のない世界があるのかどうか、試すように、じっと耳を澄ました。
規則的な呼吸の音以外は、辺りは静まり返っていた。
積もった雪が、その建物を覆った雪が、その厚さだけ音を吸収してしまう。
しんしん、と降ちる雪の音は聞こえるのに、周りの家から響く物音や車の音は消えていた。
裏庭に続く大きな窓があった。
いつもカーテンが引かれたままで、冬の間は一度も開けなかった。
飛騨の冬は、長くて深い。
真夜中に目を覚ますと、泣けてきた。
自分の乱れる呼吸を外から聞きながら、空間に浮かんでみた。
窓を開け放ち、ゆっくりと身体を伸ばして浮かんでみると、昨日降った雪と今日降った雪の間から小さな風が吹き込んでいるのがわかった。
いつか訪れる春の気配はそこにはなかった。
1人で、息を殺し、彼に気が付かれない様に浮遊する。
その瞬間、遠くから聞こえてきた、汽笛の音。
寂しそうに細く長く響いた。
静寂の空間をはっきりと、2つに切り取りながら心に響いた。
その交わらないレールの上を、軋む音が続いた。
それを聞きながら、地上に戻ってくると、色々な思いが溢れ出してまた、泣いた。
それは2人の象徴、未来と現在。
固い冷たいレールは、同じ距離を保ったままどこまでも続く。
夏になる頃、そのレールの先にある大きな街へと帰って行ってしまうひと。
どこまでも決して交わらない。
過去ばかりが増えて、現在は流れ去り、未来は無かった。
それから毎晩、汽笛を聞いた。
汽笛と共に、カタコン、カタコン、と揺れながら問いかける軋みからは、逃げも隠れも出来ずに
ただ、打ちのめされて佇(たたず)んでいた。
# by yayoitt | 2005-02-22 02:32 | 穂高の恋人達 | Comments(0)