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芸術作品と呼ばれた ある犬の死
その犬は、貧しい地域の道端に繋がれたまま、弱ってお腹を空かせていた。

南米はコスタリカのアーティスト Guillermo Habacuc Vargas(50代)は
2人の子供を使ってこの犬を捕まえた。

彼は、小遣いと引き換えに、この犬を受け取った。

彼は犬を鎖に繫ぐと、彼の アート としてこの犬を使った。
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彼は皆に、この犬に決して食べ物を与えないように、と伝えた。

この犬は、そのギャラリーの中で餓死した。
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彼は、彼自身を アーティスト と呼ぶ。

彼のこの 作品 はコスタリカ代表として表彰され Bienal Centroamericana Honduras 2008 というイベントへの参加が決まった。
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 “ この犬の生死に関しては、言えない。
 僕にとっての大切なこととは ・・・
 こうしてアートとしてのこの犬は足を運んで見に来るのに、
 道端で餓死しようとしている犬には目を留めない、
 そういう人々の偽善的行為なのだ
。”

と、彼は語ったと言う ・・・。

犬は、ギャラリーに連れてこられた翌日に、餓死をした。
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展示の間、何人かの人々は犬を自由にしてやるように訴えたが、彼は拒否をした。

        (2つの英文サイトから私なりに訳させて頂きました)

         ★        ★         ★

世界的に大きな波紋を呼んでいるこの アート を Bienal Centroamericana Honduras 2008 に参加させてはいけないというボイコットの運動が起きている。

このイベントの主催者へ向けてのオンライン署名が出来る。

署名方法は ・・・

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          ★        ★        ★


              私の考えること 

アート(芸術)という名前を使い、それがどんな趣旨であれ、生き物の命を敢えて無視して、その死を見世物にする、という行為は虐待であり、私は許されるとは思わない。

ただ同時に、こうして多くの人々の目に触れられて死んでいった犬と、人々の注目も得ず、ただひっそりと人間から見捨てられて死ぬ多くの犬たちの命を考える。

その命の重さには、何一つ、違いはないことを、しみじみと感じさせられる。

この写真を見る人々や展示を見に来た人々の、心に強く残ってしまった一匹の犬。

その犬に対して感じる気持ちは、誰にも知られずに死んで行っている数え切れない犬たちへの気持ちと、何もかわりはないはず

だけど、私たち人間は、目に見えないところで起こっている現実に関しては、実際に聞いたり知ってしまった命への感情よりも弱かったりするのも、事実である。

この犬の死を通じて、暗闇の中で見捨てられて葬られて行く命のことを、振り返るというきっかけになってくれれば ・・・

この アート という名の下で逝った犬の死は、もっと長い未来を変えてくれることだろう。

私たちが生きる情報社会の現代で、1つの事実を知った時、そこで起こる感情を留めるのではなく、その見えない聞こえてこない場所に確実にある現実を、同時に考えて行きたいと。

この犬の アート として見世物になった命を、無駄にしない為にも ・・・
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by yayoitt | 2008-01-31 04:52 | 愛する動物のこと | Comments(93)
尻(しり)とお小水(しょうすい)の不思議な関係
風邪でゴホゴホ咳をしつつ、眠れずにベッドにボーっと横たわっていると、
ついついおかしなことを思い出したり、考えたりするもの。

             あ、あの、おばあさん ・・・

思い出したことがあった。

病院に入院していたおばあさんは、脳梗塞で自力で排尿が出来なかった。

オシッコはしたいが、どう息んで良いかわからず、神経が結びつかない感じであった。

そのおばあさんが、ベッドに横たわったまま、看護師の私に言った。

 看護婦さん、ちょっと、お尻をくすぐってくれんか?

 は、はいっっ?

 尻のな、ちょっと上辺りを、くすぐってくれんかい?

 は、くすぐるんですか?お尻を?

 うんうん ・・・

 じゃ、じゃぁ、行きますよ ・・・


私は、おばあさんの誘導するお尻の割れ目の上辺りを指の先で、文字通りにくすぐった。

         コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ

おばあさんの ケヘへヘ という笑い声でも漏れてくるかと思ったら ・・・

代わりに ジョッジョジョーーーーーーーーー と布団の中に当てて置いたプラスチックの尿器から良い音が聞こえてきた。

 “ で、でかしましたねっっ ”

と、よく意味がわからない感嘆の声を漏らした私。

尿意があるのに、放尿できなかった彼女と数時間 ・・・

耳元で シーシー と言ってみたり、病室の水道の蛇口を開けて、チョロチョロ水の音を出したり、色々してみたがダメだった。

が、おばあさんが思い出した、おばあさん独自の方法でめでたくオシッコは、出たっっ!!

ジョジョー っとオシッコが勢いよく出ているおばあさんお顔は、とても満足げだった。

隣で私は、さすがに ばんざ~い は失礼だと思い、ジョジョジョーに合わせて拍手した。
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               この辺り

あの時から お尻をくすぐる = お小水が出る という関係について、興味を持った私。

即、実行してみた。

オシッコをした後に、自分で自分のお尻の上辺りを指でくすぐった。

妙なくすぐったさと同時に ・・・ あらまっっ オシッコしたくなってきた!

オシッコしたばっかりなのに、少量だが軽い尿意と共に チョロッッ とオシッコが出た!

正直、感動した。

             すっげぇ~~~~~~~~

水分を摂りすぎた夜、寝る前にオシッコしても、何となく夜中に目を覚ましそうで不安な時。

          コチョコチョコチョコチョ ・・・ ジョッジョー

忙しい朝、慌てて入ったトイレで、さっさとオシッコが出始めてくない時。

          コチョコチョコチョコチョ ・・・ ジョッジョー

おばあさんの お尻コチョコチョお小水ジョー作戦 は

                 凄い!
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by yayoitt | 2008-01-30 03:14 | やっこは、こんな人 | Comments(28)
風邪、治ったつもり
おとぼけカップル結婚記念日の

嬉しい言葉を ・・・ 本当にありがとうございました。

すっとこどっこい、おバカやっこの風邪

優しい言葉を ・・・ 本当にありがとうございました。

私は ・・・

エジンバラの強風に髪を逆立て、

よこなぐりの雨に睫毛も鼻毛もびしょびしょにし、

それなりに元気に、仕事に行けています!!

ようやく風邪も

良くなった、そんな気がします。

まだまだ寒い北半球は冬の時期 ・・・

どうか御身体、お大事に。

by yayoitt | 2008-01-29 05:08 | Comments(0)
ぶぁくぁっっ も風邪 ・・・
ひいちゃった ・・・。

風邪 ・・・。

先週1週間、何となく  おっっ こりゃ、怪しいな  と思っていたら。

週末に噴出して、その方が姿を現した。

風邪 ・・・。

病気じゃないけど、症状の総称でしかないけど、しんどい。

節々が痛い、目が痛い、喉が痛い、咳が出る、だるい、寒い ・・・

         だから、ゆっくり休みなさいよぉ、あんたっっ

って身体からの警告だと、わかっていても、それに従えないことがある。

忙しい月曜日、目を覚ましたら、明らかにしんどかった。 

だけど、目覚めはいつもしんどいもの、とノーマンたちと散歩から帰ってもまだしんどい。

眠気は覚めたのに、体がとてもベッドを欲している。

 月曜日 ・・・

 一番忙しいんだよなぁ ・・・

 3人しかいないのに、1人が休んだら、どーするよ ・・・

 あぁ ・・・ 1日、ごーって眠れば楽になるんだろうなぁ ・・・

 でも、死ぬことはないもんなぁ ・・・

 皆、多少のしんどいのも我慢して仕事してるんだもんな ・・・

 あぁ ・・・ ベッドが ・・・ 手招きしてるしぃ ・・・

 だけど ・・・


と、朝ごはんを食べ(食欲ありっっ)、歯を磨き(動作問題なしっっ)、

ただただ ベッドと仕事 の間で葛藤する。

これだけ、色々考えられる、私は、働ける。

見上げた空が、今朝はちょっと青い。

そう思ったら、余計にベッドが恋しい ・・・ 

              これは、怠惰かも

風邪な週の始まり。

         あ ・・・ 仕事を終えたら、なんか少し元気だよ
by yayoitt | 2008-01-28 05:25 | やっこは、こんな人 | Comments(27)
健診センター看護師さんの、助言
勤めていた病院の中に 健診センター がある。

健診センター は産科と並んで唯一、健常者が来る場所である。
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職場から送られた集団検診、個人で応募された健康診断。

時間を削って足を運んだ健常者の方々に、いかに短時間で有意義な健診を受けてもらうか。

それが、そこで働く医療者にとって、とても大切な目標になる。

外来勤務をしていた私は 健診センター の担当看護師が休みの日に、それを担当した。

1対1の問診 
医師の健康チェックの介助 
健康上もしくわ日常生活上に問題があると思われる人に対しての1対1のコンサルト


この3つが、看護師の仕事であった。

1日100人近くの人々の健診をこなす為に、いかに短時間で行なうかが重要。

だけど、丁寧で失礼のない態度で行なうのが当たり前。

ある若い女性は 便秘 で悩んでいた。

医師との健康チェックの時に、彼女は どうしたら良いか と尋ねていた。

規則正しい食事を摂ること
水分を沢山摂ること
繊維質のものを心がけて摂ること
同じ時間帯に排泄する習慣をつけること


そういう一般的なことに加えて、不規則で忙しい生活をする彼女独自の問題解決法を考える。

医師は、私に尋ねた。

 やっこさん、便秘解消の方法、他に何か知らないかい?

私は、若い頃(体質が変わるまで)やはり便秘で悩んだこともあったので

 おなかのマッサージをすると良いですよ
 あと ・・・ 湯たんぽをお腹の上に置くのも血行がよくなって良いですし ・・・


そして、色々と考えたあげく

 あっ、そうそう、朝に濃いコーヒーと一緒にタバコを1本ってのも、
 効果があるらしいですよ


と、胸の前でポンと手を叩いて答えてしまった。

まじめに頷きながら聞いてくれている彼女の表情を受け止めたのと同時に

 こらっっ やっこさん、あんた、看護師がそんなっっ

と、笑いを堪え、真面目な顔を無理して作って私を見ている医師の、声がした。

そっかそっか と頭をかくと、3人でドーっと笑ったのだった。
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 やっぱり、健康診断に来た人に、タバコと濃いコーヒーが良いと勧めるのは ・・・
by yayoitt | 2008-01-27 03:34 | 看護婦時代 | Comments(24)
結婚10年記念だってっっ 
            10年前の今日 ・・・ 京都は伏見

冷たい風を全身に受け、ゴウゴウと踏むペダル。

ゴチャゴチャした道を、人を避け車を避けて
市役所に到着した時には鼻水がしょっぱかった。

 “ 覚えやすいから12月25日にしよう ”
なんて言ってたのに、クリスマスの日にこの市役所にやって来た私達は、
書類未揃い で出直しを食らった。

マイケルがスコットランドに電話をし、幾つかの
(普段は存在しない)書類を作って送ってもらった。

その書類たちが全て揃ったのが1月25日で、
翌日に2人で自転車で提出に行ったんだった。

 “ 結婚という文字は、僕の人生には存在しない ”

と言い切ってたマイケルも、お互いのビザのことを考え、
最善で最短の結婚に踏み切った。

その日、マイケルは嬉しそうに鼻歌を唄って、自転車をこいでいたのを私は知っている。

結局、覚えにくい 1月26日 に書類は受理され、晴れて 結婚 した2人。

 “ 今日は、餃子の王将で乾杯だなっっ ”

あっちからもこっちからも車がビュービュー走る国道一号線、
走って横断すると私達は、その行きつけの 王将 に行ったんだった。

あれから ・・・ 10年

10年かぁ ・・・

2人の人生を変えてくれたノーマンを迎えて5年 ・・・

スコットランドに住んで6年半 ・・・

日本は京都で1年半 ・・・

愛する飛騨で2年 ・・・

私は、30代に突入してから9年近く ・・・

マイケルが、私に笑われながら30代に突入してから8年 ・・・


京都は、ラブホテルの真横にあったアパートに暮らし、自転車でラブホテルの
カーテンをくぐり駐車場に入り、頭でカーテンをゴツンと開けて道路に出てきたもの。

あの頃、私達は動物のことを何も知らず、好きなものを着て、食べて、生きていたっけ。

あれから10年 ・・・


スコットランドに移住したいと心から願い、大きな夢を見て、憧れて胸躍らせたんだっけ。

暗い、寒い、汚い、怖い なんて今は文句ばかり言ってる。

いつか犬が欲しいな~ 漠然と思い描くだけで、その本当の意味とか価値を知らなかった。

      あの日から、あの2人から ・・・ 10年後、10年後の2人 

そこには、愛しい ノーマン ・・・。

今夜は記念に ・・・
by yayoitt | 2008-01-26 01:38 | 国際結婚って... | Comments(58)
短い ギャッッ
生活していると、思わず ギャッッ と叫んでしまうことが ・・・ 多々ある。

それが、多い少ないはきっと、その人の性格や運によるのであろうが。

どうも、おっちょこちょいで忘れっぽい私は、よく叫ぶ。
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 洋式トイレのシートが上げてあるのに気が付かず、
 勢いよく座ってしまい、お尻が水に付きそうになり


ギャッッ
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 髪をドライヤーで乾かしていて、妙に後頭部の一部だけが
 もの凄く燃えるようにあっつくなって


ギャッッ
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 仕事の帰りのバスの中、良い気持でウトウトし、
 フッと目を覚ました時に見えた窓からの景色に、見覚えなく


ギャッッ
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 出している水道の蛇口を思い切り、閉めるつもりで
 反対方向にひねってあたり一面水浸し


ギャッッ
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 メールをもう何ヶ月も前に受け取り、返事を出さなくちゃ、
 とそのまま忘れてしまって、メールチェックしてて思い出し


ギャッッ
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 あっためるつもりでオーブンに入れたクロワッサン、
 煙が出て、しかも油分に火が付いて燃えてしまい


ギャッッ 

     
         あなたの ギャッッ は、どんなんだろうか?             
by yayoitt | 2008-01-25 05:34 | 英国暮らしって... | Comments(21)
水の効用
私は、よく食べる ・・・

そして毎日、とにかく沢山、摂取するのは ・・・

                 
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看護師になるまで、水は気にして飲まなかった。

喉が渇かないと、飲まなかった。

病棟で仕事をしていて、気が付いた。

 の大切さ。

人間の体重の、平均60パーセントは、でできている。

は、体内の毒を浄化することはもちろん、全ての臓器を機能する上で、とても大切。

血液ドロドロ の原因は、やっぱり水分不足。

が充分体内にないと、小さな河となって流れている血液もカラカラになる。

カラカラになるから、滞り、塊りが出来る。

その塊り(=血栓)を、詰まらせることなくサラサラ流してあげる為には、充分な流れが必要。
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血管という河の、血液という流れをスムーズにするには、水分を充分に摂取することが大切。

寒い冬の間でも、自覚する汗をかいていなくても、人間の体からは不感蒸泄と言って、肺や皮膚から、絶えず失われる水分がある。

正常な成人では、肺から300ml、皮膚から500ml合計900mlもの水分が蒸発している。

蒸発したり失われたりする水分と同じくらいは、やはりを摂取する必要がある。

かと言って水分を、コーヒーや紅茶、日本茶(番茶、せん茶、玄米茶、ほうじ茶)、ウーロン茶などで補うのは、逆効果になる。

これらのカフェインを含む飲料は、利尿作用があるので、飲めば飲むほど、どんどん体外に水分を排出させることになる。

長時間のフライトによる病気 肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)も、乾燥している環境の中で常に水分が失われている上、同じ姿勢を維持することで血液の流れが悪くなり(血流鬱滞)、血栓を生じ、それが心臓や肺に飛ぶことで梗塞を起こす。

飛行機でなくても、長時間PCの前に座っていたり(ドキッッ)、ドライブで身体を伸ばせない状態が続くことでも、引き起こされる。

兎にも角にも ・・・

水分を摂取することは、とっても大切なのだ。
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そしてその水分は、カフェインで代用してはいけない。

カフェインを摂ったら、その分 水分 を摂って頂きたい。

目をつぶり想像してみたい ・・・。
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               自分の体の中 ・・・

             血液がどくどく流れる血管 ・・・

                その流れが ・・・

                 ほら ・・・

            今、飲んだグラス一杯の水で ・・・

           滔々(とうとう)と流れる河の流れ ・・・

              滞ることなく、サラサラと ・・・

by yayoitt | 2008-01-24 06:49 | やっこの思想 | Comments(27)
切ない、20ポンド札 ・・・
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彼は、昨日の午後にやって来た。

小さな箱を胸の前に抱えて、雨に濡れたフードを外した。

20代後半と思える彼が、連れて来たのは ハムスターのOwran(オウラン)

お腹に大きなできものが出来ていて、食べなくなったと言う。

そのできものはゴルフボールくらいの大きさで、小さなハムスターにとっては、それは大きな腫瘍だった。

腫瘍は見る見る大きくなっていったと言う。

食欲が無くなって初めて、事の重大さに気が付き駆け込んで来たらしかった。

診察、診断の内容はわからないが、その午後、Owran(オウラン)がガサコソ鳴らす箱を抱えて、彼は帰って行った。

今日の夕方、再び診察に訪れた彼は、黙って椅子に座り、やっぱり小さな箱を抱えていた。

迎えに来た獣医師の前を歩く彼、ずり落ちそうなジーンズがよく似合うその後姿は、どこか悲しげだった。

診察室から、5分もすると獣医師が出て来て、安楽死の注射の準備を始めた。

少しだけ開いたドアの隙間から見えた彼の影 ・・・。

椅子に座って、震えていた。

震えて、泣いていた。

歯をくいしばり、その震えと戦っていた。


しばらくして、獣医師がドアを開けて彼を促した。

診察台の上で、もうガサコソ動かないOwran(オウラン)と、空っぽになった小さな箱。

その前に立ちすくんでいた彼 ・・・。

顔をゆがめ、泣きじゃくり、必死に声を抑えようと、その打ち寄せる感情の波と戦っていた。

強く握り締めた左手には ・・・

ポケットから出したばかりの20ポンド札

愛する命を、たった今、見送った若い青年の握っていた、くしゃくしゃのお金。

 こんな風に取り乱して、ごめんなさい

そう繰り返し、肩をそっと押された彼はようやく、小さな親友の元から離れた。

連日、降り続く冷たい冬の雨 ・・・

重い木のドアを開け、濡れながら彼は一体、どこまで泣き続けるんだろうか?

小さな小さな親友に別れを告げて、冷たい雨に打たれながら。

湿って皺の出来た20ポンド札を握ったら、泣けてきた ・・・。
by yayoitt | 2008-01-23 03:35 | 動物病院での出来事、仕事 | Comments(26)
天城越え
きっかけは、高校1年生の時に見た映画だった。
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                天城越え
         (1983年 松竹 松本清張の小説から)

14歳の少年とある娼婦が、天城峠を旅している時に起きた殺人事件。
当時、怪しまれて牢獄に入れられたのは、その娼婦だった。
しかし、何かおかしいと30年間、事件を追い続けた老刑事。

時空を越え、物語は行ったり来たりする。

母親に裏切られ、静岡にいる兄を訪ねる為に、独り天城越えの旅に出た少年。峠の途中で、素足で旅するハナという女性と出会い、共に並んで歩き始める。だが、道中、旅の資金を手に入れる為に、行きずりの男に声をかけたハナ。無理やり少年と別れたハナの後を、密かに追った少年は ・・・ 
草陰で情交を重ねる二人の姿を目撃してしまう。

殺人事件で殺されたのは、その男であった。


テレビで見たこの映画に私は、文字通り、心を奪われてしまった。

ドキドキしながら本屋に走り、松本清張の原作 天城越え を買った。

自分の鼓動を聞きながら、一晩で読みきった。

その夜から、思いを重ねて来た場所が 旧天城トンネルのある天城峠 である。

自ずから 伊豆の踊り子 も読み返し、初めて読んだ時とは違った情景を浮かべたもの。

            いつか、行きたいんだぁ ・・・

      いつか、あの天城峠を、自分で越えてみたいんだぁ ・・・


そして、看護学校2年生の夏休み、両親にお願いをして、一人旅をさせてもらうことに。

足を運んだ旅行会社で、希望通りに宿を予約してもらい、列車の切符を準備してもらった。

中伊豆は 湯ヶ島温泉 の、国道414号線に面する小さな民宿に連泊しつつ、すぐ近くから出ている 天城峠 を 湯ヶ野温泉 に向けて独り、歩いた。

寂しい小雨の降る峠では、誰とも出会わなかった。

何時間も歩き、念願の 旧天城トンネル に出会った時、心も身体も震えたんだった。

峠の途中で度々、開いて読み返したのは、松本清張。

湯ヶ野温泉では、川端康成が滞在して執筆をし、伊豆の踊り子の舞台にもなった 福田屋(旅館) で立ち尽くした。

清らかな川のせせらぎを聞きながら、目を閉じると、様々な光景にまた ・・・

ブルブル って震えたものだった。
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今でも、思う。

もう一度、あの場所に戻りたいと。

だけど、若い青春の日に感じた、あの感動は、繰り返せはしない。

きっと、二度とは戻らない方が、良いのかもしれない。

そんな場所、そんな旅が、あるものだ。
by yayoitt | 2008-01-22 06:44 | 遠くにて思う日本 | Comments(20)