カテゴリ:看護婦時代( 31 )
おとうさん とか おかあさん 
生まれてきた私たちには、父親と母親が一人ずついる。

一緒に暮らしたりはしていなくても、生まれた限りは、一人ずつ。
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私が病院に勤めていた頃 …

おとうさん おかあさん と呼ぶ人が、沢山いた。

患者さんたちだ。

看護師として、患者さんを おじいさん おばあさん と呼ぶのは躊躇われた。

けれど、個人の愛情をこめた意味で おとうさん おかあさん と呼んだ。

名前で呼ぶのが当たり前だし、そうすべきであったけれど …

患者さんとの付き合いが長くなり、ふと、そう呼んでしまう患者さん。

私にとっては、祖父母の年齢の方だけれど。

個人的な話を聞かせてくれたり …

寝たきりで、老いた妻が付き添っている患者さんを …

ついつい おとうさん などと呼んでしまう。

正直、病院では厳しく 名前で呼びなさい と言われていたけれど。

誰でもかれでも、ではなく、そう呼ばせてくれる患者さんがいたもの。

そう呼んでくれ と言われることもないのだけれど。

90近い患者さんを おとうさん、今朝の調子はどうですか? と。

そんな時、不思議な親近感が湧く。
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果たして相手の方が、どんな風に感じていたかは、知る由がないけれど。

いま、振り返ってみて、自分でも なぜだったんだろう? と思う。

その方に、子供さんはいないとわかっていても、そう呼ぶことがあった。

職業柄、それはいけないことなんだと思う。

プロの意識に欠けると言われても仕方が無いのだと思う。

あの頃 …

私の生活の中で、彼らは大きな存在だった。

毎日、顔を合わせ、様子を心配する。

大好きだけれど、家族じゃないし、友達でもない。

看護師と患者の仲だけれども。

おとうさん

おかあさん


と、呼んでしまった途端に、こぼれる思いがあった。

そこに、信頼を感じる、自分勝手な若さがあった。

あの おとうさん おかあさん 達は、きっとこの世にはいない。

病院の玄関、逝ってしまった おとうさん おかあさん を頭を垂れて見送りもした。

私はあくまで、通りすがりの看護師の一人だったに違いない。

おとうさん

おかあさん


そう呼ぶ私を、笑顔で迎えて受け入れてくれた人々 …。

彼らの名前はもう、覚えていないけれど。
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今でもはっきりと、彼らの眩しい部屋の光、影、匂いや音は覚えている。
by yayoitt | 2011-11-19 01:15 | 看護婦時代 | Comments(10)
夢でよかった と思う夢は、ほんとに夢で良かった
看護学校を卒業してから、飛騨の病院で働いた6年間。

オーストラリアに行くために退職する前の半年は、外来勤務だったけど。

それまでは、ずっと病棟勤務だった。

若い看護師は、病棟勤務で三交代と決まっていた。

新卒で送られたのは

 小児科 眼科 口腔外科 耳鼻科 の混合病棟

その後

 未熟児センター 小児科 の混合病棟 

そして

 内科病棟

へと移動した。
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何年、働いても、あの緊張感はきっと慣れはしない。

病棟という 人々が暮らす 場所だけに。

その、きりのない時間と仕事の連続。

自分が行った医療行為が、次の勤務に受け継がれていく。

そして、結果になり、また自分の勤務の時に、自らに戻ってくる。

その 働き終わった時間 から 次の勤務時間 までの空白。

それを 勤務外の時間 と呼ぶのだろうが、頭と心は縛られたまま。

少しの時間を見つけて、眠りを貪っても、モニターの音に目が覚める。
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もちろん、それは幻聴なのだけれど、耳というより、脳の方に刻まれている。

ひとつの勤務を終えて、次の勤務までの時間が、私はとても辛かった。

眠れば、夢ばかり見た。

どんな夢かは覚えていないけれど、苦しい夢が多かったと記憶する。

その …

 勤務と勤務の間

という状況の夢を、今になって、よく見る。
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夢の中で私は、ふと、時間を気にする。

その時、時間はいつも、勤務の15分くらい前で。

私が居る場所から、病院までは15分なんかでは到着できない。

夢の中でその勤務は、いつも夜勤で。

夜勤だから少人数でギリギリに忙しく過ごすから …。

私が遅れたら大変なことになるのに …。

 どうしよう …

 今、病院に向かっても、到着するのは …

 どうしよう …

 あぁ … どうすっぺ??


と。

ここで目が覚めるのである。

目を覚まして、しばらく暗闇のなか、ドクドク鳴る心臓の音を聞く。

そして、夢だとわかって大きなため息を吐くのだ。

病棟勤務時代、一度として遅れたことはないのに …。

夢の中では、絶体絶命なのだ。
by yayoitt | 2011-10-25 03:27 | 看護婦時代 | Comments(8)
ここに、刺しちゃってくださいっっ
何年の月日が経っても …

忘れられない感触がある。

機会があったら、今すぐにでもと …

再び、やってみたいことがある。

あの感触を。

あのドキドキを。

あの快感を。

あの緊張を。

 注射 

 採血

 カテーテル針(留置針)挿入
 
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途中で辞めたり、また復帰したりして続けた看護師。

色々な 手技 を身に付ける。

その中で、私が大好きだったのが …  である。

 (注 : イコール上手だという意味ではない 苦笑)

採血と、特に、カテーテル針(留置針)を入れるのが好きだった。

採血は、血管が肉眼で見えなければ見えないほど、腕まくりする。

指の腹で、触って触って … 

 ここかっっ

 これくらいの深さかっっ
 

と針を入れる。

カテーテル針(留置針)とは、点滴などに使うもの。
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一度いれたら、そのまま留置しておけるタイプのものである。

いわゆるチョウチョウ針と違って、真っ直ぐ長い血管を選ぶ必要がある。
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針を入れて血管に入ったら、針を抜きつつ、チューブのみを進める。

 チューブ、入ってるなっっ

 血管にちゃんと取り残されたなっっ
 

成功すると、その喜びは、普通の針に比べて大きい。

病棟に勤めていた頃 …

毎勤務で、数え切れない数の針を刺す。

チューブを静脈に留置する。

その日の最初の針が、血管をそれたり、突き抜けたりすると …

その一日は、じつに不思議なくらい、どの針も上手く刺せなかったりする。

 失敗針の迷宮入り である。

同僚が失敗した後を、助っ人として受け立つと、成功することが多い。

 助っ人針の大成功 である。
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ある日のこと。

患者さんの血管が見つからずに、必死に探していたら …

椅子に腰掛け、じっと私の指と自分の腕を見ている患者さんが …

 看護婦さん、ここ、ここ

 ほら、こんなに良い血管があるよ

 ここに刺してよ
 

と。

半袖の制服から出ている私の腕を指差しながら、言った。

そこを見ると、どでかい青い血管が、ぷっくりと見える。

 本当に、こっから刺したいくらいですよ~

 よしっっ 

 えいっっ
 

と、笑いながら刺した針。

見えも触れもしない彼の血管に、ちゃんと刺さったのだった。

眉間に皺を寄せて、形相を変えて睨んでいる私。

そんな私を、リラックスさせてくれた患者さん。

あのおじさんの病気は何だったのかも、覚えてはいない。
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(今でも、私の腕には、いつでもにょきにょきと血管が浮いている)
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by yayoitt | 2011-03-10 03:48 | 看護婦時代 | Comments(7)
夜勤に、解放する頭
新卒で病棟配属になってから6年弱。

三交替の勤務。

眠り によって 心と身体の調子 が左右されやすい私には ・・・

この夜勤が、とても辛くもあったけれど、楽しくもあった。
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辛さで言えば ・・・ 深夜勤

(深夜勤は、深夜零時頃から朝の9時頃まで)

日勤(朝から夕方までの勤務)でチームリーダーを終え ・・・

定時で帰れず、家に帰ると夜の8時頃。

その零時から、深夜勤(日勤と深夜勤の間を、準夜勤と呼んだ)が始まる。

夜の8時に家に帰っても、夕食とお風呂で、すぐに出勤時間になる。

深夜勤は、その頃の病棟では、10分ほど即席ラーメンを食べる休憩のみ。

ナースコールに追われ、カルテの整理に追われ、朝の準備に追われ ・・・

1人で、数十名もの患者さんの様態を把握し、申し送りする。
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重症者の方の様態が変わりやすいのも夜中。

認知症の患者さんが、覚醒して、徘徊したり行方不明になるのも夜中。

ナースステーションには、1~3台のモニターが鳴り響く。

他界されるのも、明るい昼間よりも、この夜中。

不眠と疲れと緊張で、文字通り ふらふら を経験したのも、この夜勤だ。

灯りを落とした病棟を、定時に同僚と手分けして巡回する。

懐中電灯の灯りを、顔に当てないよう布団に当て、呼吸を1人1人監視する。

寝たきりの患者さんは、体位変換(身体の向きを変える)をする。

大部屋なら、なるべく音が立たぬように、オムツを交換する。

ふらふら ながらも、大きな男性の身体を1人で動かす力は、凄いものだ。

その頃はまだ キャップ(看護師が頭に乗せている帽子) をかぶっていた。

それは、後に廃止となったけれども。

看護学生1年の終わりの、載帽式(たいぼうしき)からの付き合いだ。
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殆どの患者さんが眠る深夜勤

医師や婦長なども、呼ばない限り居ない深夜勤

私はよく、このキャップを深夜勤に取り外した。

長い黒い髪を、まるめて上げた頭が露わになる。

その瞬間に、感じるのだった。

 ほんの少しの開放感 

を。

大きな責任は、苦しいほどに圧し掛かったままだけれども。

一枚の、白地に赤十字のマークが入った布地を取り除くこと。

それが、心にゆとりを与えてくれるのだった。

キャップを取り外したところで、忙しさは変わらない。

主治医を電話で呼ぶ。

モニターの異常に、ゴム靴を鳴らして廊下を走る。

膝を折って溜まった尿を回収して回る。

ナースステーションに帰ったすぐに、またコールで部屋を出る。

キャップを取り去ることは、鎧(よろい)を緩くしてあげるようなものだった。

朝の6時になり、何十本もの採血に備え、食事の介助に備える頃 ・・・

血の気を失っていたのに、紅潮してきた頬を鏡に映して、キャップをかぶる。

窓からは、山裾に朝日が空を白々と、薄い雲を引き入れ昇って行く。

 よしっっ 

と、溜息とも、励ましともわからぬ声を出して、立ち上がるのであった。
by yayoitt | 2011-01-11 05:33 | 看護婦時代 | Comments(14)
しいいいい しいいいい
記憶をさかのぼる。

オムツを外してから、一番古いオシッコの思い出は ・・・

一緒に住んでいたおじいさんが竿竹作りをしてた裏庭で。

(ちなみに、おじいさんの名前は、竹造だった)

母が両手で私を抱えてしゃがんでいる。

抱えられた私は、パンツを履いておらず、両太腿の下に母の手がある。

 しいいいいいいい

 しいいいいいいいいいい

庭の青く萌える木々を見ながら、母の声を耳元で聞く。

そのうちに ・・・

しょしょしょおおおおおおおおおおおおお

オシッコが出てくる。

1人でトイレに行くようになってからも ・・・

私は しいいいいい しいいいいいいい と自分で呪文を唱えた。

そうしないと、オシッコはなかなか出てこなかった。
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看護師になって働いていた頃。

病棟に帰って来た手術後の患者さんのケアー。

全身麻酔であれば、ハルンチューブ(オシッコの管)が入っている。

腰椎麻酔や部分麻酔だったりすると、管を入れないことが多い。

麻酔の高さが腰の辺りまで残っている状態で、患者さんが訴える。

 ものすごくオシッコがしたいんです

手術後の状態により

車椅子でトイレに連れて行ったり、便座をベッド脇に持って行ったり。

尿意は強く感じているのだけれど、麻酔の影響で、オシッコが出せない。

便座に15分も、20分も座っていても、それでも、出てきてくれないオシッコ。
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看護師の私たちは、色々と考える。

・・・ 心理的に、麻痺した感覚を、いかに排尿へ導くか?

みなが必ず行ったのは 蛇口の水を出しっぱなしにする こと。

その水が流れる音を聞くことで、オシッコの感覚を刺激する。

多くの患者さんは、それで、しばらく時間をかけたら ・・・ バンザイ~

だけど、この方法でも、オシッコが出てくれない人もいる。

導尿(一時的に尿管を入れて、オシッコを出すこと)を勧める。

それだけは嫌だ ・・・ と言われる。
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そんな時に、私は思い出して、一か八かで ・・・

 しいいいいいいいい

 しいいいいいいいいいい

 しいいいいいいい


と、患者さんのカーテン越しで、あの呪文を唱える。

 しいいいいいいいいい

 しいいいい ・・・


ちょ

ちょろん

ちょろろろろん

じょじょじょじょおおおおおおお


・・・!!!!!

 看護婦さんっっ 出てますっっ

その嬉しそうな声を聞いて

 ああああ、ようやく出てますねっっ

と応える頃には、うずうずうずうず。

バンザイ~~~! と飛び上がる間も無く ・・・

私もトイレに走るのである。

母の呪文は、凄かったっっ 
by yayoitt | 2010-09-13 04:53 | 看護婦時代 | Comments(23)
エンゼルケア 
4月から5月にかけての日本帰国。

その飛行機の中、行きと帰り、同じ映画を2度、見た。

 おくりびと

その、繊細でプライベートな処置を見ながら思い出していた。

看護師時代のこと。

病棟勤務の頃のこと。
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病院で、患者さんがお亡くなりになると、看護師がその処置を行う。

ご家族に申し出て、家族の意向を尋ねる。

 看護師で行って欲しい

という希望である限り、私たちがそれを行う。

ご家族の中には、ご遺体をお連れし、ご家族がお風呂に入れる場合もある。

看護師が処置を行う場合、そのご家族も一緒に行いたい意向も尋ねる。

ご家族の見守る中 ・・・

ご家族が一緒ではない中 ・・・

看護師は、手際よく処置を行う。

 傷口などの処置 

 清拭(体拭き) 

 鼻腔や口腔、肛門などへの詰め物 

 死化粧

 ご家族の希望する衣類への着替え


いかに、ご遺体を綺麗に、そして生前の安らかな表情に蘇らせるか ・・・。

多数の患者を看る勤務内では、納棺士のように、時間と手技を尽くしきれない。

けれど、できる限りの最善を尽くして処置は行われる。

それが、真夜中であっても。

病棟が賑やかな真昼間であっても。

プライベートで、厳かな、しかし手際の良い処置を全うする。
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不謹慎な言い方かもしれないけれど ・・・

 私は、この処置が好きであった

1人の人の、まだ温もりのある身体を、出来る限りに綺麗に整える。

頬に赤みを蘇らせて、唇に血を通わせるごとく、化粧を施す。

最後に、胸の少し下で両手をそっと組み合わせる。

短かったり、長かったり、その患者さんとの想い出が蘇る。

その人が生きてきた道程を想像する。

処置をしながら、天井を見上げるのが私の癖で ・・・

 その人の魂は、上からご自分を見つめているに違いない

そう感じたものだった。
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おくりびと を見て、今更ながら学ぶべきことは沢山あったと思う。

多忙な業務の中で、その尊い行為に割くべく時間。

ナースコールが鳴り、中断して場所を離れざるを得ないことも、あったと思う。

私たち看護師のその背中を見ながら、ご家族はどんな気持ちでいたであろうか?

エンゼルケア と私たちが呼んでいた死後の処置。

どれくらいのエンゼルケアを行ったか、数え切れもしないけれど。

とても貴重で、尊い、忘れられない時間だった。

(お体を触れさせて頂いた患者さんとご家族に、平安がありますことを ・・・)
by yayoitt | 2010-06-01 04:28 | 看護婦時代 | Comments(11)
聞き間違いな診察室
日本は飛騨での看護師時代。

月に何度か入る、救急室での勤務中。

腹部の激痛で診察を受けに来た男性。

おなかを曲げるようにしながらベッドに横になっていた。

医師が、彼の隣に来て、必要な問診をはじめた。

 医師 : 今日、何を食べましたか?

 男性 : イチゴを食べました

私の耳には、はっきりとイチゴと聞こえたのだが ・・・

どういうわけか、医師の耳には、そう聞こえなかったようで。

 医師 : え?? ご飯を、1合? 

くの字に身体を曲げた男性は、痛いのに くっく と笑い ・・・

 男性 : いえ ・・・ くっく ・・・ イチゴです、イチゴ、くっくっ
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イチゴが腐っていたのか、彼がどうなったのかも、覚えがないけど。

イチゴ と 一合 は忘れられない。

痛いのに、腹に力を入れて笑う彼の表情も。
by yayoitt | 2010-03-02 07:03 | 看護婦時代 | Comments(12)
やっこ、小説の主人公とは
看護学校の同級生、A子。

彼女は学生時代、いつも主席。

彼女と私とは20数番も成績に違いがあった。

クラスの人数 ・・・ 25人(ガーン)

遊んだり片思いしてばかりいた私と違い、彼女はいつも寮の自室で勉強していた。
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6年前に飛騨に帰り、卒業した病院で再就職した時、A子と同じ職場になった。

オーストラリアに行く為に、その病院を退職してから、初めての再会だった。

A子は、私が経験してきたことや考えなど、いろいろと興味を持ってくれた。

私も噂で、彼女がある意味、波乱万丈な時間を送って来たと聞いていたから ・・・

長年の空白を埋めるように、毎日、毎日、沢山のことを語り合った。

 わたしな、渡辺淳一の小説が大好きで ・・・

なんだか、美人で聡明な彼女らしいかも

 中学生の時から映画なんて見に行ったことがなかったのにさぁ ・・・

あぁ、勉強ばっかりしてたんやろうなぁ~

 1度だけ見に行ったのが、失楽園やったんやさぁ ・・・

ひーひー A子、あんた、良いわぁ~~~
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外来勤務だった私たちは、朝一番に控え室に到着するのが私で、彼女が二番。

それから同僚らが10数人やって来るまでの30分ほど、恋だの、愛だの、語ったもの。

ある朝、彼女が私に言った。

 やっこ、私、小説を書こうと思ってな ・・・

ほうほう、失楽軒という題名で、中華レストランが舞台とか? がははっっ

 主人公はずばり、やっこ、あんたよっっ

中華レストラン失楽軒へ、いらっさい~~~ へっっ?

 題名は ・・・

ドキドキするなぁ~ 中華レストラン失楽軒で雇ってくれるかなぁ

 足枷(あしかせ)よっっ
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あれから何度か、小説の進み具合が順調だと聞いたけど。

一体、私が主人公の小説 『 足枷 』 って、どんなんだろうか?

どうやら、恋愛の話ということはわかっているけど ・・・

私(主人公)の恋愛を邪魔するものって ・・・

それって ・・・

 もしかして、美貌っっ??
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足枷 という本はまだ、出版されていない。

               ☆   FIN   ☆
by yayoitt | 2009-12-28 01:49 | 看護婦時代 | Comments(10)
Ns' やっこ (頭痛と肩凝り)
今週末は ・・・

頬杖ついて、ヘッドセットの音量を合わせて見ている。

友達が貸してくれたドラマ Ns' あおい 
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腕を組んで見始めると、案の定、ドラマにのめり込む。

昔とった杵柄(きねづか) ・・・

そんな 出来る看護師 では決してなかったのにも関わらず ・・・

時々、独り言を言いながら画面を見つめる。

 ほらな、それは絶対に腸穿孔だと思っとったわ~

とか

 こんな気道確保では、肺に空気が入らんぞっっ (言うのは簡単である)

とか

 あぁ、胃が痛くって肩がこって歯が痛かったら、心筋梗塞かもなぁ~

とか

 ほうら、やっぱり心筋梗塞だろっっ ふん (鼻から息)

とか

 うわぁ、おるおるおるおる、こんな医者っっ 髪型も同じ! (これは興味深い)

とか

 この人は ・・・ なんか死臭がするなぁ~~ (何となく身に付いた悲しい癖)

そして

 ほうら、やっぱりな ふん~っ (鼻から溜息)

と ・・・。

とにかく、こんな私とこのドラマを一緒に見る、気の毒な人がいなくて良かった。

看護師で働いていると(働いていたら)、こんなドラマにいとも簡単にはまる。 

ましてや、リアルであればあるほど、現実と比べて楽しめる。

看護師時代を思い出しながら、画面をぼーっと何時間も眺める。

肩がゴリゴリになってることに気が付く。

特に、左肩 ・・・。

あれ をやってみる。

 “ 肩凝り(かたこり)を診る方法 ”

これは、脳外科の外来に勤務していた時に、医師から教えてもらった。

その大阪人の医者は、顔も声も雰囲気もタバコを吸うのも、上田正樹に似ていた。 

彼は初診で 頭が痛い と訴える患者(50代以上)には必ず、こう言った。

頭部CTを撮った後、それに異常がなければ ・・・

 xxさん、頭痛(あたまいた)の殆どはな、肩から来とるんやな

 あんたも、こ~ちょっと肩がこってないか?


そして、こう続けるのだった。 (( ここからは、やっこの図解説でどうぞ ・・・))

 ちょっとこう、両腕ぇ、広げてみ
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 まずは、右腕まっすぐ伸ばしたまま、左腕に近付けてみぃ
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 お、右腕はぁ、ちゃんと付くなぁ

 ほいじゃぁ、おんなじや、左腕を右にぐ~っとぉ

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 あららぁ ・・・

 xxさん、左腕はちゃんと付かへんなぁ~

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 どれどれぇ~~~

そう言うと、彼はxxさんの左肩を両手で揉むのである。

 おおお、こりゃぁよぉ、凝ってるわぁ~

 頭痛いのも、左やったなぁ~


そう言われたxxさんは、顔をしかめながらも 

 あんれぇ、きっもっちええ ・・・ 

と、まるで優しい息子に肩を揉んでもらっているかのように微笑むのだった。

私は、この医者の診察の介助が大好きだった。

皆さんも是非、お試しあれ!
by yayoitt | 2009-11-28 03:22 | 看護婦時代 | Comments(18)
刺さった心を、手で見る
高校を卒業したばかりの春 ・・・。

まだ、10代の赤い頬の少女が聞いた言葉。

それは、25人の新入生を迎えた看護学校。

寒い高山の町に、桜が積もった後の風、足跡。

上気たった頬をふくらませて、座っている。
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 看護の  という字は 手に目 と書きます

 看護とは 手で見る仕事 なのです


手で見る ・・・

この手で、看る。

太く丸い、厚みのある掌を、見つめて聞いたのだった。

よく肥えた胸を、机に乗せて座っている。

 患者さんの  という字は 串に心 と書きます

 患者さんは 心に串が刺さった ような苦しみを抱えているんです


まだ、病棟になんて出掛けたことのない、健康な若さ。

その痛みが ・・・

心を串で刺すほどの痛みが ・・・

何年も掛けて、少しずつ、確実に伝わってきたのだった。

桜は終わる。

葉桜が茂る。
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 言葉という字は ・・・

 言う葉 と書きます

 ぽつり ぽつり と

 まるで葉が散るように

 言葉も

 落ちるものなんです


そんな文章を書いたのは、夏の午後。

初めて出会った、心が串に刺さってしまった初老の男性。

彼に、田舎娘が語れる言葉など、なかったから ・・・。

ぽつり と

ぽつり と

こぼすしかなく

まとまりなく、散らすしかなかった。 
by yayoitt | 2009-07-30 07:04 | 看護婦時代 | Comments(11)