カテゴリ:マル島旅行記( 16 )
マル島旅行記 グレンコー秘境の土地
ハイランドを通り過ぎて、ノーマンを迎えにお姉さんの家に向かう最終日。

ハイランドでも私達が特に愛している景色は、グレンコーである。

ここには、スコットランド人が今でもなお胸を痛めて語る、とても悲しい話がある。

(ご興味あれば去年の日記をご参照下さい)
http://scotyakko.exblog.jp/d2004-09-02


このジャコバイツ一族が、グレンコーに住んでいた頃、彼らは盗んできた牛達をグレンコーを代表する山 三姉妹のうちの一つ目は奥深くに隠していた。

これが、隠された谷間 Hidden Valley と呼ばれている。

そこに行くには、グレンコーを望むメインの道路から、渓谷と山道を約1時間ほど登らなければならないが、私達夫婦にとっては、いつか来てみたい場所の1つだったのだ。

名前の如く、平地やグレンコーの周囲のどこからもその谷間は、見ることが出来ない、正に隠れた秘境なのである。

どうにか何度も繰り返し人が通った道らしき山道を登ること約1時間、途中には羊か鹿の角のついた頭蓋骨まで散乱していて驚き、また、橋のない川を越え...ふと、開けた景色が目の前に...

信じられない光景だった。

こんな山の奥に、そして、こんな細い険しい道の後に、大きく開けて平らな場所が私達を待っているなどと、誰が一体想像するだろうか???

その頃、牛を連れて、ジャコバイツ一族はどうやってここまで上がって来たのだろう???

四方を険しい山の肌に囲まれた平らな土地、まるでサッカー競技場を、コロッセウムを思わせるような地形である。

ずっと来たかった Hidden Valley、 今一度、スコットランド人の心に深い傷を残して流れるジャコバイツの血を、目をつぶって感じ取る...こうして、私達のマル島旅行は締めくくった。

うまく写真で、その大きさが伝えられないかもしれませんが...
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by yayoitt | 2005-10-28 20:11 | マル島旅行記 | Comments(8)
マル島旅行記 誰かいる!!!
灯台から帰ると、お腹も空いてちょうど夕食のいい時間。

早速、ホテル別館の食堂兼パブへ… マル島旅行中、毎晩、チップス(フライドポテト)を食べていた私…身体に悪いと思いながら、ホリデーだもん、と言い聞かせ、やっぱりこの夜も、ヴェジタリアンスープにチップス…

食事から帰ると、さすがに長い運転と、往復10キロの散歩で疲れたのか私は眠気が…マイケルは、そのままパブで、スコットランドサッカーの試合を見る為に残っていた。

私達のホテルの周りには家はない、丘の向こうに一件見えるのみ、あとはとにかく暗闇、しかも部屋がある建物は、パブや食堂、レセプションのある建物と離れているので、その明かりも届かない。

その夜のお客は私たち以外に、2組くらいる様子だったが、顔も合わせていない…静かだ、ただただ静かな夜だ… 部屋のテレビは電波が届かないので全部ジャミジャミで見えない…あぁ~眠い…

物音で目覚めるとマイケルがゲームが終わって帰って来たところ、そして彼がこう言った。

 外から、灯台の明かりが見えるよ…とっても綺麗だよ 

私は飛び起きて、早速見に行くことに、建物の外に出てみた…でも、真っ暗で、私達の部屋の灯り以外は何も照らす物がなく真っ暗である。

建物の壁に沿って、マイケルが灯台の灯りが見えると言った、私達の車の横まで行こうと歩いている時… 

ジャリ、ジャリ、ジャリ、ジャリ…


な、何?

ジャリ、ジャリ、

段々音が大きくなる??誰かの靴音??

音はすぐ側で聞こえるのに、どんなに目を凝らしても何も見えない、ぼんやりシルバーの車の形が浮かぶだけ。

ジャリ、ジャリ、ジャリ…

規則正しくその足音はすぐそこで聞こえる。

私は一目散に、私達の部屋の窓の下に走り寄り、窓をドンドンと叩いてマイケルを呼んだ。

ニコニコしながら、呑気に “イエ~ス?” と顔を出すマイケルに、震えながら私は、“マイケル、誰かそこにいる!!でも見えないの。聞こえる?足音?すぐ近くまで来てる!”

マイケルが窓から顔を出し、真っ暗な闇に耳を済ませると “うん、誰かの足音”と…とてつもなく怖くなった私…でも部屋に帰るには、窓をよじ登るか、足音がする方を廻って玄関に行かなくてはならない… “迎えに行こうか?” に、激しく首を縦に振る私。

ジャリ、ジャリほら、来るよ、来る、そこまで来てる、もっと近くに、来る!!

マイケルが早足で外に出てきて、足音がとっても近くに来るのを感じながら2人で小走りに建物の中に逃げ込み、マイケルが先に部屋の中に入ると、“窓の外にいる!!!”と叫んだ。

私は部屋の灯りを消し、マイケルが窓の戸を閉めてカーテンを引いた…胸がドキドキしている…誰なんだ?何の為にこんなことするんだ?何してるんだ??マイケルもかなり怖がっていた。

きっと、気が変になった人なんだ、とか、旅行者で身元もわからぬ人なんだ、とか、色んな想像をして、それはその夜、夢にまで出て来た。

翌朝、あれは一体何だったんだろうと話しながら、朝食に行く為に外に出た。

昨夜、足音がした所は全部草地 … 砂利などないのに、なんであんな足音がしたんだろう??

そしてその草地には … ハイランドクー(ハイランドカウ=スコットランドはハイランド地方の牛)が2頭、草を食べている … あれ?この音…?
 

ジャリ、ジャリ、ジャリ、ジャリ

規則正しく口を動かし草を引きちぎり噛む音 … この音って … あの、靴音??

そして、私達の部屋の窓のすぐ外の土にはくっきりと、牛の足跡が!!!

そう、あんなに怯えた人の足音…あれは、こいつらの仕業だったのだぁ~、夜中中、草、食っとるんか、あんたらは!でも、謎が解けてよかったぁ…

結局、灯台の灯りは見えなかった。
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by yayoitt | 2005-10-27 21:59 | マル島旅行記 | Comments(6)
マル島旅行記 英国本島の最西端 灯台へ
マル島にサヨナラを言い、来た時とは違う島の端から本島にフェリーで向った。このフェリーは、マル島の中最も大きな街、トーバーモりーから出ているのに、車が2台入ったら一杯というような小さなフェリーで、車は私達だけだった。

他の乗客は、歩いて島から本島に向う年老いた老夫婦のみ。

本島に着いて、その理由がわかったが、そこはスコットランド本島の中でも西の西、ぐねぐねのシングルトラックがただただ続き、街もなく、村と言えるまとまった集落もないような場所だった

そこをとにかく車で走りぬけ、最初にフェリーに乗った村も通り抜け、今晩泊まりたいと思っている村へ...その村は、英国のメインランド(本島)の中で最も西にある場所で、そこには古い灯台が建っていて、観光の名所となっているのだ。

もう、これ以上運転したくない...と思った頃に、目的地 Ardnamurchan 半島は、ソナハン(Sonachan)に到着、B&Bは殆どなく、ホテルが2つ...そのうちの1つ、宿泊場所のある建物は丘の上に、ホテルの主人家族の家と繋がって建っており、ホテルのメインの建物はその下に建っている。  http://www.sonachan.com/index.html

車から荷物を取り出し、ちょっと一息入れてコーヒーを入れ、ベッドに座って外を見ると、ず~っと向こうに海の端っこが見える...外は霧雨...時間はまだ2時半...行きたかった最西端の灯台までは3マイル(約5キロ)... 歩きたい~!!

雨で、マル島でも結局、マル島一高い山に登れなくて、歩きたくてむずむずしていた...車で行くより絶対に楽しい...ぐねぐねの上がり下がりの道は、私達夫婦にとってはとても興味深いのである。 よし、そうと決まれば、すぐに出発、プリングルスとチョコ、水を水道で汲んでいざ出発!!

私達は、山歩きなど、歩く時には必ず目標の時間を立てて、何時に到着するか、何時にここに帰られるかと予測も立てるのだ、そうすると張り合いも出るし、トロトロ歩くのは嫌いなので、時計を見ながらさっさと歩ける。

到着時間など予測を立てて、すぐに賭け(どっちが近いか?)をする、この時は、何台車が通るかまで賭けて、3マイル歩くうちに4台しか車は通らないといった私が、9台のマイケルに負けた...結果は10台だったから。

歩き始めて見えるのは、見え隠れする海と、どんな場所にでも必ずいる羊達、そして、長い前髪と体の毛を持つハイランドクー(Highland Coo = スコットランドは北のハイランドにいる牛で、クーとは、スコットランド語のカウのこと)ばかり...途中それでも、羊犬(コリー)がご主人の指示で、ちらばる羊を集めて家に帰る様子を見ることなんかできた。

片道3マイル(5キロ)、灯台に到着は約70分後、まずまずだ...

灯台は、それほど大きな物ではないが、中は博物館になっていて、灯台の頂上まで時間ごとにツアーを組んで(と言っても、時間の書いた札を渡され、頂上まで行くと管理人のおじさんが待っている、というもの)説明を受ける。

オフシーズンで平日のこんな西の果てに、観光客がちらほらいたのには驚いてしまった。

 Ardnamurchan Lighthouse  

約24 mile (39 km) に及んで灯りを届けることが出来るこの灯台、高さ 35m のグレーのタワーは1849年、3年間に渡ってマル島から石を運んで建設されて完成。1988年に、自動化されるまでは、この灯台横に立つ灯台守の家に3人の燈台守が住み、200数十段もの階段を毎回昇り降りして、管理していたのだ。灯台の真下には、大きなホーンがあり、霧の日には、そのホーンから灯りの代わりに音を鳴らしていたのだ。

一年中風が吹きすさび、人里を離れてそこで暮らす日々は、一体どんなものであったろうか...この灯台下の燈台守の家も見学できるが、それは自然の厳しさ、孤独との戦いだったに違いない。

灯台のサイトはこちら。 
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by yayoitt | 2005-10-27 02:01 | マル島旅行記 | Comments(4)
マル島旅行記 ストーカー
神聖の地アイオナから、マル島に向うフェリーは行ったり来たりを繰り返し頻回に出ていたので、夕方、比較的遅めのフェリーに乗って、マル島へ戻った。

この日の朝に、同じスタッファ、アイオナツアーに参加した人々の中に、前夜、私達と同じB&Bに宿泊していた中年の夫婦がいた。

その夫婦には、前夜に、港のレストランで初めて出会ったが、その時は同じ宿泊だとは思わずに特に挨拶もしなかったが、私は彼らを、何となく仲の良い雰囲気の良いカップルとして覚えていた。その翌朝、つまりこの朝に、朝食に降りて行って彼らに再会し、そこで初めて挨拶をした...本当に仲の良い2人とも白髪が上品な初老の夫婦だった。

その後、スタッファツアーのボートを待つ間、一緒に話をしながら待って、同じ船に乗り、初めてアイオナに着いた時に別れた...が、このアイオナからマル島に戻るフェリーの中で、私は彼らを目撃していたのだ。

マイケルと冗談で、“まるで私達はストーカーだなぁ...。これでマル島でまた会ったら絶対に怪しいよな”と言いながら、2人の中のストーカーのイメージと称しての コント が始まった。

コントは、次にその夫婦に会った時、私とマイケルが、背後からそ~っと近付いて行って、2人の耳元でこう囁(ささや)く...
 
“I know you were inIona, weren’t you... ”(あんた、アイオナ島にいたでしょう、あたし、知ってんだよ...)

そこから始まり、彼らを見掛けたレストランやB&Bと場所を変えて、“あんた、あのB&Bに泊まってたでしょう?あたし、知ってんだよ... ”と繰り返すのだ。こんなことが可笑しくて腹を抱えて笑いながら、それにしても良い夫婦だったと私が言うと、マイケルが首を傾げて、でも、きっと夫婦じゃないと思う と言ったので驚いた。理由は、朝の朝食の時の2人の会話が、夫婦らしくなかったからだと言う...私達、本当に彼らをストークしているみたいだぁ...。

マル島に戻ると、さっそく車に乗って、今晩泊まるつもりの村まで1時間ほど走らせた...が、何と言っても小さなマル島のオフシーズン、B&Bと看板を掲げていても、気分が向かなかったりして営業しない人が多いらしく、その目的の村(全部で家が10件くらい)で泊まれる所がなかった。暗くなるし、お腹は空くし、どうしようかと考え、昨日泊まったチャウチャウのいるB&Bにもう一度戻ることに...再び来た道を1時間ほど走り、B&Bに到着、部屋は空いているから、ということで再びそこに泊まれることに。

お腹が空いていたので早速に港の昨夜と同じレストランへと向った(このレストランが、実に美味しくてお洒落で、こんな小さな村にどうしてこんなにちゃんとしたレストランがあるのか、と驚くような所なのだ)。

レストランに入って席に案内される前にまず、私とマイケルは、思わずニッコリ!!!

そう、あの初老のカップルが...座っていたのだ。

彼らも笑顔で振り向き、私達は冗談で、僕達ストーカーのようだなぁ、などと言いながら2~3言葉を交わしたが、本当に感じの良いカップルだった。

さっきマイケルが言っていた(夫婦じゃないかも)という言葉が浮かんできて、思わず聞き耳を立てる訳ではないのに、彼らの話に耳を傾けてしまっていた私達...内容は、学校時代は何を学んだか、この教科ではこんなことをしたが、あなたはどうだったかとか、思い出話が殆どで、特にワインでほろ酔いになっている女性の方が常に話しっ放しである。

うんうん、確かに長年の夫婦やカップルなら敢えて昔の学校の話とかはもうしないな、しかもずっと話し続けて、あんなに嬉しそうに見つめ合ってて...そこで私がマイケルに顔を近づけて一言... 

“あんたら、夫婦じゃないでしょ?付き合い始めたばっかでしょ?あたし、知ってんだよね... ” 

2人して吹き出した。

翌朝、朝食で再び顔を合わせた時には本当に驚いたが、よく考えると、彼らは連泊していたのであって、特に不思議ではないのだ、が、全く、私達は彼らのストーカーになった気分がして、とても照れてしまった。席を立って、お別れの挨拶をマイケルが言うと、男性の方が “間違いなくどこかでまた会うだろうからね” と、そこでマイケルも “ストーキングしてるからね” と。

それが彼らとの、マル島でのお別れだった。
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これが私達が連泊して夫婦を付けて廻ったチャウチャウのいるB&Bのサイト
 http://www.achabanhouse.com/index.html

写真は、マルの港 Fionnphort フィオンポート から、向こうにアイオナ島を望む
by yayoitt | 2005-10-26 01:52 | マル島旅行記 | Comments(8)
マル島旅行記 アイオナ島へ 2
アイオナ島を、マイケルと共に歩き始めた。

最初は海沿いに、島一番のメイン通り ( と言っても、お土産屋兼レストランと、何でも屋が2件並ぶだけ) を通って歩いた。

草地を海を見ながら歩くのはとても気持が良かったし、さっきの船酔いも、お土産屋さん兼レストランで飲んだホットチョコレートが効いたか大分楽になっていた。

船着場では、フェリーが本島やマル島から到着する度に、団体旅行者らしき人々が大勢やって来る。今日は巡礼ツアーの日でもないし平日なのに、こんな小さな島を訪れる人々の殆どが、ここを聖なる地と崇めるキリスト教徒達だ。

団体ツアーの人々がレストランに入ってしまうと、途端に私達の周囲はだけ。

バアァ~ァ バアァ~ァ 

群れを成すことで自らを守る動物...必ず近くに誰かがいないと不安な動物...誰かが右を向けば自分も右を向く、誰かが座れば自分も座らないと不安な動物... 黒い顔に白い毛の羊が殆ど、顔も身体も真っ黒な羊がちらほら...なんだか、どことなく人間みたいだなぁ...本当は弱いところ、本当は寂しいところ、本当は悪を知らないところ。

私は、草の上を渡りながら、顔を上げて警戒する羊にこう言い掛けた。

“ 大丈夫よ~!私達は、あなた達の友達なんだから~ ” 

そして、よく考えて、付け加えた。 

“ この人は違うよ~。この人は、あなた達の赤ちゃん食べるからね~! ”

...... 不公平だよね、マイケル...本当に、ごめん!! 

南北に伸びる島、南に向って歩いていたら、15人くらいの団体が小道の途中で何か集まって歌を歌っていた、賛美歌だ、近付くと頭を低くして輪を作り、祈っていた。 曇り空と強い風にさらされて短い湿った緑の間とに、彼らの姿と歌声を聴き、私の両親のことを思った。... 彼らはとても熱心なクリスチャンなのだ。

そこはもう島の南の端に近く、それ以上は小道も延びていないので、今来た道とは違う、西側の道から北へ向った。家が遠くに一軒見えるくらい、あとは緑の緩い丘、その向こうは海 ... もう島の端っこ ... あれ?? この緑の上の番号札は一体...? なんと、ゴルフ場だった。

人口200人にも満たないこの島で、何故にゴルフ場があるのかが、可笑しかった。

ポッツリ、ポッツリと建つ家には余り人影は見られなかったが、こんな曇り空の日は珍しいのだろうか、半袖半ズボンで、庭で大工仕事をしている人がいたり、家族で前庭を掘り返したりする姿に出会った。

ある家からはとても人懐こいが現れ、私達の目の前でひとしきり、寝そべってお腹を見せたりダンスをして歌まで歌って去って行った。

そのまま小道を進んで行くと、もうすぐに、さっきの船着場が見える...ほらまた、島の端っこ。

そして、アイオナアベイ(修道院)などの遺跡が残る観光中心地へ...でも、私達はそこは外をぐるりと歩くだけで通り過ぎ、向ったのは、この島一番高い山! と言っても、丘?

そう、馬鹿と煙は、常に高いところに昇りたがる...。

私達の旅は、基本的に常に山歩きをするのが目的...どこに行っても、登るのだ。

((( 長く引きずりますが続く )))
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by yayoitt | 2005-10-20 07:40 | マル島旅行記 | Comments(14)
マル島旅行記 アイオナ島へ 1
感動と激しい波の怒涛の中、ボートは帰路へ。

船酔いしたドイツ人の女の子は、結局、スタッファを見ることなく、ずっと甲板で横になっていた...かわいそうに...

ボートはマル島に向う前に、マル島の隣にある小さな島、IONA(イオナ・アイオナ島)に立ち寄る。私達も、今回アイオナ島を訪れるのを楽しみにしていたので、そこで降りる予定である。

帰りも皆が目を見張って、何か波の隙間を飛び跳ねる姿がないか?水平線を何かが横切らないか?見つめていた。するとまた、マイクを通して “進行方向左手に、ポーポス(ねずみイルカ)がいるね” と。

今度こそは... あ、見えた!弧を描いて、まるで動く車のワイパーの先を見るようにヒレのある黒い背中が波を縫っていく!!それは3~4もあり、ガイドさん曰く、家族だそうだ。

その後もしばらく波を見つめていたが、さすがに私も気分が悪くなってきた。どうやら、ドイツ人の女の子だけでなく他のお客さんも、2時間に及ぶ揺れるボートの旅で気分は思わしくないらしく、うつむいたりして沈黙していた。

あああ~、このままもう15分もボートに乗ってたら吐いてしまうかもなぁ...と私もうつむいていたら、有難いことに世界聖地の1つ、アイオナ島に到着!

愛らしいスコットランド訛りの強いガイドのおじさんと、ボートの舵を取っていたお兄ちゃんにお礼を言い、いざ、アイオナへ!

アイオナ島 について、簡単に ...

キリスト教信者の方は、耳にされたことがあるのではないだろうか、アイオナ。
現在、人口175人、幅1.6キロ、長さ3.5キロ、そのゲイル語の名前は、聖コルンバの島である。

(ちなみに、スコットランドの西の島々や、西側の田舎では今でもゲイル語が言語であり、ご近所さんとの会話は英語よりはゲイル語で交わされる、パブに行って、耳を澄ますと、地元の人が不思議な言葉を話しているのを聞くことが出来る)

563年、聖コルンバが母国のアイルランドから亡命、12人の弟子と共にこの小さな島を発見、この島から、スコットランドとイギリスのキリスト教の異教を改教していった。ここがキリスト教の学びの拠点となり、クリスチャンの殉教がヨーロッパへと伝わり、巡礼の中心地となった。この小さな島は、何人ものスコットランド王、アイルランド王、ノルウェイ王を埋葬するほどの、聖なる島となった。

その後、ヴァイキングの襲撃を受けるなど、長い歴史を経て、今ではその島に、年中世界中からキリスト教信者が大きなツアーを組んでは訪れている。

毎週木曜日には、巡礼(日本で言えば、四国の八十八カ所を廻るお遍路さん)の団体が島を廻り、所々で祈りを奉げたり、賛美をしたりしている。

島には、修道院(庭には、王の墓が並ぶ)と、尼僧院が残っている。
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アイオナ島を歩く旅は、次へ...

写真は、IONA ABBEY(修道院)
by yayoitt | 2005-10-18 03:50 | マル島旅行記 | Comments(4)
マル島旅行記 STAFFA ボートツアー3
スタッファの周りは、岸に打ち付ける波で白いしぶきが高く上がっていた。

スタッファという名前は、ピラーアイランド(柱の島)という意味があるくらい、その表面は、縦に伸びる高い細い無数の柱のような岩で覆われている。

人を寄せ付けそうには見えないその壁をボートがゆっくりと廻って行くと、大きく黒い口を開いた洞窟が!!そう、これが
フィンガル洞窟
である。

黒く大きな不気味な口の中に、吸い込まれて行く白い水の泡たち...。

メンデルスゾーンはそこで、何を聞いたのだろう?

ここへは、メンデルスゾーンを代表に、かつて多くの芸術家が訪れている。

スコットランドの詩人、ウォルタースコッツや、ロンドン生まれの画家、ジョセフ ターナーなど。

ターナーは私の最も好きな画家の1人なので、マイクを通してガイドのおじさんが、ターナーがスタッファの絵を描いていることを聞いたら、かなり興奮してしまった。

ターナーとの出会いはそれほど長くはなく、9年ほど前、私もマイケルもオーストラリアにいる時、メルボルンの美術館にてターナー展が開かれたのを見たのがそれである。

もともと絵が大好きな私であったが、その時ばかりはマイケルの方から、“ターナー展が来る!”と誘いを受けて出掛けたのだったが、その出会いは衝撃的だった。

本当に、身震いした。

静かな館内に、彼の絵を見ているうちに、どこからともなく風が起こったり、波が打ち寄せたり、小鳥が空間を切り取ったりするような錯覚がした。

こちらに幾つか、彼の絵が紹介してあるので是非、ご覧下さい。

http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/turner/

彼がここを、その絵の如く波の高い日(1832年)に訪れたのかと思うと、感激で泣きたくなった。

芸術家とは程遠いが(失礼)ヴィクトリア女王も訪れている。

このスタッファはフィンガルの洞窟に、初めて訪れたのは1772年、ジョセフバンクスという植物学者で、彼は、キャプテンクックがオーストラリアを発見した時に同伴していた人である。

島には、波が静かでボートが近付くことが出来れば、上陸してフィンガルの洞窟まで足元に気をつけながら、取り付けられた手摺りを頼りに行くことが出来るのであるが、今回は、とても波が高すぎて、ボートが近付けなかった。それでボートで島の周りをゆっくり2週くらいして、上陸したら見えない、砂浜で休むアザラシ親子を見たり、洞窟に近付けるとこまで行ってくれたりした。

この島にの頂上は平らで草も茂っており、羊をこの島に連れてきて草を食べさせ、芝の手入れもしたそうである。

私達は今回この島に足を踏み入れられなかったが、以前に、マイケルの両親とお姉さんの3人がここを訪れ、洞窟の中まで歩いている。その時の話がこう ... 

濡れた岩を歩いていた時、おっとさんが足を滑らせバランスを失った、その時、おっとさんが咄嗟(とっさ)にジェニファー(お姉さん)の腕をつかんで、彼女も共に、もう少しのところで海の波にさらわれるところだったらしい。

今でも、ジェニファーとおっとさんの前でスタッファの話をすると、妙~な沈黙になる、でも、隠れて笑いをこらえているおっかさんが横にいるのだけれど。

下は、ターナーのフィンガルの洞窟です。

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by yayoitt | 2005-10-17 02:05 | マル島旅行記 | Comments(3)
マル島旅行記 STAFFA ボートツアー2
ボートで、スタッファまでは約1時間。

曇り空だが低気圧の名残でか、風がまだ強くて結構波があったので、出発して10分もすると、若い一人旅らしいドイツ人(後で話してわかった)の女の子が、明らかに船酔いしているらしく、辛そうだった。

私は、持ってきた双眼鏡をずっと目に当てたまま、鳥が飛べば空を見、波が高く唸れば水平線を見、マル島から周囲の無数に散らばる島々を眺め続けた。

大きい波をボートが乗り越える度に、両目に双眼鏡が食い込み、身体のあちこちを甲板のベンチに打ち付けて、それでも目が離せなかった、凄い自然!

船長 兼 ガイドの男性が、色々説明をしてくれていたが、ボートが小さな岩の横を通る時に、 “あ、その右手の岩に大人のアザラシがいるよ” とマイクを通して教えてくれた。

確かに大きなごまアザラシだ!横に身体をねそべ、頭をもたげてこっちを見ている!

甲板の左右にいた客が、皆、右側に押し寄せて写真を撮ったり双眼鏡で覗いている。

スコットランドでは決して珍しくないアザラシだが、私にはまだまだ珍しい、それに、カナダのアザラシ漁のこと (http://animalhelp.exblog.jp/569740/) など、色んな思いがアザラシにはあるので、写真を撮ってからもしばらく見続けた、すると、何故かアザラシも、いつまでも私達を見続けていた。

またしばらくすると、今度はマイクを通して、“左手前方に、porpoise ポーポスがいるね”と、するとお客さん(既に椅子に寝ているドイツ人の子を除いて皆)が甲板の左に押し寄せた。

私は、その聞き慣れない名前に、私を自分の前に入れてくれた同じB&Bの夫婦の隙間からマイケルを探したが近くにいないので、1人で“ポーポスって何??”と思いながら目を見張った。

数人が“オオ”と言っては波の果てを指差す。

何にも見えんなぁ...。

結局、そこではポーポストか言う何かを見ることが出来なかった...早速、人の垣根が崩れたところで小声でマイケルに尋ねると、ポーポストはイルカの仲間で、もっと小さいのだそうだ、日本語では、ネズミイルカと呼ばれているらしい。

“イルカだったのか...で、マイケルは見たの?え?見れたの?” “うん、見たよ、何回かジャンプしてた” “くっそぉ~、お前、見たのかよ...。羨ましくって腹立つなぁ~”

そうブツブツ呟きながら私は、それまで名前も知らなかったくせに、“ポーポス、ポーポス出ておいで”と繰り返しては双眼鏡で必死に探すのだった。

そうこうしているうちに目の前に、不思議な形の崖っぷちを持つ、周りを無数の鳥が飛び交うスタッファが大きく姿を見せた。

最初の写真中央に横たわるアザラシがおわかりだろうか?
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by yayoitt | 2005-10-16 22:10 | マル島旅行記 | Comments(0)
マル島旅行記 STAFFA ボートツアー1
朝から雨が上がって曇り空。

目的の島、STAFFA(スタッファ)とIONA(アイオナ)へはツアーのボートで行くのだが、波がとても高かったりすると危険なのでツアーが中止になる。

B&Bのご主人が、港で待ってれば、茶色いツアーのボートが来るから、そこで彼(キャプテン)が今日のツアーをどうするか教えてくれるよ、とのこと。

昨日は一日中雨と風で、ツアーはもちろん中止になって、またアイオナ島に渡るフェリーや本島とを繋ぐ唯一の足、フェリーも運行しなかったそうだ。

港に来ると、同じB&Bに宿泊していた夫婦がやって来て、一緒に茶色いボートを待つことに。

波は穏やか、視界も上々、どう考えてもボートが出ないわけがない...もしも、今から天気がひどく崩れる可能性が強い以外は...。中年夫婦と会話を交わすマイケルと私...“この天気でツアーが出せないとしたら、マル島で一体、いつツアーを遂行するチャンスがあるんだ、はっはっは”

ビンゴ!!茶色い小さ目のボートが岸に来た!しかも既に、アイオナ島から乗せて来たお客を乗せている!!やったぁ!

ツアー開始である...小さ目の甲板に、お客は全部で14人くらい、英国人がほとんど、何となくヨーロッパ人と、日本人のあ、た、し。

さぁ、本日向かう島、スタッファ(STAFFA)とは...

へブリディーズ諸島の中ではとても小さな島の1つ、人は住んでいない。島は、その奇妙な海に向かってそそり立った崖と何千万年もの歴史を持つ古い岩々がとても珍しい、また、海に面して口を開く大きな洞窟(フィンガルの洞窟)がとても有名である。

このフィンガルの洞窟...どこかで名前に聞き覚えがないだろうか??

作曲家 フェリックス メンデルスゾーンの、1番人々に良く知られている曲の1つに、この題名がある。The Hebrides または Fingal’s Cave の題名である。

メンデルスゾーンがこのスタッファを訪れ、フィンガル洞窟へ足を踏み入れた時に、波が洞窟に響いて奏でる音から、この曲を生み出したのである。

http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/B00004W3IT/ref%3Dase%5Flessontutor/102-1694174-4999334  

ここの、Listen to Samples の Disc: 1 の1番目で視聴でします。きっと、聞いたことがあるはず!

この曲を聴きながら、是非、この写真を見ながら、雰囲気を味わってもらいたい。

スタッファは旅のハイライトなので、まだまだ続きます。
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by yayoitt | 2005-10-15 20:14 | マル島旅行記 | Comments(6)
マル島旅行記 スコティッシュブレックファスト
朝目を覚ますと、あれ?何となく明るかないかい?

おおおおおお~、青空っぽいのが遠くの空の彼方にちょっとあるじゃん!これは曇りじゃん!雨じゃないじゃん!凄いじゃん!

そう、マル島はスコットランドの中で最も降雨量の多い場所、曇り天気の一日はとっても幸運で貴重なのだ。

“晴れた、晴れた”と歌いスキップしながら朝食に降りていくと、中高年のカップルが3組、食事をしていた。

食事は、フルスコティッシュブレックファースト(スコットランド典型の朝食)で、いつもこれを食べた日には、人の2倍食べる私達でさえ、昼食は食べられない。

メニューは、

卵(フライドエッグ・スクラブル・ポーチドから選べる)、
トマト(グリルで焼いてある)、マッシュルーム(バターと塩で炒めてある)、ベーコン、ソーセージ、


そして...

ハギス(スコットランド独特の物で、羊の内臓をオーツで絡めた香ばしい食べ物=何もかも無駄にしないという昔ながらの食べ物=西洋人は内容を聞いただけで食べられない人が多い)に、

ブラックプディング(羊の血液をハギスに加えたもの=見た目が真っ黒)

加えて、トースト、コーヒー紅茶、場所によっては果物各種、

そしてポリッジ(麦で作ったシリアルをミルクで煮て、お粥のようにして食べるが、スコットランドでは塩をかけて食べるのが主流なのに、他では砂糖をかけるのが一般らしい=スコットランド人に心筋梗塞が多い理由がよくおわかりであろう)、

シリアル(コーンフレークやミューズリーなどなど)。


     この朝食の食べ方には、一応、マナーというか、(順序)がある。

1 : 席に付いて、注文(調理する料理・コーヒー紅茶・トーストは白かブラウンパンか)を受ける。

2 : まずは、コールドシリアル(セルフサービスで選んで持ってくる、牛乳をかけて食べるコーンフレークなど)を(食べたかったら)食べる。

3 : その間に、トーストと飲み物が来る。

4 : コールドシリアルを済ませてから、運ばれてきた調理された温かい料理を食べる。

日本では、こういう朝食の経験は全くないので、どう食べていいのかよくわからない。

コールドシリアルで目覚めたばかりのおなかを慣らし、それから調理されたヘビーな料理を食べる、と覚えておいたら良いだろう。

全てがセルフサービスの場合は、まずコールドシリアルを持ってきて座って食べ、それが終わってから席を立ち、あったかい調理された食べ物をもらいに行く。

席に、何もかもいっぺんに沢山もらってくるよりは、何回か席を立ってもいいので段階に分けて順番に取りに行くのがスマート。

実はこれは、私がホテルのレストランで働いている時に、日本人の団体客が来る度に同僚から指摘をされたことである。その度に、文化が違う、こんな朝食の仕方じゃないから、と言ってはいたが、知っておくととても役には立つ。

しかも、こまめに立って次に食べるものを取りに行く方が、テーブルを皿で埋め尽くすこともないし、食べ切れなくて残すこともないし、理には叶っている。

さぁ~、今日は、STAFFA島(スタッファ)へのボートツアーだ!!

隣の中年夫婦が、宿の人に、同じツアーのことを聞いていた、彼らも同じツアーでスタッファに行くんだ!!それにしても、何て中の良さそうな夫婦なんだろう...

この夫婦の話は、スタッファと共に後ほど。

曇り空!ヤッホ~~~!!!!
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by yayoitt | 2005-10-14 18:35 | マル島旅行記 | Comments(13)