2011年 12月 19日 ( 1 )
泣くほど怖い、クリーニング
小学生の頃、月に一度は学校を休んでいた。

扁桃腺がすぐに腫れて、高熱を出していたのだ。

両親が腕組みをし、おでこを寄せ合い心配をるくらいだった。

学校では苛められ、忘れ物ばかりし、熱をすぐ出す末娘。

高学年になって、扁桃腺の摘出手術を受けるまで、それは続いた。

ある朝のことを、とてもよく覚えている。

私はまた、いつものように喉を痛めて、高熱を出して布団に寝ていた。

朝の8時頃、集団登校の小学生の元気な足音が通り過ぎた後 …
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その頃、両親と川の字で寝ていた畳の部屋。

その隣はコタツのある居間で。

そこから、ぼそぼそと声がする。

頭の下で、アイスノンが溶けた、嫌な匂いがする。

ぼそぼそ声は、母と父だとわかる。

それが、私のことを話しているのに違いないと、声色から理解する。

痛い頭と喉を引っ張って、ぐいっとせんべい布団の中で身体を立て直す。

聞き耳を、立てる …

 うんうん … そうやなぁ …

 やっぱり、そろそろ …

 そうやなぁ … 行ったほうが良いなぁ …

 クリニック …


その言葉を聞いて、泣き出す私。

 いややぁ …

 いややぁ …

 Kクリニックには行きたくない …

 注射が怖い … 入院って言われたらどうしよう …


頭の中を、色々な病気の顛末が駆け巡る。

子供の精一杯の想像力で。

その朝は、いつ自分がKクリニックに連れて行かれるかわからず …

一睡もせずに、母の様子を意識していた。
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しかし …

昼になっても、私を連れ出す様子はなかった。

午後から、布団の周りにヨーグルトなど置いて、仕事に出掛けてしまった。

 あれ?

 いつ、行くんやろう? クリニック?


そう思っている間に眠ってしまい、夕方になり、両親も姉たちも帰宅する。

一日休んだお陰で熱が下がり、すっかり元気を取り戻した私。

これでもう、クリニックに行く心配はないだろう … と安心する。

食欲も、大好きな姉たちと一緒で、湧き上がる。

コタツに足を下ろして夕ご飯を食べながら、両親が話すのを聞いている。

 今日、行ってきたよ

 ちゃんと出してきたでな

 あんたの背広な

 クリーニング

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末娘は、はっと気が付く。

両親が話していた クリニック の話は …

実は クリーニング の話だったと …

両親の顔、姉2人の顔、お爺さんの顔が私を見下ろす中 …

病み上がりの末っ子は、ゲラゲラといつまでも笑ったのである。
by yayoitt | 2011-12-19 05:11 | 思い出 | Comments(14)