人気ブログランキング | 話題のタグを見る
捨てられ犬 ホリー
桜の花びらが舞う朝の日差しを

身を低くして、駆けてくるその子は、HOLLY (ホリー) 。

いつも朝の散歩で出会う、コリー犬だ。

彼女は、遠くからでもはっきりと他の犬との見分けがつく。

顔の半分が真っ白なのだ。

黒地に、まるで白い仮面をかぶったように見える。

おはよう を言いに来た ホリー は、ひとしきり、2週間お泊り中の 麻呂 と ノーマン と遊ぶ。

そして、私の足に顔をうずめて、撫でてくれ とせがむ。

ご主人の、笑顔の優しい女性が近付いて来た。

いつもは挨拶だけだが、今朝、初めて会話をした。

名前も知らなかったので尋ねた。

 “ HOLLY ホリー って言うの。 

   クリスマスイブに見つけたからなの・・・。 


私は尋ねた。

 “ レスキュー犬なんですか? ”

彼女は語る。

 “ 違うの・・・クリスマスイブの夜に、ラウンドアバウト(英国の交差点)で、ひどい状態で彷徨ってるのを見付けたの 

私は、返す言葉がなく、ただただ ホリー の頭を撫でながら呟いた。

 “ ラッキーなホリー、幸せなホリー ”

彼女は続ける。

 “ 5歳だって。元の飼い主も見つかったの、でも、いらないって・・・捨てたんだって・・・。” 

私の膝に、首の根っこを押し付けながら、半分目を閉じて舌を出している。

 “ こんなに幸せでよかったね、ホリー、本当に良かったね、ホリー 

傍らで ノーマン が草を食べている。

麻呂
 がさっきから、ホリー の匂いをかいでいる

少し哀しげだけど、とても幸せそうな笑顔を咲かせて、手を振りながら、彼女と ホリー は反対の草むらへと歩いて行った。

振り返って見ると、彼女は腰を屈めて ホリー に手を伸ばし、ホリー は嬉しげにグルグルと彼女の周りを廻っていた。

小さくなるその姿の後ろで、薄桃色の枝垂れた桜が、風に揺れた。
捨てられ犬 ホリー_c0027188_515395.jpg

by yayoitt | 2006-05-04 04:45 | 迷い犬、犬のこと
<< ミスターフロードとの再会にサム... 体重計の一苦労 >>