人気ブログランキング | 話題のタグを見る
色々な人がいる
病院での電話対応、窓口でのお金のやり取り、色々なオフィス業にもちょっとづつ慣れてきたこの頃。

焦って今まで気付かなかったけど、本当にいろんな人がいることを最近冷静に感じられるようになった。

先週の土曜日は、初めて独りでの仕事(午前中のみ)だったが、8時半に一番初めに受け取った電話がこうだった。

とても聞き取りにくいアクセントで、何かを読むように “ これはBT(ブリティッシュテレコム)サービスです。今から~~を読みます ”

私は、あまりにも聞き取りにくかったのと、BTの名前を使って最近インド、パキスタン辺りからのアクセントのきつい携帯電話セールス電話が非常に多いこともあり、それをすっかり、その類と思ってしまった。

 “ これは、緊急用の回線なんですよ、切りますね ” と、切ってしまった。

が、すぐに電話がかかってきて、同じアクセントで、今度はとてもゆっくり、私をたしなめる様に話し始めた。

 ... ? と思いながら今度は必死に聞いてみると。

 “ クラーク婦人からの伝言です。大事なことなので切らないで聞いて下さい。いいですか? ”

 “ ペッパーが立ち上がれません、どうか、どうか、今日、ペッパーを看て下さい 

よく意味はわからないまま、とにかくメモをして、自分がひどく何か勘違いしていたことだけは確かだったので誤って電話を切った。

PCで、クラーク.ペッパーでカルテを見ると、その意味不明の不思議な電話の謎が、解けた。

電子カルテの、クラーク婦人とペッパーのページに、注意書きとして、{クラーク婦人は聾唖(ろうあ)者です} と打ってあった。

そう、その電話は、BTの聾唖者のタイプするメッセージをその場で代読するサービスだったのである...だから、話し方に間隔があり、ぎこちない響きだったのだ。

私は、とってもとっても申し訳ない気持になり、クラーク婦人がその後ペッパーと訪れた時に、丁寧に謝った。

ペッパーはどうやら、背中の痛みで、一晩中啼いていたそうで、その啼き声が聞こえないクラーク婦人は、一睡もしないで見守ったらしかった。

診察後、ペッパーは痛み止めと関節の緩和剤を貰って、笑顔のクラーク婦人と帰って行ったので、やっと、胸を撫で下ろした。
色々な人がいる_c0027188_545324.jpg

そうしていると、予約でやって来た若い男女が、かごに入ったインコを連れて来た。

診察後、窓口で私が “ £18.50 です ” と言うと、背の高い女性の方が、請求書を送ってくれと言う。

私にとってそれは、初めての申し出だったのだが、あいにく、獣医師夫妻は2人とも診察中だったので、とりあえず “ じゃぁ、送ります ”と伝え、二人は戸口からインコと共に出て行った。

出て行ってから急に不安になった私 ... すぐに電子カルテを調べると、この女性とインコは今まで病院に来たことはない新しい患者、他にここで登録している動物もいなかった。 

つまり単発で、お金を払わずに逃げよう タイプにバッチリ当てはまるのである。

頭の中はパニック !!!

すぐに 獣医師に報告すると、彼の妻も出てきて “ 今ならまだ外にいるかも ” とのどちらかの掛け声で、私とアラン先生は裏口から直接駐車場へ出た。

見ると、今まさに、助手席に大きなかごを抱えた女性を乗せた車が駐車場から出ようとしていた!!

咄嗟に私は車に走り寄った...と、その時。

表出口から追い詰めた奥さん先生が、私よりも一瞬先に車を捕まえ、助手席の窓を叩いていたのだ。

     私達のその姿はまるで、提灯を掲げながら、御用だ、御用だ、と騒ぐ町人

     背後で、遠山の金さん(アラン先生)が見守っている。

窓越しに御用となったその女性、奥さん先生が “ うちは請求書は通常送らないの ” と言うと、目を吊り上げて、“ でも、前は送ったわよ ” と言い放った。

しかし、彼女は今までこの病院に来たことはないはずであった。

そして窓口に戻って来てカードで £18.50 を払ったのであるが、その険しい表情といったら... 開き直った悪人でしかなかった。
色々な人がいる_c0027188_5483376.jpg

カードを持っているのなら何故に払わなかったのか?... 答えは簡単 ... 彼女の住所も電話番号も多分、嘘 ... 単発で病院に来て、お金を払わずに済ませよう、という魂胆なのである。

...... 実にいろんな人がいる

動物病院で出会う、色んな人、お金をなかなか払わない人も多い、ヒステリックになって忙しい獣医師と直接話したい、という人も多い。

別にいい、別にいいのだけれど、ただ私達は動物のことが心配なのだ。

いろんな人に飼われている動物たちだけれど、それぞれが、幸せでいてくれれば、それでいいのである。
by yayoitt | 2006-03-01 04:21 | 動物病院での出来事、仕事
<< 手術は怖い 頑張るお友達 >>