ゾウの目が小さい話 やっこ童話

ゾウは、大きな体で、ずっと遠くを見つめます。

ゾウは、大きな耳で、ずっと遠くの音を聞きます。

ゾウは、長い鼻で、大事な命を守ります。


お母さんゾウは、まだ小さな子ゾウに水をかけたり、押して倒したりして遊んでいました。

お母さんゾウが、何かに気付きました。

お母さんゾウは、地平線の向こうから、砂煙を上げて何かが、今まで聞いたこともないような大きな音を上げて急激に近付いてくるのを見ました。

子ゾウは、水の中から這い上がり、立ちすくむお母さんの足元へ歩み寄りました。

お母さんは、砂煙が間近に近付いた時、大きな音と共に、今まで感じたことのない痛みを体のどこかに感じると、そのまま、その地表に、地響きを立てて倒れてしまいました。

隣で寄り添っていた子ゾウが、小さな悲鳴をあげました。

今まで一緒に遊んでいたお母さんゾウが、
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急に傍らに倒れたのに驚いた子ゾウには、何があったのかよくわかりません。

子ゾウは、お母さんの動かない体を、小さな鼻で、突っつきます。

からかうのはやめようよ、とでも言うように、いつまでも突っつき続けます。

そこに、見たこともない生き物が現れ、少し洩れていたお母さんゾウの声をつぶしました。

その生き物は、お母さんの体を乱暴に動かしたり、叩いたり、何かを刺したりしていましたが、それでも子ゾウは、お母さんの傍を離れませんでした。

その生き物が再び、大きな音を立てて立ち去ってからも、子ゾウは、お母さんの血で汚れた硬い動かない体を突っついています。

子ゾウは、今まで感じたことのない、悲しい気持と、目から溢れる冷たい水を感じていました。

夕焼けが来て、夜の星が覆い、朝の桃色が広がっても、ずっとずっとそこに座り、お母さんの体を鼻で押しき続けます。

そして、いつか、砂煙とオアシスが、その小さな体と大きな体をどこかへ吹き去るまで、涙をこぼして押し続けました。

ゾウは、こんな悲しい世界をもう見たくはないと、涙で腫れあがった小さな目しかありません。

ゾウは、大きな体で、ずっと遠くを見つめることができます。

ゾウは、大きな耳で、ずっと遠くの音を聞くことができます。

ゾウは、長い鼻で、大事な命を守ることができます。

ゾウは、その美しい象牙で、尊い命を人間の手によって奪われることがあります。
by yayoitt | 2005-08-03 20:21 | 愛する動物のこと | Comments(6)
Commented by maisy★ at 2005-08-04 12:08 x
とっても悲しいお話ですね。でも、現実のお話なんですよね・・・
動物は攻撃もできないし、人間と話をすることもできない。そんな弱いものを一方的に攻撃する人間って・・・悲しいです
Commented by aya at 2005-08-04 22:34 x
命を、金銭的な価値でしか見れない人間って本当に悲しいですね。
このお話は、母ゾウの命を奪っただけでなくて、子ゾウからも大切なものを奪ってしまったことが悲しいです。
そんなことをして手に入れた真っ白な象牙の背景に、真っ赤な血が流れていることも知らず、満たされている人間がいるっていうことも。
Commented by yayoitt at 2005-08-05 04:50
maisy★、あくまでも私のお話ですが、現実には、沢山の象が、その象牙目的だけの為に、命を奪われています。弱いものを一方的に、生きる為というよりは “欲” の為に簡単に殺してしまう … 制裁の時期はとうに来ていると思っています。もしも、象牙に関する詳しいことを知りたかったら、http://www.ifaw.org/ifaw/general/default.aspx?oid=137430 をご参照下さいね。
Commented by yayoitt at 2005-08-05 04:55
ayaちゃん、そうです。人間が動物の命を1つ奪うということは、そこから未来に向けて子孫を増やす可能性を閉ざしてしまうので、結局、1つの命を奪うことで、その動物の絶滅を意味します。今まで、人間の手によって、直接、間接的(環境破壊)に絶滅に追いやられた動物達は数知れないし、今もその大きな危機に面しているんですよね…。ayaちゃんも、もしも、詳しい情報を知りたいとなれば、こちらのサイト、見てみてください。前にも紹介した、動物愛護団体のサイトです。日本語で訳してあります。
http://www.ifaw.org/ifaw/general/default.aspx?oid=137430
Commented by aya at 2005-08-06 11:05 x
サイトに行ってみました。今まで漠然としか知らなかった実情に唖然。
歴史の中で、人間にとって不都合な生き物を絶滅、もしくは絶滅の危機に追いやってきた数々の身勝手な行動を知るたびに悲しい気持ちになりましたが、美しいものを得るための殺害にはもっと人間の身勝手さ、エゴを感じます。アザラシにしてもそう。本当に生きるために必要なものを自然から分けてもらう、という考えを超えていると思います。
正直言うと、動物愛護に関しては、私は釣りも好きだし、肉も魚も食べるので、自分の中でうまくラインが引けないのです。でも、生態系を崩してしまうほどの人間の勝手さ、欲には心が痛みます。
Commented by yayoitt at 2005-08-07 03:24
aya ちゃん、ありがとう。早速行ってくれたんだね。感謝して美味しいと食べることは私はとても良いことだと思うので、決して人に強要したりしません。ただ、装飾であったり、毛皮、衣類など、他の素材で代用できる物に関しては、動物の命を奪って、全くお金目的の地球上の勝手な人間のエゴだと思い、憤りを感じます。まずは、知ってもらうことが何よりも大事なので、こうして、真実を、意見はどうであれ、多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。本当に、感じてくれてありがとう。
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