どこで、やっこの恨(うら)みを …
仕事帰りのバスの中 ...

夏の長い日差しはバスの窓に届き、ぽっかと温かい。

私の前に座っていたのは、真っ白な髪を短く断髪した女性、70半ばくらい。

肩パットの入ったパンツスーツに、白い革のハンドバッグ。

週末に入る宵の口、旧友にでも会いに出かけるのだろうか?

とても、上品そうな女性は、一瞬にして好感の持てる風情 …



やっこが、それを見るまでは …。
c0027188_5533698.jpg

夕刻の低めとは言え、太陽の日がバスの窓を通して、熱として感じられる。

私の目の前の上品な老女が見ている窓の外 …

とつぜん、緑の、それは小さな小さな虫が、その窓と彼女の間に現れた。

現れたと同時に、小さな体で窓を叩き、跳ね返って、老女の頬に当たった。

老女は驚いて、しばらく、それが何だったのかを確かめようと探していた。

緑の小さな小さな虫は、老女の横の窓に止まっている。

老女は、顔に当たったものが、その小さな虫だと気付いた様子で …

顎を引いて、少しのけぞるようにし、虫をじっと見つめていた。

見つめながら、手元のハンドバッグをごそごそ、と何か探し始める。

 埋まってる席はまばらだし、虫が気になるんなら、席をかわるのかな?

と思っていた私。

なおも、目の前の老女を見ていると …

ハンドバッグから、紙のようなものを取り出したと思ったら …

 ぱんっっ ぱん ぱん ぱんっっ

と4回。

それは力強く、ハエよりも小さな緑の虫を叩いたのだ。

死んだ虫の姿は見えるはずなく、老女は叩いた紙を丸めてバッグに入れた。

上品な洋装で、好感しか持てられないその姿の老女 …。

背後で、この私に、見つめられていることも知らず。

どんなに、見下しの視線を浴びせられているかも知らず。

幾つか先の停留所で、降りていった。
c0027188_554107.jpg

 あれって、なんだろう?

と、思う。

 あの虫を、殺す理由ってなんだろう?

 顔に当たって驚かされたから?

 いや、ただ、そこにいたから?

 だったら、席を自分が代われば良い

 それをせずに、命を奪う、その意味とは?

 その行動に、説明のできる理由は、あるのだろうか?

 ないんだろうな …

 きっと、そういうもの、って思って生きている人なんだろうな …


見知らぬ人に、まさか、こんな恨みをかってるとは …

思いも知らぬだろう老女。

でも、でも。

殺す、って … どうよ?
by yayoitt | 2014-07-03 04:55 | 愛する動物のこと | Comments(2)
Commented by あさこ at 2014-07-08 21:42 x
私は蚊やゴキブリは思わず殺してしまいます。
でも、蜘蛛やそのほかの虫はティッシュに包んで、外に逃がしています。
本当は蚊やゴキブリも退治すべきではないけど、思わず・・・。
やっこさんと出会ってから、命を考える事が多いです。
Commented by yayoitt at 2014-07-09 03:52
あさこさん

私も、日本にいるときには、蚊もゴキブリも、やはり、殺していました。
今は、ここに、蚊もゴキブリもいないから良いけれど …。
蚊は、生活するのに困るし、病気の蔓延の元にもなるし、
犬と暮らしているたら、家の中に入ったものは、できる限り
叩いてつぶしてしまうのかも知れません。
ゴキブリは、気持ちは悪いけれど、今の私は逃げるだけで
退治はしないだろうけれど、傍には寄って欲しくないです。
こうしてみると、私って、ずいぶん、身勝手ですね。
反省させられます。

あさこさん、改めて考えさせてくれてありがとうございます。

でも、飛んでる虫は、なんでも理由なく潰す、殺す、というのだけは
したくないって思いますよね。

行動前には、いつも、考えて、という前書きがあるべきだものね。

どうも、本当に、ありがとうございます!!
あさこさんは、もしかしたら、エジンバラで一緒だった麻子ちゃん?
<< ただただ、ハッピーになる映像たち でじゃぶ …  >>