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恐怖の象徴、引っ搔き傷
動物病院での仕事では、生傷が絶えないのが常。

人間の 言葉 でもって説明してあげることのできない動物たち。

ご主人と安心出来る家から離され …

見知らぬ人の手と、色々な動物の匂いが漂う建物の中で。

それが、どんなに怖くて心細いことか、私たちの想像を絶するものだ。

そんな彼らが、恐怖と戦い、身を守るために 行動 するのは当たり前で。

牙(きば)を見せたり、爪をふるったり、威嚇の声を出したりすることも。

ある若い猫の手術の日。

その毛の長い愛おしい子を抱き締めても、彼は恐怖でいっぱい。

なんとか戦おうと、後ろ足で思い切り宙をかく。
恐怖の象徴、引っ搔き傷_c0027188_4554484.jpg

私たちは、防具はなるべく使わない。

そんな防具の感触よりは、私たちの手の温もりの方が温かいから。

彼らにも、せめてもの 思い が伝わりやすいから。

人の手の、こんな浅い傷は、日が経てばすぐに治る。

けれど、理解できない恐怖を経験する動物たちの心の傷は、そうは行かない。

だから、できた身体の傷は、洗って消毒して忘れる。

傷の痛みも …

ご主人が、愛する命を迎えに来て みゃおう~ と声を出すのを見て …

忘れてしまえるのである。
by yayoitt | 2013-08-29 04:43 | 動物病院での出来事、仕事
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