人気ブログランキング | 話題のタグを見る
両親とスコットランドの山菜
私の故郷は、山菜の宝庫、と言っても言いすぎじゃないほど、山菜が豊富だ。ただここ数年、山菜をごっそり取って行ってしまう業者や、都会の観光客も増えたので、家で食べる為の山菜取りに出掛けても、もうすっかりないことが多い。両親は、よく山に行っては山菜を取り、家で料理したり、親戚に分けたりする。

たらの芽、ふき、あずき菜、ぜんまい…色々な山菜を食べる。私の高校時代の弁当のおかずは、山菜に卵焼きだった。

彼らは、山菜取りが大好きで、草っぱらに来ると、山菜がないかと探す癖がある。前回ハイランドに一緒に行った時には、道端にぼ~ぼ~に伸びたぜんまいの大生群に2人とも叫びっぱなしで、これを日本に輸出する仕事を、私とマイケルに真剣に勧めたくらいだった。

先週の木曜日、両親が到着したその夕方、父親が久し振りに再開したノーマンを連れて散歩に行った。散歩から帰ってくると、父親は何か強烈な匂いがして、その手には何やら草の茎のような物が握られている。鼻をゆがめていると、ふきにそっくりだった、と言ってその茎をもいできたのだが、確かにふきに似てはいるが、臭いがとてつもなかった。あっという間に家中、その薬のような漂白剤のような臭いで埋まってしまった。そして、何か指をしきりにこすっているのでどうしたのか聞くと、ちくちくして痛い、と言う。

すぐにピーンと来た。

スコットランドには、NETTLE ネトル という雑草がある。これは街の中、ハイランド、公園、至る所どこにでも生息しているのだが、葉の表面に無数の針があり、それに刺さると、毒の為に患部は腫れて、長時間とにかく痛い。私はこの4年間の生活で、一度もネトルには触らずに生活してきた、注意していたのだ。

父親は早速、第一日目にして、このネトルに刺されたのだった。私も母も、そしてマイケルも、腹を抱えて、笑った。

翌日の朝、仕事に行く途中で、私はいつもと同じく近道する為に、長く伸びた雑草を分けて草地を10メートルほど歩いた。その時、履いていたズボンの上から、右膝上にするどい痛みが走り、それから会社に着いてもずっと痛かった。トイレで見てみると、蚊に刺されたようにぽっこり腫れていた。

ネトルの仕業だ…。昨日、父を笑った私が、4年間一度も刺されなかったネトルに刺されてしまった。家に帰って話すと、母が げへへ と笑った。

翌日の土曜日、両親を連れて、エージンバラを360°見渡せるカールトンヒルという丘に登る為にゆっくり丘を歩いていた。口笛吹いて、時折り、詩など口ずさむ母が、突然“あ!”と言って立ち止まり、脇の雑草の中に手を突っ込み、そりゃあ、もの凄い速さで、何かの葉をちぎり取り、自分の鼻に押し当てて“こりゃぁ、シソじゃねぇか?”と言った。よく見ると、確かにシソによく似ている葉だが、臭いをかいだ母が“あれ~?臭いがしんわ”と言うか言わぬか、指を押さえて、“あれれ?いってぇ~。なんか、いてぇぞ~”と指をこすり始めた。

そこで父と私は顔を見合わせ、“それ、ネトルやわぁ”
しかも、母は鼻にまでネトルを押し付けていた。

その夜、皆で私が以前買ったスコットランドのガイドブックを見ていると、ネトルに関しての記事があった。“ネトルに注意”の見出し。

そこには、“日本のシソの葉にそっくりなネトルは…”と書いてあった。またまた、爆笑しながら、母が指をまだこすっているのを見て、更に笑った。ちなみにネトルの近くには、必ず、大きな葉を持つ植物で、ネトルの毒を浄化してくれる植物が生息している。
両親とスコットランドの山菜 _c0027188_22135331.jpg

by yayoitt | 2005-06-08 22:14 | 遠くにて思う日本
<< やっこの甥っ子の話 両親とマイケルの両親ご対面♪... >>