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サザエさんが終わる頃
半日だけの学校を終える …。

田舎の小学校は、その頃、ベビーブームで膨らんでいた

クラスの男の子には、休み時間になると苛められ

集団登校の上級生の女の子には、朝から苛められ

無口ですぐ泣くくせに、頑固で、怒りを腹の中に積もらす子供

給食の時間に、誰かが私の椅子の下に落とすパンの為に

昼休みには何度も、空になった教室で、担任の先生から叱られた

やった やってない の虚しい押し問答

そんな小学校の低学年。

赤くて面積の広い頬っぺたを揺らしながら、息せき切って家に帰る土曜日。

それから半日と、日曜日の丸1日 …。

私にとって、いつも輝いた幸せで開放された時間の始まりだった。

今も、変わらないのだけれど …

どの場所よりも、自分の家族のいる家が大好きだった私。

からかい続ける男子生徒もいない。

登校時間に タマゴ屋の娘は顔がタマゴ となじる上級生もいない。

アフリカ難民の子供の写真を見せ付ける先生もいない。

家族と家の中で過ごす1日半を、待ちわびていた。

家の中では、無口な自分は脱ぎ捨てる、そんな嬉しい時間の始まり。

その時間は、日曜の朝には、幼い子供にちょっとだけ憂鬱を傾げる。

そして、午後になり …

母が夕食の準備をし始めると、増大する。

 もう、あと〇時間でまた、学校に行かなくちゃならない

と、姉たちとテレビを見ながら、密かに泣きたくなる。

それでも楽しみにしている30分が始まると、それを忘れる。

日曜日の18時半からの サザエさん の時間だ。
サザエさんが終わる頃_c0027188_7263970.jpg

明日からのことを、その30分、忘れて … 

笑って、一緒に笑っている姉たちの顔を見てまた、笑う。

サザエさん のエンディング♪が流れ出すと、胸が痛み始める。

 また苛められる

 また居所(いどころ)のない学校の時間が始まる


サザエさんが んがっんっん と投げたお菓子を喉に詰まらせると …

 いややなぁ いややなぁ

と繰り返し、繰り返し、明日からの時間を呪う。

サザエさん は私にとっての 嬉しさ と 辛さ の混じった思い出である。

今でも サザエさん を思い出すと、同時に いややな という感情が顔を覗く。

サザエさん は私にとって、そんな思い出深いアニメなのだ。

んっがんっん … 
by yayoitt | 2013-03-09 06:20 | 思い出
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