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生まれて初めての 雛飾り
今年の春の帰省。

父の傘寿(80歳)と、母の喜寿(77歳)のお祝いをした。

家族5人で通い慣れたホテルに宿泊。
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私たち(娘と孫たち)から、それぞれに色紙のプレゼントを渡した。
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着物を着込んだ母が、私たち娘3人に、プレゼントをくれた。

3人お揃いの … 雛のつるし飾り である。
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 雛のつるし飾り とは

 江戸時代後期から伝わる伊豆稲取地方の風習、吊るし飾りのこと
 長女の初節句に、無病息災、良縁を祈願して、雛壇の両脇に細工を吊す
 過去においては庶民の雛壇代りでもあった

 伊豆稲取では、もともとはツルシと呼ばれ特に名称はなかった
 つるし飾りは、子供が成長し7歳、成人、嫁入りといった節目を迎えると、
 新年のどんど焼きに焚きあげてしまうので、古いものはあまり残っていない
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 現代では、桃(長寿)、猿っ子(魔除け)、三角(薬袋香袋)を基本として
 50種の細工があり、これらを5列の赤糸に各11個の細工をつるし
 計55個にそろえ、これを対で製作することにより110の細工がつるされている
 古裂などを使い、鞠や雛などを制作しひもで繋いでつるしていく、
 地元女性の和裁細工として受継がれて来た

幼少の頃、雛祭りには、とても切ないけれど温かな思い出がある。

娘3人がいながらも、高価な雛壇など、とても買うことのできなかった両親。

7つ、9つ年上の姉が、色紙で雛人形を作ってくれたのだ。

決して豊かではなかったけれども、笑いがあり幸福があり、幸せだった。

その頃は少数派だった共働きの両親を、子供なりに 偉い と思った。

あれから数十年。

持ったことのなかった雛飾り。

それが、初めて私たち姉妹3人のもとにやって来たのだ。
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春のホテルの夕食時、私たち姉妹が語る手作り雛の思い出話を聞く両親。

 女の子が3人もおって、雛人形も買ってやれなんだなぁ~ 
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そういう父と母の頬は、ワインでほんのり上気している。
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以前に母が言ったことがある。

空港で、エジンバラに帰る私を送り出すときのことだ。

 やっこちゃん 日本人としての誇りを、忘れるなよ

私は、こう答えた。

 日本人としての誇りは持てんけど …

 かあちゃんとパパの子供としての誇りは持っとるよ

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その思いは、大人になってからずっと持ち続けているものである。
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by yayoitt | 2012-08-18 04:56 | 遠くにて思う日本
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