泣くほど怖い、クリーニング
小学生の頃、月に一度は学校を休んでいた。

扁桃腺がすぐに腫れて、高熱を出していたのだ。

両親が腕組みをし、おでこを寄せ合い心配をるくらいだった。

学校では苛められ、忘れ物ばかりし、熱をすぐ出す末娘。

高学年になって、扁桃腺の摘出手術を受けるまで、それは続いた。

ある朝のことを、とてもよく覚えている。

私はまた、いつものように喉を痛めて、高熱を出して布団に寝ていた。

朝の8時頃、集団登校の小学生の元気な足音が通り過ぎた後 …
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その頃、両親と川の字で寝ていた畳の部屋。

その隣はコタツのある居間で。

そこから、ぼそぼそと声がする。

頭の下で、アイスノンが溶けた、嫌な匂いがする。

ぼそぼそ声は、母と父だとわかる。

それが、私のことを話しているのに違いないと、声色から理解する。

痛い頭と喉を引っ張って、ぐいっとせんべい布団の中で身体を立て直す。

聞き耳を、立てる …

 うんうん … そうやなぁ …

 やっぱり、そろそろ …

 そうやなぁ … 行ったほうが良いなぁ …

 クリニック …


その言葉を聞いて、泣き出す私。

 いややぁ …

 いややぁ …

 Kクリニックには行きたくない …

 注射が怖い … 入院って言われたらどうしよう …


頭の中を、色々な病気の顛末が駆け巡る。

子供の精一杯の想像力で。

その朝は、いつ自分がKクリニックに連れて行かれるかわからず …

一睡もせずに、母の様子を意識していた。
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しかし …

昼になっても、私を連れ出す様子はなかった。

午後から、布団の周りにヨーグルトなど置いて、仕事に出掛けてしまった。

 あれ?

 いつ、行くんやろう? クリニック?


そう思っている間に眠ってしまい、夕方になり、両親も姉たちも帰宅する。

一日休んだお陰で熱が下がり、すっかり元気を取り戻した私。

これでもう、クリニックに行く心配はないだろう … と安心する。

食欲も、大好きな姉たちと一緒で、湧き上がる。

コタツに足を下ろして夕ご飯を食べながら、両親が話すのを聞いている。

 今日、行ってきたよ

 ちゃんと出してきたでな

 あんたの背広な

 クリーニング

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末娘は、はっと気が付く。

両親が話していた クリニック の話は …

実は クリーニング の話だったと …

両親の顔、姉2人の顔、お爺さんの顔が私を見下ろす中 …

病み上がりの末っ子は、ゲラゲラといつまでも笑ったのである。
by yayoitt | 2011-12-19 05:11 | 思い出 | Comments(14)
Commented by なるみ at 2011-12-20 08:00 x
なんだか読んでて、夜中に山姥の所で寝てて、包丁といでるのを見つけたかわいそうな村人の図が浮かんで来て、それはそれで面白かったです!
Commented by ゆた。 at 2011-12-20 12:14 x
熱をだしたくだりからはじまったので
「クーリング」と
「クリーニング」の
いいまつがいでシメるのかと
おもっていたら、
やっこちゃん、
「クリニック」のききまつがいだったのね。

恐怖のクリニックのききまつがいで、
さらに熱が上昇しないでよかった。
Commented by coco at 2011-12-20 20:20 x
かわいい、かわいい、やっこちゃん!

可愛くて、ぎゅっとしたくなりました。が、は、は。
Commented by yayoitt at 2011-12-21 05:08
なるみちゃん

それ!! 怖いっっ!!

末娘を、よく肥えさせておいて、食べちゃおう~ って。

怖い~~~!!

でも、相手がお猿とトドだけに … おもろっっ。

Commented by yayoitt at 2011-12-21 05:10
ゆた。さん

あぁ~ クーリング と クリーニング!!
その想像力 … 素晴らしいっっ!! 

ふふふ

でも、とってもよく覚えているんです。
なぜか以上に医者が嫌いで、入院が怖くて …。

まさか、クリーニングの話を、そんな ぼそぼそ するなんて
思わないですよね、っていうか、もっと堂々としてくれたら
良いのに … 両親 … と。

苦笑
Commented by yayoitt at 2011-12-21 05:10
coco さん~

いやん~

して下さいよ~っっ

ぎゅっっ

って。

ふふふ
Commented by 美紀 at 2011-12-29 06:36 x
かわいいっ!

小学校のころ保健室が怖くて体調わるくても気づかれないように我慢してたのを思い出しました‥

あのころは学校で全員予防接種があったので保健室は恐怖の注射部屋だったんです(>_<)

連れてかれたら保健室の先生に注射されると思ってたんです(^^ゞ
Commented by yayoitt at 2011-12-31 07:30
美紀さん

小学生の頃とかの思い出って、振り返ると、切ないんだけど
思わず噴出してしまうことが、多いですよね。

ふふふ

保健室が、怖かったんですね。
医者や病院が怖いのと、同じような感覚だったのでしょうね。

か~わいい!!

確かに、注射っていうイメージですよね。
保健室の先生に、注射 …。

わかりますよ~。
だから、しんどくても我慢してた …

あぁ、愛おしい子供時代ですね!!

ありがとうございます。
Commented by 美紀 at 2012-01-02 17:56 x
弥生さん

あけましておめでとうございます。エジンバラのお正月はどんな雰囲気かな~?

我ながらかわいいですよね☆

私の学園は幼稚園から高校まで、予防接種は全員参加だったんです(>_<)

保健室の先生は厳しい感じ(≧ω≦)
嫌がってても強制的に体操服の腕をまくられ痛~い注射!

小学校低学年までは毎回泣いてて、高学年から中1の予防接種でも注射が痛くて何度か泣きました(恥)
Commented by yayoitt at 2012-01-03 06:42
美紀さん

あけましておめでとうございます!!
エジンバラのお正月は、日本のような厳かさとかはなく
カウントダウンで賑わい、酔っ払い、空のボトルを投げたり
花火に興奮したりで、活気のある、そして酔っ払いな年明けで
元旦は、みなが二日酔い、といった感じです。

通りや街はゴミだらけなんですよ。泣

美紀さんは、どんなお正月を迎えられたのでしょう …。

保健室の先生って、優しくて、いつもかばってくれるというイメージ
があるけれど、そうではなかったんですね。

あぁ、予防注射って、種類によっては、すごく痛いのありますよね。
美紀さん、泣いてたんだぁ …

かわええ。
そして、可哀想 …。

なんか、切ないけど、良い思い出でもありますよね。

ありがとうございます!
今年も、よろしくお願いします!!
Commented by 美紀 at 2012-01-04 12:20 x
へぇ~空ビンが飛んでくるとか意外に過激ですネ!

こちらはのんびり正月でした~(´~`)


白衣の先生は保健室で、強くなるための注射だから泣かないでがんばろう!って言ってました。

接種時はぐずぐずしてる子のところに来てスムーズに注射させる的な役で、泣かずに注射できたとき褒めてくれましたo(^-^)o

痛い注射といえば、インフルエンザ!
毎年2回注射されました‥中高生になっても嫌な嫌なイベントでした(笑

並べられた注射器と順番が迫る恐怖。保健室以外ではありえない緊張感です(ノ><)ノ

ハ行だから注射はクラスで40番目ぐらい。たっぷりじらされるの‥

あーん、注射いややーんo(><)o
Commented by yayoitt at 2012-01-05 05:36
美紀さん

でしょう。
もう、酔っ払いだらけですから、しかも人混みだから、何をしでかすか
わかったもんじゃないんです。あ、でも、痴漢というものは
ないのが日本とは違うかな、同じ人混みでも。 苦笑

のんびりお正月、良いですね!
私も、一度、この激しいカウントダウンを経験して(10年以上前)
もう沢山だ! と思ってから(根性なし)は、静かなお正月です。

あ~~~、インフルエンザの予防接種、あれ、痛いんですよね。
薬自体が、沁みるんですよね。

ふっふっふ

注射が怖い、美紀さん …

機会があれば、私がインフルエンザの予防接種は
してあげましょう~

… って、どういう機会なのか??

ぐふふ              
Commented by 美紀 at 2012-01-14 08:50 x
そぉか!弥生さんって注射器を扱う看護婦さんよね‥

あ、あの、あの、間に合ってますのでっ
ちゅ、ちゅ、注っ、注射だけは勘弁してください~っ(´Д`)

新型インフルが流行った翌年から会社の福利厚生で予防接種が無料になって‥部署によって予防接種命令が下るようになったんです(>_<)

窓口対応の女子社員は当然最優先で全員注射!!!!
高校生以来の強制接種の再来なのでした(涙。

毎年1本のありがた~い強制注射。めっちゃ我慢して涙目で受けさせて頂いてますo(><)o

ところで、注射打つのは楽しいですか?

注射大嫌いだけど、厳しく注射打つ側になってみたい願望があります‥あはっ/(^o^)\
Commented by yayoitt at 2012-01-16 02:29
美紀さん

そう(だった)ですよ~~。
注射を打つのは(特に血管内に)大好きでした!! ふふふ

いえいえいえ、そんな遠慮せずに、ほれほれ、腕を出して …

ひっひっひ

予防接種、複数の人が働く会社なんかでは、インフルエンザが
流行ると、あっというまに蔓延してしまいますよね。

さすがに、大人になって、泣けない予防接種。
そうそう、ありがたく … ですよね!!

注射、血管内に打つのは、私は 楽しさ を感じます。
いえ、悦び、って感じでしょうか。
血管を見つけ、そこに 命中する悦び なのでしょうね。
だから、もちろん、採血も好きですよ。

一度、インフルエンザで家で寝ているときに、何も食べられずに
持参した点滴道具を、自ら注射しようと試みたことがあるのですが
これが予想を反して難しかったのを覚えています。

片手だし、しかも逆さに針を進める、というのが難しかったです。
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