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おっかさんの靴下から想う
おっかさんのお葬式のあと、まだDundeeを訪れていない。

彼女が遺(のこ)していってくれたものは …

たった一つだけとお願いした、ネックレイスと

袋いっぱいのフリース生地の靴下

そして、両手からこぼれるほどの思い出。

冬の間、大切に重宝して使わせていただいた靴下。

おっかさんが履いた靴下たち。

おっかさんの尖った爪先を覚えている。

彼女の両足が動かなくなってから、硬くなってとんがったまま。

血液の循環が悪いから、夏でも足先は冷たかった。

その両足を包んできた靴下は …

まるで真新しいほどに、汚れがない。

何度も何度も洗濯はされていることがわかるけど。

足の裏の汚れが、まったくない。

私が数回はいた後は、うっすらと汚れている。
おっかさんの靴下から想う_c0027188_3491570.jpg

その、綺麗なままの靴下を見ながら思い出す。

10年間、一度も土の上、床の上に立つことがなかったおっかさん。

彼女の足の裏は、それまでの役割の大部分を失ってしまった。

おっかさんの、硬くなって曲がったままの足先。

それを柔らかく覆ってきた靴下たち。

今、私の冷えやすい足を温めてくれている。
by yayoitt | 2011-02-24 01:19 | 英国暮らしって...
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