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やっこ行方知らず 空白の5時間
いつか、やるんじゃないかと思ってたけど ・・・

でも、気をつけていたら大丈夫と思ってきたけど ・・・

 対策を立てなきゃ ・・・ 

なんて何度か口にしたけど ・・・

防衛することもなく、来てしまったわけで ・・・

そして、とうとう。

 やっちまった

 やっちまった


その瞬間は、まさに ・・・

 やっちまった

という感じで唖然と立ちすくむこと数分。

(ここから過去にさかのぼる~)

土曜の午後5時15分 : 

 天気が良いので、ノーマンとお預かりのローラを連れて短い散歩に

5時25分 : ぽつ ぽつ と雨が降り始めたので急いで帰る

     : 庭に干していた洗濯物をギリギリセーフで取り入れる
       (ノーマンとローラは庭で一緒にいる)

5時27分 : ノーマン、ローラを連れて部屋に戻る
       (洗濯物の入ったカゴは、まだ階下に置いたまま)

5時30分 : 2犬にカミカミ棒をあげて、カゴを取りに部屋を出る
       (この時、一瞬、鍵を忘れないように ・・・ と脳裏をよぎる)

5時30分12秒 : 唖然と立ち竦む

そう 鍵を中に入れたままドアを閉じてしまった のである。
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 やっちまった ・・・

 やっちまった ・・・


私は、半ズボンに半袖の薄いTシャツ、裸足にサンダルという格好。

それまで、温かかったから。

しかし、雨が降り始め、雨脚が強くなると同時に気温も落ちる。

マイケルは、午後からの仕事(この日が初仕事*)で出掛けたまま。

 *マイケル、IELTS(アイエルツ)という英検の試験管の仕事をゲッツ
 土曜日だけの仕事で、この土曜日が初出勤  

朝の会話を思い返す。

 マイケル、何時頃、帰るの?

 う~ん、何時に終わるか聞かなかった ・・・
 もしかしたら、その後に飲みに出るかもしれないし ・・・ 

 
 じゃぁ、電話かテキストちょうだい

17時半。

でも、マイケルが何時に帰るかはまったくわからない。

携帯電話も家の中。

仕事中だから、電話を借りて掛けるわけにもいかない。

 タコちゃん、仕事から帰って来てるかなぁ~

 タコちゃんちに行こうかなぁ~


タコちゃんの家は、歩いて10分もかからない。

しかし、降り出した雨は、延々と続いている。

 とりあえず雨が止むまで建物の中に居よう ・・・
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この間、私が1人でやっていたこと ・・・

 1 : 洗濯バサミの針金を伸ばして、泥棒まがいの鍵開け
    (もちろん、開くはずはなく)

 2 : ノーマンとローラが大丈夫か盗み聞き
    (しかし、怪しんだローラが吠えてしまうのでドアを離れた)

 3 : 階下のホールで座り込む
    (半袖、半ズボン、裸足に落ちた気温が染み入る)

 4 : 取り入れた洗濯物の中から、マイケルの上着を着る
    (これがあって、本当に良かった ・・・)

 5 : それでも寒いので、階段を使って踏み台昇降
    (サンダルがキュッキュ鳴るので、裸足で)

 6 : ラジオ体操第一を4クール
    (これが、結構、楽しかった)

 7 : 壁を使ってストレッチ運動

この間に出入りする人があると、恥かしくて裏庭のドアの外に隠れた。

時間もわからないけれど、雨も止まないし、マイケルも帰らない。

犬たちはオシッコもして、夕食も食べたから大丈夫だけど。

 寒い ・・・

 ひもじい ・・・

 やりたいこと、いっぱいあったのに ・・・

 あたし、ここで何やってるんだろう ・・・


この、ホールや部屋のドアの前でいたのは、2時間半であった。(後にわかる)

雨は止んだけれど、外に出るには裸足に半ズボンでは寒すぎる。

だけど、とにかくマイケルに電話を掛けたい。

そして、階下のホールから、思い切って階段を昇る。

 フラット1 ・・・ さっきから女の人と食事してる声が聞こえるなぁ

 フラット2 ・・・ 1時間ほど前に、彼氏が入って行ったよなぁ
       しかも、食事の音もしないし、静かだからなぁ
 (うふん?

 やっぱり、一番よく話したりする、フラット4の家族かなぁ 

フラット4は、イタリア人のご主人とルーマニア人の奥さん、そして子供7歳。

そして、拳を握って よし! とドアをノックした。
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奥さんがドアを開けてくれると、温かい空気がサンダル足に流れた。

 ごめんなさいね、土曜の夜で夕食時に ・・・

 ううん、もう夕食終わったとこだから、でも、どうしたの?

 実はね、うっかり閉め出されちゃって ・・・
 電話をひとつ、掛けさせてもらえないかなぁ?


 まぁ~っっ ほらほら、入って入って

彼女は、温かい家の中に招き入れてくれながら、電話の子機を渡してくれた。

 留守番電話 ・・・

メッセージを残して電話を切り、お礼を言い

 もしも、マイケルから電話があったら、教えてくれる?

と言うと、彼女も、中から出てきたご主人も 入って入って!! と。

ものすごく恐縮しつつも、温かい温度と心に導かれてダイニングに入った。

初めて入った家は、我が家とは対称なのに、雰囲気が全然違って興味深い。

 イタリアの、コーヒーが入ってるチョコレートを頂いたり

 ピスタチオを一緒に食べたり

 イタリアのサッカーをインターネットで見たり

 ルーマニアの昔の国の貧しい状況を教えてもらったり
(ルーマニアでは、貧困時代の栄養の欠乏により、平均寿命が60代だとか)

 イタリア旅行の話を聞いたり

 ルーマニア旅行中の、ドラキュラ伯爵の城の写真を見たり

 スコットランド暮らしの辛さを語ったり


どうして私が、ここにいるのか ・・・ 

という原因をすっかり忘れて、かなり、楽しい時間を過ごしてしまった。

ふと時計を見ると、もう10時半だった。

驚いて、階下の家のドアを叩いたけど、まだマイケルは帰って来ていない。

戸を開けて微笑んで待っててくれたご夫婦の元に、また帰ろうとした時 ・・・

表のセキュリティードアが開閉する音が!!

そして、螺旋階段から覗くと ・・・

見覚えのある(うっすらし始めている)後頭部がっっ!!!

 マイケルううううう~っっ

思いがけず幸福そうな声が響く。

その声が、二階ではなく更に上から聞こえたので驚くマイケル。

 5時間前から、閉め出されてたの~~~っっ

と、最後の2時間がとっても楽しかったことは、ここでは言わず ・・・。

とっても申し訳なさ気に謝るマイケル。

 飲みに行って遅くなるということは電話の留守電に8時頃入れた
 (つまり、私がご夫婦のお宅にお邪魔した直後)

 行ったパブが、地下にあって電話が通じなかった

 仕事中に音を切っておいた携帯の音量を戻すのを忘れていた


ご夫婦と、私と、待ちかねていた犬たちに謝るマイケル。

でも ・・・

でも ・・・

すべての原因は ・・・











なのであった。

今日は昨夜の楽しかったお礼に、美味しいピスタッチオをご夫婦に渡した。

ドキドキハラハラサムサムワイワイ5時間 は、そんなに悪くはなかった。

でも、やっぱり2度と繰り返したくはないものである。

反省 ・・・
by yayoitt | 2010-06-05 00:47 | 英国暮らしって...
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