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それほどまでの、恐怖
 ~するほどの恐怖 という言葉がある。

~する には、色々な動詞があてはまる。

” 泣けるほどの ゛

” 気を失うほどの ゛

” 寿命が縮むほどの ゛

” 眩暈がするほどの ゛ ・・・ などなど。

経験上、私が表す恐怖の言葉は ↑ にはない。

子供の頃から、酷い恐怖に陥ると、してしまったことがあった。

大人になってからは、堪えられているけれど、でも感覚は残っている。

 お漏らしするほど の恐怖

である。

幼い頃は、食卓でも、突然に父親から怒鳴られると、すぐに漏らしていた。

大人になってからは、とても大きな失敗などをして しまったぁ~ と思う時 ・・・

歯科医院の椅子の上で、歯医者が近付いて来る時 ・・・

 あ、自分、もしかしたら漏らすかも知れない!!

と感じてしまうのである。

幸い、実際に漏らしてしまうことはないけれど。

だから、私にとって お漏らしするほどの恐怖 って、かなりのものなのだ。

動物病院での毎日の仕事の中で ・・・

沢山の犬猫が、病院内で お漏らし をする。
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バスケットに入れて病院に来る間に、オシッコもウンチも、嘔吐までする猫 ・・・

手術の為に、ケネルの中に入っている間に、ウンチをしてしまう犬 ・・・

手術前の聴診や麻酔の注射の間に、オシッコもウンチもしてしまう犬 ・・・


犬猫にとって、自らの排泄物に触れたり、近くにいるのは苦痛に違いないのに。

シッポをキュ~と股に挟み込んだまま、大きな目を見開いて、粗相をする。
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その時の、彼らの 恐怖 は一体、どんなものなんだろう?

突然、家族から家から離された理由が わからない 恐怖

今から何が起こるか わからない 恐怖

周りの人間が何をするのか わからない 恐怖

その手を信用して良いのかどうか わからない 恐怖

愛する家族、家には帰れるのか わからない 恐怖

彼らの、その わからない恐怖 って一体、どんなものなんだろう?
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その思いを、計り知れないだろうけれども、少しでも感じてみる。

オシッコやウンチを、普段は決してしない状況や場所で、してしまうほどの恐怖

彼らは、そんな ・・・ そんな思いをしているのだ。
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恐怖を抱える愛おしい命の為に、私なんかにできることがあるとすれば ・・・

せめて彼らの、そのオシッコやウンチ、嘔吐物を、優しく黙って処理してあげる。

彼らの大事な足や毛に、それが付着しないうちに、素早く拭いてあげる。

手術から目が醒めた時、自分の排泄物の匂いなんかしないよう。

バスケットの中が清潔で、決して 嫌な場所 にならないよう。

診察室の獣医師の手が、せめて 大きくあたたかな手 で記憶されるよう。

大丈夫よ という言葉が、彼らに深い意味をもって届くとは、限らないから。
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そんな週の終わり ・・・
by yayoitt | 2010-01-23 00:01 | 動物病院での出来事、仕事
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