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本とほんと
和書を、文字通り 漁る(あさる)ように読む日々。

 あぁ 日本の小説って素晴らしい~~

小説を読んでいると、現実と本の中の物語がごちゃ混ぜになる感覚がある。

物語の中で、交わされる言葉。

本を伏せて、トイレに立つと、ぶつぶつ独り言を言っている。

 そしてやっこは、薄暗いトイレのドアを開けた

 鏡を覗きこんで、頬に手をあてると、こう呟いた
 
 「 最近、ちゃんとお化粧もしてなかったわね ・・・ 」


普段は使わぬ標準語である。
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 やっこは、細い腕を伸ばして鏡に触れる

本当は、筋肉もりっと、そして二の腕のたるんだ腕なのに。

 「 ねぇ、お姉ちゃん? 」

鏡の中の お姉ちゃん って誰だよ、おい!

 ベッドを少し軋ませながら、やっこはゆっくりと起き上がり、伸びをする

 「 あぁ 今朝はとっても良いお天気 ・・・」


昼寝から目覚めても、こんな独り言を呟いている。
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 「 お姉ちゃん、もう起きていたのね 」

だから、その お姉ちゃん って誰??

 やっこが犬を連れて歩く土手には、もう薄紅の桜が咲き始めていた

 犬のノーマンがくんくんと匂いを嗅ぐ間、ぼおっと河の流れを見る

 「 まさし君、今日も独りで遊びに来たの? 」


ま ・・・ まさし君???

しかも、桜って、どこに???
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 「 いいの、わたしは ・・・ 」
 
 そう言いかけて、やっこは思わず顔を伏せた

 心の中で、何かが壊れそうな気がした


壊れてるのは、やっこ ・・・ あんただ ・・・

 「 あぁ わたし、壊れてるみたい 」

そう、その通り。  
by yayoitt | 2010-01-17 04:09 | 遠くにて思う日本
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