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白いゲレンデでのテーマ曲
故郷の飛騨は、雪に恵まれ、周りは山々が多い為、沢山のスキー場がある。小学校の頃から、一年に数回は学校や学年でスキー教室があり、小さな頃からスキーとは切っても切り離せないようにして育って来た。中学に入っても、一日かけてのスキー教室はあったし、高校でもスキー教室があった。看護学校も飛騨高山だったから、最寄のスキー場で特訓があった。高校では、冬の体育の授業の中に、クロスカントリーが組み込まれていて、細長いエッジのないスキーで走り回った。スキー場へ出掛けていくスキー教室は、丸一日授業が出来ないので、まるで遠足みたいに楽しかった。

私は、このスキー教室に、もう一つ、密かな楽しみを持っていた。

それが ...

♪ やっこ、歌のベストテン、雪の祭典 ♪ である。

その頃、リフトは、今のように高速でもなければ、ペア-もなかった。リフトに乗っている間は、孤独で寒くて長かった。そこで私はその間を、歌を歌って紛らわしたのだ。

でも、ただ歌うんじゃない。

なんと言ってもベスト10ですから、あなた。

もちろん、10位からちゃんと歌うのだ。自分の好きな歌を、10位から…。
しかも、なりきって歌うから、常に自分がカメラに写っていることを意識して歌う。司会者もいて、“それでは、今週の第8位。松田聖子さんで、赤いスイートピーです。今日は、真っ白なゲレンデから聖子ちゃん、歌ってくれます”

カメラが近付く!

ふしめがちにカメラを見ながら、歌いだす“春色の~汽ぃ車に乗おって”完全に聖子ちゃんになりきって歌う。誰にも聞こえないから、大声で歌える。時には聖子ちゃん、最後に久米さんと黒柳さんに手まで振りながら“どうも、ありがとぉう!”などと言う。

それに続くのは、柏原芳江や松本伊代、堀ちえみ…。

ほとんど女性歌手ベスト10だ。時々、チャゲ&飛鳥や安全地帯の上位入りがあるが、あとは聖子ちゃんが3曲くらいベストテン入りしていたりする。吹雪いていようが、みぞれであろうが、真下で誰かが転ぼうが、空中でのベストテンは、続くのである。下り場が近付くと、何食わぬ顔をして、歌を止めてリフトを降りる。友人を待ち、ゆっくり先生の後を付いて下まで下り、再びリフトに乗ると…

黒柳徹子が鼻の詰まった声で喋りだす。

“CM中に、ゲレンデに来てくれたおニャン子クラブですぅ~。歌は、セーラー服を脱がさないで !! ”
by yayoitt | 2005-03-30 22:11 | 思い出
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